秩父郡皆野町「満願の湯」
2008.8.15

15日、秩父郡皆野町の「満願の湯」に出かけた。
この温泉に来るのも、かれこれ、3回目になるか。
木々の緑に覆われた街道を、
秩父市内から、かなり山の中へ入る。
近くには、秩父礼場34番日澤山水潜寺や、
日本名瀑10にも数えられる、秩父「華厳の滝」もある。
「満願の湯」には、3時過ぎに到着した。
駐車場は一杯だった。
お盆真っ只中、車のナンバーは、関東近沿が多かった。
里帰りの人や、観光客なのだろう。

玄関を入り、受付で800円を払い中へ。
広い脱衣所から、大浴場へ。
身体を洗い、湯槽の中へ。
大浴槽は意外と空いていた。
ゆったり肩まで湯につかり、頭へざぶりと湯をかぶる。
湯は、しっとりと柔らかだった。
湯船の向こうは、大きな一面のガラス。
皆野の山々が、昼下がりの陽光に耀いている。

山々の木々は、様々な緑の饗宴。
青緑、深緑、黄緑、萌黄色に、山がふくれ上がっている。
空は、青く高く、白雲がどっかりと腰を据えている。
入道雲ほどの猛々しさはないが、
どうどうと空を銀白色に覆う。
夏の日の晴天。
長閑な里山の景色を眺めながら、湯船に手足を伸ばす。
湯船に落ちる湯音も愉しく響く。

そして、隣の水風呂へ。
ひやっとするが、気を入れて、ざぶりと入る。
底がすこしぬるっとする。
水素イオン濃度9.5の単純硫黄泉。
塩分が少ない低張性で、高アルカリ性冷鉱泉は、とても円く優しい。
泉温を見れば、32度と表示されていた。
想像よりか、思いのほか、高い温度。
浸かるに従い、だんだんと、身体が慣れてくる。
そして、冷たさが心地よさに変わる。

夏休みなのだろう。
子供達が4人も、狭い浴槽遊んでいる。
身体が少し冷えてきたところで、
前にあるサウナで、一汗流し、また水風呂へざぶり。
あの冷たかった、山梨の下部温泉を思い出す。
洞窟の中、泉水風呂の肌に突き刺すような、
冷たさに比べれば、ここはなまぬるに感じられる。

冷泉を出て、渡り廊下への扉を開け、
豆石の敷き詰められた通路を渡ると、
そこに、真四角の広い露天風呂の「宝登」があった。
浴槽は大谷石で出来ているのだろうか、
温泉が微かに乳白色を帯びた翡翠色に。
ざぶりと浸かると、肩まで沈んだ。

秩父の花木
真っ青な空と銀白色の雲間から、
陽光が差し込み、露天風呂を覆う木々の輝きを増す。
陽光を受けた桜の葉の緑が透け、
葉裏の葉脈が、文様となって浮き上がる。
露天風呂の下は、奥長瀞の渓谷。
滝が清流に流れ落ち、
底の見えほどに透き通った川は、きらきらと川面が耀いている。

「宝登」の湯の奥には、木々に抱かれるように、
大樽をかたどった丸い露天風呂「産の湯」がある。
5人も入れば一杯の大きさだ。
すでに、3人の先客がいた。
つるりと滑る床を歩き、大樽風呂へ。
ざぶりと肩まで、ずぼりと沈んだ。
先ほどの露天風呂の湯温は42度。
こちらは、さらにすこし熱い。

山から流れ出る源泉が、竹の樋から、
ざぶざぶざぶと、心地よいリズムで流れ落ちる。
渓谷から、上気した顔を撫でるように、吹き渡る風が爽やか。
裸で、眼前に広がる渓谷の景色を楽しむ人。
家族ずれで、お盆の帰省ついでに訪れた人。
湯船の中で、のんびりと旅情を楽しむ旅人。

そして、先ほどの風呂に戻り、
ゆったり、肩まで浸かり湯を楽しんでいると、
突然、雨が降り落ちてきた。
空は青空。
日もさして明るい。
しかし、雨脚は強く、やがて、空は掻き曇ってきた。

山里の気候は気まぐれだ。
しばらくして、雨も上がり、もとの明るさに戻った。
山々は、霧で煙る山水の世界。
雨で化粧をした山々の緑が、
鮮やかさを増して美しく映える。

露天風呂を覆う桜葉も、
陽光を浴び、さらに緑は鮮烈に燃える。
奥長瀞の温泉郷。
今年も半分は終わった。
残すところ4ヶ月あまた。
温泉と渓谷の霊気。
英気を貰って、後半期も頑張ろう。

2008 8 7 6 5 4 3 2
1
2007 12 11 10 9
8 7 6 5 4 3 2 1
2006 12 11 10 9 8 6 5 4 3 2 1
2005 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
2004 12 11 10 9 8 7 5 4 3 2 1
2003 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
2002 12−11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
2001 12−9 8−5 4−1