昼下がり、水元公園散策
2008.07.06


日曜日の昼下がり、水元公園へ出かけた。
環状7号線を東上。
先週は帰り道、池上から東上したので、ほとんど端から端まで貫通することになる。
ガソリンが高騰しているというのに、我々はいたって暢気なドライブ。
ぶらぶら旅気分、4時半頃、目的地に到着。
広い駐車場には、車がまばらだった。

車を停め、カメラと望遠レンズと三脚のセットを持って出かける。
私はカメラと三脚。
ママは望遠レンズを、ぶらりと首からぶる下げている。
散策道は広く綺麗に整備されている。
道沿いの小さな堀川では、子供達が網で何やら掬っている。
きっと、アメリカ・ザリガニか何かだろう。
世田谷の子供時代が彷彿と蘇るようで、懐かしい景色にほっとする。

やがて、葦や夏草が深く生い茂る道を歩く。
葦原は私達の背ほどに高く、緑濃く、吹く風に微かに揺れている。
道を覆うように伸びた葦を、掻き分けるように進む。
夏草の蒸れるような匂い。
そして、青臭くも、かつて遊んだ野原の匂いが、そこにはある。
遠く近く、たくさんの蛙の合唱。
聞き覚えの無い、野鳥の金属的な、矢のように鋭い泣き声。

葦に覆われた、真っ直ぐな狭い道を進むと雑木林。
その向こうには、池が広がっていた。
池に張り出したデッキ板のような岸では、魚釣りの小父さんがいた。
微かに、漣のように揺れる池面には、
夕日が輝き、対岸の樹木が逆さになって映っていた。

池上を吹き渡る風が、爽やかな香りをのせる。
池面を見渡すベンチには、のんびりと、
何時か訪れる夕靄を待つかのように、三々五々の人々。
回りの木々には鮮やかな朱色、
純白の夏花が咲き誇り、池上から吹き寄せる風にゆらゆらと揺れている。

池岸の広場から散策道へ出る。
昔ながらのキャンディー屋さん。
自転車の後ろにはクーラー。
のぼり旗には、アイスキャンディーの字が躍る。
夕暮れ間近、すでに、一日の商売は済んだとこなのだろ。
商売道具の自転車に跨り、労働あとの安堵の表情。

広い舗装された散策道を進み、さらに深い森の中へ。
すると、そこには小さな池があり、溢れるほどのオタマジャクシが泳いでいた。
こんなにたくさんの、オタマジャクシを見るのは、何時以来だろうか。
池に架かった橋を渡ると、子供達が網で何かを掬っている。
池に餌を付けた糸で、アメリカ・ザリガニを釣る子供達。
バケツには、たくさんのザリガニがいた。

だが、かつて私達が釣ったザリガニには程遠く、
小さくて貫禄の無いザリガニだった。
私達が子供の頃だったら、きっと、が捨てたほどのザリガニだった。
ザリガニが大きく成長する前に、子供達に、
釣り上げられてしまうからなのだろうか。

でも、東京に残された自然の中、
オタマジャクシ掬いや、ザリガニ釣りの出来る子達は幸せ。
これから夏休み。
良い夏の記念となることだろう。
さらに進むと情緒のあるあずま家がぽつり。

黄昏時、深緑に繁る雑木林を進むと、広い散策道に戻った。
広い刈り込まれた夏芝の広場に、点在する木々。
人影も少なく、どこか、長閑なフランス印象派の絵のような景色。
やがて、人造の川とせせらぎ。
広い道を覆う木々の陰翳は、さらに濃くなってきた。

夕暮れ時、雑木林の高い木々には、
無数のカラスが集まり、鈍い泣き声を響かせていた。
夕暮れの残照、空の雲海を黄金色に染め始めている。
川原では、日を惜しむように、子供たちが網を掬っている。
すでに、公園の売店は店仕舞いをしていた。