(The Oldest Bar at Ohyama District)

Seputember 2019.9


「氷屋さんは84才!」

お店に原付バイクで、配達に来る、氷屋さんがいる。
だいたい夕方の7時ころだ。
その時間は、お客様はほとんどいないのだが、たまにお客様がいることがある。

氷屋さんは玄関を開け、「今日はどうですかと?」声をかける。
1貫目を貰い、現金を払う。
その日は熟年男女のカップルがいた。

「今の氷屋さん、幾つに見えますか?」
女性が、「60前じゃないかしら」
すると男性が、「もう少しいってるだろう。60半ばじゃない」

私は、「そうですか……、じつは84才です。髪は黒々ふさふさですよ」
私も氷屋さんの歳を、聞いた時は吃驚した。
毎日、氷を原付バイクの、後ろと前に積んでやってくる。
365日、雨の日も風の日も、休むことがない。

私も良く働く方だが、足元にも及ばない。
小父さんの趣味の一つに、古銭収集がある。
ある日、「マスター、生年月日はいつ?」と聞かれた。

生年月日を言うと、「マスターの生年月日の古銭、持ってくるね」と。
それから数日して、「マスター、約束のやつ」といって、ポケットから、古銭を出した。
にこりとして、「徹夜しちゃった!」と言って、私の手においてくれた。

見れば、手作りのケースに、私の生年月日の、1円玉が収まっていた。
そして、「小銭がたまりますように」と、お茶目な笑顔を見せた。
また、時々、豆知識を教えてくれる。

多くは、あまり、役に立たないものだが、先日の豆知識は役に立った。
吸盤が効かなくなったとき、吸盤に油を付けると良いと。
おかげで、効なくなった吸盤が、流しのステンレスに吸い付き、今でも現役である。

さらに、時折、このあたりの、昔のことを、いろいろと教えてくれる。
それも、小父さんのお父さんから、聞いた話などもある。
おじさんが84才だから、お父さんは明治生まれである。

毎日、休みなく働く小父さん、背筋は伸び、肩幅も広く、がっしりした体格である。
氷を積んだ原付バイクは重いだろうが、車を停めスタンドで起こすのも、軽々としている。
小父さんが辞めれば、たぶん、後継ぎはいないだろう。

今は製氷機の時代、氷屋さんの多くが廃業している。
小父さんには、いつまでも元気でいてほしい。
氷屋さんの氷は、バーテンダーには、かけがえのない必需品だから。


また古いお店が消えた!
2019年9月21日

地下鉄の駅から、外に出ると、すでに黄昏れていた。
まだ時間は5時半前。
明後日は秋分、日はつるべ落としのように落ち、秋が速足で訪れる。

山手通りの横断歩道を渡り、私の店に向かう。
すると、歩道の右手にあった、ラーメン店「笑丸」の看板も、自販機も撤去されている。
店の中のカウンターに、アルミ製の寸胴鍋が乗っていた。

どうやら閉店したらしい。
何時、閉店したのだろうか? 
開店当時、3、4回は出かけたことがある。

それから、多分、20年以上は経っているだろう。
最近は古いお店の、店じまいが多くなって来た。
土地に馴染み、地元の人たちに、愛されてきたから、長く営業することができたのだ。

古いお店が閉店するのは、他人事ながら残念で、寂しく感じる。
閉店当時は、驚きを与えたことも、やがて忘れ去られる。
そして、かつて、長い間、存在した事実も、忘却の彼方に消える。


男はフォルダにしまい、女は上書きをする!
2019年9月20日

ある日のこと、早い時間に、来店した女性が言った。
「マスター、1ヶ月後に、家を出ようと思っているの」
彼女は、結婚して、10年くらい前に、私の店の近くに、引っ越してきた。

私の店に来たのは、住み始めて、5年くらい経ってからであろうか。
夫婦でも、たびたび来店した。
前々から、彼女の家庭のことを、聞いていたので、私は驚かなかった。

そして1ヶ月が経った数日後、旦那様が来店した。
「マスター、○子が家を出ちゃった。何か聞いてなかったですか?」
私も小心者で、正直な性格。

嘘は言えないし、本当のことを、言うこともできない。
バーテンダーにも、守秘義務がある。
「何となくは、聞いていたけど……。詳しいことは……」

「先週、出張の間に、家を出て行っちゃった……」

眼から大粒の涙が、零れ落ちそうだった。
彼は少しウイスキーを飲んで、帰宅した。

その後、彼も引越しした。
それから、1年経ったころだろうか? 彼女が来店した。
何時ものビールから始め、そのあと、大好きなスピリッツを飲み、店を出た。

その2日後、偶然とは恐ろしい。
彼女のかつての、旦那さんが来店した。
シングルモルトを飲み、少し酔いが回ったころ。

「マスター、○子、来た?」
まさか、2日前とも言えないので、「先月、ふらりと、顔を出したよ」
「そう、元気そうだった?」

私は何も言わずに頷いた。
彼も無言で、私の顔を見て、寂しそうに笑った。
1年前、彼女が私に、別離を告白したときに言った。

「彼とはお友達でいればよかったのね。彼は友達でいたら、最高な人なの。
でも、今は無理ね。彼が私と、お友達では、いられないから」
それから、数年経ち、彼女が来店した。

何時ものお酒を飲み、早い時間に退店した。

その数日後、彼が来店した。
またもやニアミスである。

お酒が心地よく回ったころ、「○子、顔を出す?」
「2ヵ月くらい前、ひょっこり、顔を出したよ。池袋で買い物をしたんだって」
「そう……、そうなんだ……」

彼女が先日、来店したとき、彼のことは、一言も話題に、上らなかった。
男は何時までも、かつてのことを、フォルダにしまう。
だが、女性はさっさっと、過去に上書きするのだ!


男女の縁は悲喜こもごも
2019年9月19日

昨日の午後11時ころ、男女3人が来店した。
男性2人は、グレンファークラス105の水割りを。
女性はマグカップと、ジンジャービアを使う、モスコミュールを飲む。

どうやら3人は、この近くの小学校と中学校の、同期生のようだ。
3人の名前を仮に、Aさん、B子さん、Cさんとする。
AさんとB子さんは、初恋の人だったようだ。

AさんもBさんのことが好きだったが、Aさんは小中の同期生である、他の女性と、11年前に結婚した。
だが、去年離婚し、10年間の結婚生活は終わった。
B子さんも他の男性と結婚し、3人の男の子の母親である。

長男は高校1年生、次男は中学生で、三男は小学生である。
そして現在、保育士の資格を取るため、学校に通っている。
自分のやりたいことに、何時もチャレンジしていたいと言う。

私の店のお客様にも、色々な人がいた。
大学でソシアルダンスクラブの、先輩後輩で、恋仲になった。
だが、その恋は実らず、それぞれ他の人と結婚した。

その後に再会し、私の店を訪れ、それぞれ離婚し、2人は結婚した。
新婚旅行は沖縄で、私にハブ蛇入りの泡盛を、お土産に持ってきてくれた。
同じようなケースはまだある。

高校時代、お互いに初恋の人になったが、結婚することができなかった。
その後、お互いに結婚する。
その30年くらい後に、2人はそれぞれ離婚し、初恋の思いを成し遂げた。

店を長いあいだ開いていると、悲喜こもごも、様々な出会いと別れに遭遇する。
かつて、私の店のお客様が、10年間付き合っていた女性と結婚した。
そのとき、私も祝電を送った。

だが、彼の友達に、結婚式の模様を訊いた。
すると、「マスター、新婦さんが、結婚式の後、行方不明です……」
その半年後、新婦が行方知らずのまま、離婚が成立した。

時間は深夜の12時過ぎになっていた。
明日は仕事の3人は、店を後にした。
でも、うらやましい、小中学生の友達が、こうしていまだに、仲良く飲んでいられるのは。

私のことを言えば、小中学生を過ごした、世田谷時代の友達は、今は皆無である。
板橋育ちは、板橋を離れない人も多く、幼なじみ同士で、私の店に来店する。
板橋は住み心地が良いのであろう。


夕刊雑感
2019年9月18日

最近は夕刊を、夕食後に、読むことにしている。
仕事がら、夕食が早いので、夕刊を読む時間がある。
だが少し前まで、夕刊は翌日の朝刊と、一緒に読んでいた。

やはり当日の夕刊は、新鮮である。
夕刊に載るニュースは、翌日の朝刊に、より詳しく書かれる。
だから、朝刊と一緒に読むと、夕刊の記事が、色褪せてしまう。

読み残した新聞は、バスや地下鉄の中で読む。
だいたいはそれで、夕刊を読み切れる。
翌日は朝刊だけを、ゆったりと読める。


先日来店したドイツの若者が再訪!
2019年9月17日


先週の木曜日に来店した、ドイツ人の若者が、再訪してくれた。
今日は上野のアメヨコに、行ったらしい。
とても楽しかったようだ。

お昼にラーメンを食べ、そのあと上野の博物館や、公園を散策した。
そして、夜の9時頃、私の店にやって来た。
今日も最初はビール。

先日飲んだ、ピルスナーウルケルを、2本頼まれた。
が、1本しかなく、エビスビールを出した。
エビスビールは、日本で最初の
、ドイツタイプのモルトビールですよと言って。

そして前回と同様、日本のウイスキーを、2人は飲み始めた。
そのうち、ドイツの飲酒年齢の話になった。
ドイツでは16歳から、ワインやビールは飲めるが、強いお酒は、20歳からだそうだ。

でも、彼らは14歳から、ワインやビールを、家で飲んでいたという。
両親と家で飲むのは、14歳からOKなのだ。
飲酒年齢は、お国柄によって違うのが面白い。

彼らは明日、鎌倉に行く予定だ。
鎌倉の鶴岡八幡宮の、裏路地にある、小町通りは楽しいよと、教えてあげた。
すると、、faresさんが、「3週間後くらいに、ドイツの友達が、日本に来ます。
マスターの店を、教えても良いですか?」と言った。
私は「もちろんと!」
そして、12時近く、お店をあとにした。


お彼岸前のお墓参り
2019年9月16日

正午近く、お墓参りに出かけた。
秋の日が降り注ぎ、青空が広がっていた。
首都高は、連休なのに、意外と空いていた。

山手トンネルを抜ける。
だいぶ前に、このトンネルが開通したので、東名へのアクセスが楽になった。
それまでは、皇居のお堀端を通り、首都のど真ん中を、抜けていった。

首都高から東名へ入る。
やはり高速道はすいていた。
やがて、前方に大山が見えるころ、海老名辺りで、渋滞が発生した。

だがその手前の、横浜町田インターで降りたので、渋滞に巻き込まれたのは、わずかであった。
東名を出ると、国道16号である。
かつて、ここは慢性的に、渋滞していた。

だが昨年あたり、バイパスが開通し、お墓へのアクセスが、とても便利になった。
途中、何時も立ち寄るお店で、昼食をする。
そして昼食のあと、何時もの場所で、供花を買う。

北里大學病院前を抜け、相模川に架かる、昭和橋を渡る。
初夏から夏にかけて、アユ釣りをする人たちが見える。
しかし、お彼岸まぢかの今日、釣り人は一人もいなかった。

橋を渡り、工業団地を通り抜けると、緑豊かな道になる。
坂道を蛇行しながら行くと、市街地に出る。
少し行くと、両親と兄嫁が眠る、霊園に到着した。

駐車場には、何台も車が駐車していた。
車を降りると、すでに、お墓の手入れをしている、家族連れの姿が見える。
他人事ながら、お墓を洗い、花を手向ける人たちを見ると、嬉しくなる。

昼下がりの陽光を浴びながら、お花を持ってお墓へ。
花を置き、お墓の花差しを持ち、水場へ行く。
花差しを束子で洗う。

そして手桶と束子を持って、お墓へ。
ママはお墓の草を、むしっていた。
お墓には、一年の間に、5回くらい来るだろう。

暑い季節の雑草は、硬くて強い。
お墓を洗い、草むしりを終えて、お花を添える。
お線香を燻らし、両手を合わせる。

今年の年末まで、お墓参りの日はあく。
お墓参りをして、駐車場へ向かう。
遠くに山々の稜線が、青空にくっきりと、映えていた。


二ヶ月ごとにめくるカレンダーも二枚になった!
2019年9月14日

黄昏も近い午後、外に出ると、涼風が吹いていた。
公園に来ると、台風に煽られ、折れた樹々の枝が、散乱している。
あの日、眠れなくて外を見ると、雨と風が音をたて、激しく吹き荒れていた。

公園では少し前まで、煩いほど、アブラゼミが鳴いていた。
今は名残の鳴き声が、遠くに聞こえる。
ときおり、ツクツクボウシが、せわしなく鳴き去ってゆく。

すでに街は、秋の気配を、おび始めた。
あの酷暑は、すでに過去となったのだろう。
やがて、山里の木々の葉は、色づき始める。

そして本格的に、紅葉を迎え、山々は秋色に染まる。
二ヶ月ごとに、めくるカレンダーも、二枚になった。

齢を重ねると、一年がとても早く感じる。

ドイツから若い二人の男性がご来店!
2019年9月13日

こちらからどうぞ↓
http://www.p-poppo.jp/1yukai-nakama-germany-2019-09-12.html

傘を持つべきか、持たざるべきか、それが問題だ!
2019年9月11日

自宅で夕飯を食べていたら、青空がにわかに、黒雲で覆われ始めた。
やがて雨雲が、重く垂れこめると、空を切り裂くように、閃光が走った。
すると雷鳴が、遠くで轟いた。

食事を終え、さて傘を持つべきか、持たずに行くか、ハムレットの悩みを抱える。
テレビは宇都宮辺りで、豪雨と雷が、烈しく襲ってる様子を、放映していた。
たとえ雨が降らずに、済んだとしても、ここは用心するに限る。

傘をもって、マンションの玄関を出た。
雨がぽつぽつと、降り始めていた。
自分の勘が当たって、少し自慢げになり、我ながら可笑しい。

マンションの前の停留所で、バスを待っていると、雨脚が激しくなって来た。
程なくして、バスがやって来た。
バスは空いており、運転席近くに座る。

バスのワイパーが、吹き付ける雨を、せわしなく拭き払う。
傘を持ってきて、大正解だった。
バスが地下鉄の駅に到着し、駅構内へ行く。

予期せぬ雨に、たたられた人たちが、呆然と雨宿りしている。
だがこの雨は、簡単にやみそうにない。
家を出る前、インターネットで、板橋あたりの天気予報を調べた。

午後3時過ぎころから、雨マークが出ていた。
地下鉄に乗り、新聞を読んでいたら、板橋区役所前に到着した。
駅の階段を上がり、外に出ると、さらに激しい雨が、降っていた。

ここにも、傘を持たない人たちが、雨宿りをしていた。
雨の中、私の店へ、足早に向かった。
だがこの激しい雨を、無視するかのように、走りもせず、悠然と歩く人たちがいる。

外国人は雨でも、傘をささずに、平然としている人たちが多い。
でも、日本人は雨が降ると傘をさし、傘のない人たちは、小走りに走ったものだ。
やはり、時代が変わったのかもしれない。

作家安部譲二さんの思い出

2019年9月10日

こちらからどうぞ↓
http://www.p-poppo.jp/1diary2019-09-09-abe.html

マスター&ママの小さな旅
 「吹割の滝を訪ねて」

スライドショーを作りました!


こちらををクリックしてください↓
YouTube

マスター&ママの小さな旅
真田の里、沼田公園を訪ねて

2019年9月5日


こちらからどうぞ↓
http://www.p-poppo.jp/1diary2019-08-26-numata..html

マスター&ママの小さな旅
吹割の滝を訪ねて

2019年9月3日

こちらからどうぞ↓
http://www.p-poppo.jp/1diary2019-08-25-fukiware.html
2018         2019.08  2019.07 2019.06  2019.05 2019.04 2019.03 2019.02  2019.01
2018 201812 201811 201810 2018109 2018.08 2018.07 2018.06  2018.05  2018.04 2018.03 2018.02 2018.01 
2017 201712 201711 201710 2017.09 2017.08  2017.07 2017.06 2017.05  2017.04 2017.03 2017.02 2017.01
2016 2016.12 2016.11 2016.10  2016.09 2016.08 2016.07 2016.06 2016.05 2016.04 2016.03 2016.02 2016.01
2015 2015.12 2015.11 2015.10 2015.09 2015.08 2015.07 2015.06 2015.05 2015.04 2015.03 2015.02 2015.01
2014 2014.12 2014.11 2014.10 2014.09 2014.08 2014.07 2014.06 2014.05 2014.04 2014.03 2014.02 2014.01
2013 2013.12 2013.11 2013.10 2013.09 2013.08 2013.07 2013.06 2013.05 2013.04 2013.03 2013.02 2013.01
2012 2011.12 2011.11 2012.10 2012.09 2012.08 2012.07 2012.06 2011.05 2012.04 2012.03 2012.02 2012.01
2011 2011.12 2011.11 2011.10 201109 2011.08 2011.07 2011.06 2011.05 2011.04 2011.03 2011.02 2011.01
2010 2010.12 2010.11 2010.10 2010.10 2010.08 2010.07 2010.06 2010.05 2010.04 2010.03 2010.02 2010.01
2009 2009.12 2009.11 2009.10 2009.09 2009.08 2009.07 2009.06 2009.05 2009.04 2009.03 2009.01
2008 2008.12 2008.11 2008.10 2008.09 2008.08 2008.07 2008.06 2008.05 2008.04 2008.03 2008.02 2008.01
2007 2007.12 2007.11 2007.10 2007.09 2007.08 2007.07 2007.06 2007.05 2007.04 2007.03 2007.02 2007.01
2006 2006.12 2006.11 2006.10 2006.09 2006.08 2006.07 2006.06 2006.05 2006.04 2006.03 2006.02 2006.01
2005 2005.12 2005.11 2005.10 2005.09 2005.08 2005.07 2005.06 2005.05 2005.04 2005.03 2005.02 2005.01
2004 2004.12 2004.11 2004.10 2004.09 2004.08 2004.07 2004.06 2004.05 2004.04 2004.03 2004.02 2004.01
2003 2003.12 2003.11 2003.10 2003.09 2003.08 2003.07 2003.06 2003.05 2003.04 2003.03 2003.02 2003.01
2002.05-12