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May.2012.5
深夜、地震の重低音 2012年05月29日 お客様が引け、そろそろ今日も終わりかなと思っていた、深夜1時半過ぎ。 足元に微かだが地響きのような、地を割くような振動が伝わる。 瞬間、地震だと思った。 「地震だ!」 ママは、え?! という顔をしている。 だがまだ店は揺れていない。 3秒位たったであろうか。 スローモーションのように、グラリグラリと揺れ始めた。 カウンターの上の棚に、下向きに吊るしたグラスが揺れ始め、カチンカチンカチンと、乾いた音を響かせる。 ボトル棚の中の酒瓶に目をやると、ボトルの中のお酒が、右に左に小さく波打ち、琥珀色が照明を浴びて滲んでいた。 地震はズドンと来たわりに、意外に短かくほっと胸を撫で下ろす。 揺れる前に、足元に重低音のような、大地の咆哮を感じた。 きっと震源は東京に近いであろうと、直感的に確信した。 NHKラジオを付けると、地震速報が流れていた。 やはり震源は関東であり、海岸近くは津波に注意と放送していた。 やはり思った通り、震源は近かった。 震度は4と言っていた。 だが震度3ほどにしか感じなかったのは、度々の地震で、地震慣れしてきたせいなのか。 深夜、物音一つしない静寂な時、足元に聞いた不気味な大地の重低音。 揺れる前に、地震の音を感じたのは、初めての経験だった。 |
「小さな旅&日記」を更新 2012年05月25日 「伊勢志摩・鳥羽水族館を訪ね、鳥羽港から知多半島・伊良湖岬へ」 |
もうすぐ高齢者、それも愉しいかな! 2012年05月22日 このところ、暑さ寒さが日替わりのような気がする。 今日は五月雨の肌寒い一日。 すでにツツジも終わり、藤も盛りを過ぎるであろう。 暦ではすでに初夏、晴れているなら、早緑の木々が陽光に照り映える。 竹林の緑も美しく、剣のように長い葉が風に揺れそよぎ、擦れ合う音も、心地よいざわめきとなる。 私の住む板橋には、武蔵野の俤を残す、雑木林もいまだ点在する。 その疎林の中を歩くと、木漏れ日となって伸びる長い日影が大地に落ちる。 そろそろ梅雨が始まる。 そして淡紫の紫陽花が、雨に烟り情趣を深める。 そぼ降る雨に濡れた樹々の根元、薄緑の斑に光る苔が広がる。 雨が梢に満ちる新緑の葉に落ち、雨音が辺りの静寂を際立たす。 微かに雨に霞む朦朧が、幽玄な景色を演出する。 それにしても、初夏だと言うのに、寒い日が訪れる。 私はすでに、1ヵ月前、長袖シャツをお蔵入りにした。 女房は「まだ早いんじゃないの」と言うのだが・・・・・・。 一度決めたら、後には引かないのが江戸っ子。 還暦過ぎても、暑さ寒さにゃッ、こちとらは強いんじゃッ! 今日も半袖シャツで、「寒くはないッ!」 もうすぐ誕生日が来れば高齢者、近くにある「板橋美術館」もタダ。 公共の美術館や博物館も、老人料金で割安となる。 JRもかなりの割引料金になるらしい。 年寄りの痩せ我慢人生。 頑固じじいの高齢者。 歳を取るのも、楽しいものじゃわい! |
お酒の話を更新 2012年05月18日 プースカフェ(Pousse-café )は食後の華 |
小さな旅を更新 三重県二見浦&伊勢神宮を訪ねて 2012年05月15日 |
大山遊座商店街は今 2012年05月12日 先日、大山遊座商店街から、文房具屋「カドヤビジネス」が消えた。 確かにここにあったはずなのだがと思い探すが、やはり跡かたもなく無くなっていた。 見れば2階の店の在ったところには、他の店がオープンしていた。 広い町から文房具屋さんが消える、恐ろしいことが現実になった。 この文房具屋さんで、28年来、私は様々な事務用品を購入した。 でも、考えてみれば、小額の物しか購入していないので、たいした売り上げ協力はしてはいないのだが。 これからは、ちょっとした文房具も、遠くまで買いに行かなくてはならず、考えただけでも気が重くなる。 この文房具屋さんは、少なくとも創業50年位は経っているであろう。 私が最初に店に行った時は、1階と2階を使っていた。 やがて1階は貸店舗になり、2階だけの営業になって、そののち閉店となった。 すると、大山遊座商店街の更に踏切側にあった「文明堂」が、今年の1月9日をもって消え、1000円カットの床屋さんが開店していた。 この店も文房具屋さんと同じくらい古い店のはずだ。 テレビの宣伝でもお馴染のカステラ屋さんは、昔ながらの優雅な雰囲気を醸していた。 かつて映画館が5館もあり、大きなキャバレーが3軒もあって賑わっていたころ、 文明堂のカステラやどら焼きの三笠山は、御贈答品として大いに売れたことであろう。 そして日本大学医学部付属板橋病院、当時の都立養育院、 都立豊島病院に入院する患者さんへのお見舞いとして、重宝されたことであろう。 だが時代と共に、御贈答用品やお見舞いの品も変化する。 その「文明堂」の隣の鮨屋「寿司元」も看板だけを残して、現在、新たな工事が進んでいる。 看板が壊される時、業種の異なる新たなお店に、変貌するのであろうか? 大山遊座商店街から、古き大山の生き証人である老舗が、次々と消滅する。 商店街に漂っていた、ゆったりとした時間の空気が、ざわざわとして落ち着きのない気配に満ちる。 確かに、昔に比べると、町は明るくなり、沈下し始めた活気が蘇っては来ている。 だがそれに反比例して、町の商店街の情緒が消えて行く。 長い間に醸成されて来た、大山遊座商店街の、昔ながらの豊かな色が、消えてゆくことに寂しさを覚える。 古きものが消え、新しいものが誕生することは、歴史の理である。 だが、歴史は連綿と受け継がれながら、新しい血を流し入れ、変容し再生することもある。 古きものが破壊され、まったく関連性を持たない物へ変貌することで、町の歴史がそこで途絶えることにもなる。 今、かつての養育院は、独立行政法人「健康長寿医療センター」となり、新しい病棟を建設している。 その前の広い道には、沢山の薬局が建つ。 新病棟は来年の春に完成する。 それに照準を合わせるように、病院の前は、現在、ちょっとした、薬局バブルに沸いていると聞く。 |
素敵な若者たち 2012年05月08日 5月5日の立夏も過ぎた。 そして毎年のことだが、忙しげにゴールデンウィークも終わった。 世の中は連休の話題で喧しいが、私は何時も通り営業しているので、人ごとのように思われる。 この時期、普段来店してくれるお客様はさっぱりなのだが、遠方より思いがけない人が、来店してくれるから嬉しい。 ゴールデンウィーク最終の日曜、散歩がてらカメラを持って、5月の花の撮影計画をたてた。 だが天気予報は、午後過ぎから荒れ模様と流れている。 ママは埼玉県戸田にある、馴染みの日帰り温泉へ出かけた。 私は家に残り、今まで撮りためた映画やドキュメンタリーを見ることにした。 やがて1時過ぎ、今まで明るかった空が、俄かにかき曇り、空は墨色に染まり、空の余光が不気味な墨色に滲む。 すると外でバラバラバラと、激しい音が聞えた。 ベランダに出ると、親指ほどの大きさに見える雹が、屋根や駐車場のコンクリートに落ち、弾け転がる。 一面に白い糸をひきながら、空から振り落ちている。 花の季節、5月の花たちは、小石のような白い礫に襲われ、悲鳴を上げているであろう。 やがて雨に変わり、暫くすると垂れ込めた空の墨色は薄れ、空に明るさが戻り始めた。 そして時が経つに従い、墨色は消え灰白色に変わる頃、彼方の空に薄茜色が射し始めた。 さらに空には光が力を増し、水色が戻り青空が広がった。 テレビのニュースを見ると、北関東は激しい竜巻に襲われ、甚大な被害を被ったらしい。 去年から続く天災に、栃木県や茨城県は今年も無情な仕打ち、その惨状を見て声も出ない。 昼過ぎから見始めた録画を見終えた頃は、午後8時過ぎ。 酒の肴もないので、近くにあるスーパーへ出かける。 刺身や豆腐などを買い、ついでに卵を購入した。 レジで会計を済まし、カウンターで袋に品物をしまう。 そして最後に、卵のパックを入れようとした時、卵のパックを落としてしまった。 床に落ちた瞬間、ボクッ! っと嫌な音がした。 拾って見れば、2個の卵の殻が壊れ、黄色い卵の黄身が、どろりとパックケースの中に流れ出ていた。 自分の不注意に、少し腹立たしかった。 もう少し注意をしさえすればよいものをッ! ケースから黄身が滲み出ないように、スーパーに備え付きの薄い袋に入れていると。 後ろから女性の声がした。 「交換しましょうか?」 振り向けば、若い女性が、にこりと笑みを湛えていた。 「いいのですか?」 「はい!」 女性は卵のケースを受け取り、小走りに消えた。 やがて女性は新しい卵ケースを持って、私の前に現れ、卵を手渡してくれた。 その時もまた、チャーミングな笑みを浮かべ、頬には笑窪が見えた。 「どうもありがとう!」 女性は何事もなかったように、自分の持ち場であるレジに戻った。 小さな親切、優しい心配り、そしてさり気ない笑顔。 若者たちの素晴らしさを、再認識した1日でした。 |
人気者だった豚の置物 2012年05月05日 1昨日、雨の中、Yさんが来店した。 そして何時も最初に注文するバラライカを、オーダーして飲む。 さっぱりとしたカクテルは、カクテル・グラスを飾るミストが美しい内に空いた。 2杯目はオールド・グランダッド114。 ブッカーズが市場に出現するまでは、バーボン・ウイスキー最強の酒精強度を誇った。 アルコール度数は57度と高いのだが、酒質はふくよかにして、カカオやシナモンの香りも漂う王者の風格。 水割りのオールド・グランダッド114の、馥郁とした香りを愉しみながら飲む時は、まさに大人の時間が流れる。 その日はラジオから、カーメン・マクレエのバラードが流れていた。 優しく囁くように、詩情豊かに切なく、「ブック・オブ・バラード」の緩やかな曲が店内に響く。 するとYさん「マスター、ここにあった豚の置物はどうしたの?」 「それね。あげちゃった」 「だめだよ、僕も好きだったんだから・・・・・・」 「あれ! そうだったの?」 「残念だな」 「1年も経たないかな。昔から来ている女性が、その豚の置物を、嬉しそうに撫ぜていたの。 だからつい、『あげようか?』って言っちゃった。そしたら大喜びして、ありがとう! を連発して持って帰った」 その女性は豚の置物を集めるのが、趣味であったのだ。 その豚は確かフランスかポーランド製で、ピンク色も斑な不思議な形の、陶製の豚の貯金箱だった。 それは埼玉県戸田市にあるジャスコの中にある小物屋さんで、5年くらい前に購入したものであった。 勿論、私も初めて見た瞬間、少し不細工だが、愛嬌のある姿かたちに、魅せられるものがあった。 その豚の置物に、これほどまでに愛着を持つ人が、他にもいるとは意外であった。 人の好みとは、事程左様に、百人百様だから面白い。 また何時の日か、豚の置物があったら、購入することにしようと思った。 |
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