1昨日はかなり荒れた天気だった。
深夜から翌朝にかけ、大雨の予想。
たぶん私の商売も、期待できないだろう。

日が落ちるとともに、雨は本降りになる。
雨脚が激しく、道路に跳ね返っていた。
8時前に、お客様が1人来店した。

何時も飲む、B&Bリキュールを注文した。
ダブルで2杯飲み、そのあと、ニッカウイスキーのカフェグレンを、ロックを飲む。
そして、「マスター、この天気で来るのは、僕ぐらいだね」と。

笑いながら、この言葉を残し、店を後にした。
やはり、彼の予想通りで、終わるのか。
ところが、9時ころになり、女性客が2人、来店した。

彼女たちは姉妹で、30年くらい前から、私の店に来店していた。
そのころ、お姉さんは、私の店に近い病院に、勤務していた。
2人は席に座ると、何時ものカクテル・シャーロックを注文した。

お姉さんはシャーロック　ホームズの大ファン。
ロンドンのシャーロック　ホームズ博物館を、何度も訪れていた。
そこで私はその名を冠した、オリジナルカクテルを作った。

イギリスのリキュール・ピムスNoⅠと、レモンジュースをシェークし、ロンググラスに注ぐ。
そしてジンジャーエールを注ぎ、レモンの皮を剥き、ホーセスネックスタイルで、グラスにかける。
仕上げに、氷を加えて出来上がりである。

2人は美味しそうに飲みながら、ピリ辛の特製・洋風焼きうどんを注文した。
このコンビネーションは、何時ものことである。
そのあと、たくさんのカクテルや、シングルモルトを飲む。

外は相変わらず、烈しい雨が降る。
そして夜も更けてきた。
だがその日は、私の店に来るため、巣鴨にある、ホテルを予約してある。

彼女たちは、現在、中央線の武蔵境辺りに住んでいる。
時間を気にせず、ゆったりとお酒を愉しめるのだ。
やがて、深夜の1時近く、仕上げのカクテルになった。

何時もはカフェロワイヤルを飲むのだが、ママが薦めた、アイリッシュコーヒーに変更。
耐熱グラスに、赤ザラメの砂糖と、アイリッシュウイスキーを加え、淹れたてのコーヒーを注ぐ。
その上に、ホイップしたての、生クリームを浮かべる。

コーヒーの黒と、生クリームの白が、2層となる。
この時期に、ピッタリのホットカクテルである。
2人はカクテルを飲み終え、「年内にまた来ます」と言葉を残し、雨の中に消えて行った。

引っ越してからも、こうしてホテルを予約し、度々、来店してくれる。
次の来店を、元気で迎えられるように、私たちも頑張ります。
悪天候の中、その日は予想に反して、忙しい日になった。