today’s comment 
2005.05


5/30<月>
今日は一日ぐずついた天気。
明日もこんな状態なら、入梅かなんて誤解しそう。
しとしとと音も立てずにけむる雨に情緒を感じるのは、きっと日本人だからだろう。
梅雨と来ればやはり紫陽花。
日陰にそっと寄り添うように咲く、淡い紫ピンクの花は、人生を知り尽くした女の姿。
しっかりと自己主張しているさまは、どこか心に沁みる。
5/28<土>
青森には、津軽蕎麦なるものがという。
江戸末期か明治初期か、出所来歴は定かではないらしい。
しかし、現在は殆ど蕎麦の打ち手もなく、後継者は皆無に等しいそうだ。
だが、最近、伝統の味が復活。
前日から水に漬けておいた大豆をすり鉢であたり呉汁を作り、そば粉に混ぜしっかり捏ねる。
そして、のし棒で伸ばし、包丁で切れば出来上がり。
かけ汁はいわしの出汁に醤油と塩を加えるだけ。
醤油も味醂も使わないが、独特なコクと甘味があるようだ。
青森にでも出かける機会があったら、ぜひとも食べてみたい。
5/26<木>
1859年、写真家のナダールガ撮ったサラ・ベルナールの肖像写真を見た。
まっすぐカメラを見据えた顔は美しい。
華やかな容姿、情熱的な瞳の中に潜む静謐な光。
当代随一のヒロインの写真は素晴らしい。
当時、二十歳前の写真のようだが、すでに、大スターの風格が漂う。
彼女のふんする女性は、前フランスの憧れ。
極論が許されるならば、全ヨーロッパ文化の象徴でもあった。
ミュシャが描き、シャガールが表現した。
コメディー・フランセーズさえもが、彼女のために存在したように思える。
世紀末のスターとは、とてつもなく偉大な存在。
もし、彼女が演劇界に君臨しなかったとしたら、今日の演劇は存在しなかったかもしれない。
彼女のために存在したスターシステムを否定した演劇運動。
アンドレ・アントワーヌの自然主義演劇を起点とする写実主義も生まれなかっただろう。
戯曲を中心に、舞台のアンサンブルを重視する、モスクワ芸術座も誕生しなかったかもしれない。
サラは全世界のスターであり太陽。
文明が進み、世界が狭くなった今日、スターの存在は小さくなったような気がする。
5/19<木>
「マスター、タバコって、何処ですっても同じだよね」
「そうだね」
「でも、お酒は、家で飲んでいるのと、外で飲んでいるんじゃ、えらい違いなんだよね」
「そうかも」
「酒は同じはずなのに、美味く感じないのよ」
「いいこと言うね」
「だから、高いお金を払っても来ちゃうわけ」
「確かに、タバコは個人的な物だけど、酒は酒場の磁場で、人間関係を作り出すよね」
「タバコを止めたって、別に世間が狭くなる訳でもないけど、酒は違うような気がする」
「良き酒は良き人を結ぶ。楽しい酒は、楽しい友を育ててくれるな」
「マスター、同感」
呟き日記を更新
5/16<月>
昨日はサティーで映画を鑑賞。
封切り二日目だというのに、客席はパラパラでいささか拍子抜け。
混みすぎていても嫌だけど、少なすぎても感動が薄くなるもの。
すこし窮屈な位の方か、感動が増幅され、感激も大きくなる。
でも、何時でもマイカルサティーは、のんびりと快適に鑑賞できるのが嬉しい。
5/11<水>
黒蜥蜴カクテル
<5/9作成のオリジナル・カクテル>
写真をクリックすると拡大
ウォッカ・・・・・・・・1/3
バイオレット・・・・・1/3
ライムジュース・・・・1/3
ブルーキュラソー・・・・1バースプーン
アブサン・・・・・・・・・1バースプーン
シェークして、カクテル・グラスへ注ぐ。
とても、ミステリアスで不思議な味です。
<美の深淵に潜む、聖なる魔界への誘い>
サブタイトルを付けて、洒落てみました。
5/9<月>
昨週の土曜日にオリジナル・カクテルを作成。
「アキちゃん、できたてのホヤホヤのカクテル飲んでみない」
「なんって言うカクテル?」
「ツツジ・カクテル」
「美味しそう」
そして、カクテルをアキちゃんへ。
「ほんと、ツツジみたいな色合い」
「なかなか、グッドでしょ」
「ツツジは熟女ってイメージだから、そんな雰囲気。味も不思議で艶っぽい感じ」
「アキちゃんがこのカクテルの、最初のお客様」
「マスター、明日<黒蜥蜴>を観にいくの」
「何回目?」
「十回以上は行ってるんじゃないかな。もうわかんないくらい」
「それが、本当の芝居好きかも。同じものを何回も観るのが」
「マスター、<黒蜥蜴>で、オリジナル・カクテルを作って」
私はアキちゃんのイメージを聞いて、<黒蜥蜴>を、数分後に完成しました。
近じか、公開します。
5/7<土>
好天に誘われ、ぷらぷらと散歩気分で、駅までの道のりを歩く。
道端の生垣や民家の庭木のツツジが美しい。
淡いピンクやら純白、赤紫やらで華やか。
吹き渡る風も心なし匂うよう。
都心から離れた、板橋の片田舎は、自然に恵まれていて心地よい。
時分の花・ツツジのカクテルを作って見ました。
ウォッカ1/3
ディータ1/3
レモン・ジュース1/3
グラナディン・シロップ2バースプーン
シェークして、カクテル・グラスへ。
仕上げに、バイオレットのリキュールを、
バー・スプーンで2杯、底に沈める。
ライチとバイオレットの香りが織り成すハーモニーが楽しい。
底に沈んだバイオレットの紫がグラデーションを奏でます。
ふくよかで妖艶な味です。
写真をクリックすると拡大します
5/6<金>
ゴールデンウィーク明けは、生憎の雨。
昨日の好天続きが嘘のようだ。
一昨日は、島根のナベさんが二日間の連ちゃんで来店してくれた。
定年を迎えて、悠悠自適の楽しいオジサンと従兄弟をつれての来店。
やはり、これだから、ゴールデンウィークの営業は嬉しい。
でも、オジサンの駄洒落は最高だったな。
「毎日、何をしてるのですか?」
「別に何も。サンデー・マイニチ」
お見事、一本!
昨日は、やはり一年振りで、イズミさんが三人でやって来た。
とても、顔が柔和になっていて驚き。
昔は、結構突っ張っていたのだが、今は、穏かで明るく笑顔が綺麗だ。
ちょっとの間に、人の顔は変るのですね。
「今の顔、好いね。これから、どんどん友達も増えて楽しくなるよ」
「確かに、人にも優しい顔になったって言われます」
月島へもんじゃ焼きを食べに行って、帰りにわざわざ寄ってくれたみたいだ。
皆様、遠くから、わざわざのご来店、ありがとう御座いました。
呟き日記を更新 友達へのリンクを更新
5/4<水>
ゴールデンウィークは、懐かしいお客様に会えるから嬉しい。
昨日も、新潟から、わざわざピーポッポを目差して、ツヨシちゃんがやって来た。
そして、閉店間際に、仙台の実家に帰省した帰り、島根赴任五年のニッカのナベさんが顔を出してくれた。
はてさて、今日は、誰が登場してくれるのか、とても楽しみだ。
愉快な仲間を更新
5/3<火>
最近は塩味のスイーツが登場し始めた。
日本では、昔から、隠し味として、お菓子や餡子には使われていた。
しかし、洋風なお菓子やデザートには、滅多に使われることはなかった。
今はスイーツのブーム。
そして、健康食品でもある天然塩のブーム。
両者がうまく合体したということか。
もともと、料理の基本は塩と胡椒。
サラダの語源もラテン語のサル(塩)から来ている。
勤め人のサラリーも塩が語源。
かつて、塩が貨幣価値をもっていた時代の名残だ。
それ程に、塩は人間の生活に欠かせないもの。
だから、多くの国で塩を国家管理していた。
塩を一手に管理してたのは、日本では、昔懐かしい響きの専売公社だ。
でも、塩の専売制が廃止されたのは、1997年。
完全に輸入の自由化は、2002年4月を待たねばならなかった。
以外にも、長い間、時代錯誤的な制度が、長続きしていたのですね。
私の好みとしては、外国の塩では、ブリュターニュ地方の天然塩「ゲランド」が好きですね。
まさに、ミネラル・マグネシウムがたっぷりという感じ。
それでいてまろやかで重くない。
精製されていないので、塩の中に海草が時おり混じっており、その素朴さにひかれる。
そして、ブリュ-ターニュ地方は、ユーラシア大陸で雄一のケルト民族の土地。
スコッチ好きの当方としては、何かと興味をひかれのも無理はない。
愉快な仲間を更新
5/1<日>
今日はメーデー。
ひと昔前だったら、永田町へ向かっての大デモ行進だったのだが。
組合という存在も地盤沈下、風前の灯火。
賃上げ闘争も今は無く、組合の影は薄くなるばかり。
様々な国政の矛盾にも、国民は憤りを示さず、何故か静かに傍観。
無関心と無感動はとても怖いことだ。

夕飯に、近くの蕎麦屋に入った。
テレビでは笑点が流れている。
すると、桂歌蔵さんが、師匠の桂歌丸さんに紹介されているではないか。
歌蔵さんが真打になったのだ。
すでに、噺家仲間から聞いてはいたが、真打姿ははじめて見る。
歌蔵さんが緊張もせず、しっかりと響きのある言葉で、力強く挨拶をしていた。
私の店に来ていた人たちは、これで殆ど真打になった。
来年、あと二人も真打の予定。
皆様、これからも頑張ってください。

2005.04 2005.03 2005.02
2005.01 2004.12 2004.11
2004.10 2004.09 2004.08 2004.07 2004.06 2004.05 2004.04 2004.03 2004.02 2004.01
2003.12 2003.11 2003.10 2003.09 2003.08 2003.07 2003.06 2003.05 2003.04 2003.03
2003.02 2003.01 2002.05-12