小さな旅&日記
伊豆・河津桜&熱川温泉
2008.2.24<日>ー25<月>


修善寺
24日、伊豆へ。
早朝、8時に修善寺に到着した。
門前町の狭い街道に、観光客はまだいない。
街道沿いの土産物屋も、まだ閉まっている。
びっしりと立ち尽くす、旅館の玄関に人影はない。
街全体がまだ冬眠しているような静けさ。

何時も車を停める駐車場も、閉まっていた。
営業は9時からのようだ。
他を探すが、めぼしいところも見つからない。
仕方なしに、修善寺の前に、路上駐車。
参道の急傾斜の階段を上り、山門を潜る。
山門には、朝の陽光が照り映える。
手水舎で手を清め、口をすすぐ。
どうしたことか、今日はお清めが冷たい。
水になっているのだ。

前回は、確かにお湯だった。
湯というよりか、温泉だったはず。
ママは、「さすがに修善寺、お清めも温泉だ」と言って感動した。
作法どおりに、水で清めて、境内を進み本堂へ。
掃き清めている寺人が、朝の挨拶をしてくれた。
こちらも、「おはようございます」と返す。
見知らぬ人との一期一会。
朝の挨拶は気持ちが良い。

修善寺・独鈷の湯
お賽銭を収めて、手を合わせる。
境内には、寺人と私たち以外、誰も居ない。
山門に陽光が当たり、陰影は濃い。
境内は静寂。
石の参道を歩く、私たちの足音が響く。
ママがまた手水舎へ。
すると、ママ、「お湯になってる」
私も手を入れてみた。

修善寺梅林
確かにお湯になっていた。
きっと、決まった時間で、
お湯になったり、水になったりするのだろう。
まだ、それほど、参拝者がいない時間なので、水だったのだろか。
山門を潜り、階段を下ると、
我々の車が、朱色の橋の近くに停車してあった。
参道前の土産物屋さんが、開店の準備をしていた。
昨日までの予定では、沼津御用邸の梅を観るはずだった。
だが、沼津到着の時間が早すぎた。
沼津インターを降りて、直接、修善寺まで来てしまったのだ。

車に戻ると、ママが看板を見つけた。
修善寺梅林、徒歩25分の表示。
沼津ではなく、修善寺梅園へ行くことにした。
開店したばかりの土産物屋のおばさんに、車での道筋を教えてもらう。
聞いたとおりに、緩やかな上り坂を、15分ほど行くと、梅林があった。
無料の広い駐車場には、車はほとんどいない。
まだ時間は9時前。
梅林へ続く道端の露店も、まだ閉まっていた。

駐車場から、砂利道を、5分くらい進むと、梅林があった。
広さ3ヘクタール。
樹齢100年の老樹や若木を合わせ、3000本の紅白梅。
紅白の梅の回廊を進む。
微かに、妖艶な梅の香りが匂いたつ。
朝の陽光はますます強く輝く。
空一面、鮮やかな青。
そして、真っ白な雲海が漂う。

梅の花はまだ6分咲きだろうか。
観梅の人たちは、まだほとんど園内にはいない。
しかし、三脚を抱えたカメラマンが、あちらこちらに点在。
絶好のポジションで、カメラをセットしていた。
今か今かと、シャャッターチャンスを伺っている。
最近は、何処に行っても、プロはだしのカメラマンが多い。
私たち団塊の世代の、一つの老後を楽しむ表現方法なのだろうか。

梅園をさらに進むと、竹林があり、手入れの行き届いた杉林。
そこは広い自然公園の赴き。
庭園を一望できる見晴らし台があり、茶室もあった。
散策道を歩くと、様々な碑がある。
上り下りの散策道。
土のぬくもりが、足裏に伝わり心地よい。
東京に住んでいると、すべてが舗装道。
やはり、土の感触は、それだけで、心を癒してくれる。

広い樹林の中、
木漏れ日を楽しみながら歩いて行くと、またしても、梅園に遭遇した。
最初の梅園より、こちらの梅には古木が多く、紅白の梅の花は優雅。
梅園の茶店も、店開きの用意をしていた。
偶然に発見した修善寺の梅園。
梅の匂いに誘われながら、
知らず知らずの間、かなりの道のりを歩いたようだ。
想像以上の見事な梅園。
早朝から、華やかな贈り物をいただいた。
駐車場に戻ると、広い駐車場には、たくさんの車が止まっていた。

浄蓮の滝
時間は10時頃。
梅園を後にして湯が野へ。
しばらく行くと、旧天城トンネルの表示。
旧天城トンネルを抜けるつもりで、細い旧街道を進む。
車一台通るのでいっぱいの街道。
すれ違いざま、対向車の人が、親切にも教えてくれた。
天城峠は凍結状態だと。
スタッドレス・タイヤでも滑ったので、この先は危険ですよと。

引き返して、国道414号に戻る。
そして、新天城トンネルを抜ける。
狩野川沿いの国道をのんびりと、
朝日に向かうようにして、次の目的地、浄蓮の滝へ。
国道414を戻り、伊豆急の修善寺駅を越したあたりから、右折。
山間の道を進む。

河津桜
この道を何回通ったことだろうか。
迷うことのない一本道。
それでも、最初の頃は、何回か道を間違えた。
今では、この道の景色にも、懐かしさを覚える。
なだらかな坂を登り、
緩やかにカーブする街道を進むと、広い狩野川が姿を見せる。
狩野川の清流の川面が、陽光できらきらと鱗光の輝き。
こんもりとした穏やかな山々。
何時来ても、長閑な景色だ。

やがて、浄蓮の滝に到着した。
前回来た時はすでに夕方。
日は落ちかけていた。
鬱蒼とした木々の中、冷気に晒されながら、急階段を下った。
今日は快晴。
樹木の中、遠くで響く渓流の音さえ清々しい。
やがて、樹林の彼方、優美な浄蓮の滝の姿が見えた。
さらに進めば、真正面に、水量豊かな浄蓮の滝。
滝壷の水はエメラルド色で、神秘的だった。

狩野川の清流
だんだんと、観光客も増え、賑やかになってきた。
多くは年配の人たち。
今のお年よりは、皆元気だ。
特に、女性にはパワーを感じる。
ぶらりとしていると、土産物屋さんが、椎茸茶出してくれた。
冷気で冷えた身体に、熱いお茶がとても美味しい。
帰りは、急な階段の上り道。
さすがに、お年よりにはきついようだ。
途中で、休憩をしている。

ママはなんとか頑張って、最後まで登りきった。
駐車場に隣接した売店で、ママはわさびソフトを買う。
やわらかくて滑らかな、甘いソフトクリーム。
とろりと口の中でとろけた後、わさびのつーんと鼻を突く辛さが爽やかだ。
見渡せば、大きな土産物売り場兼食堂が潰れていた。
昔はここが、浄蓮の滝の入り口だったのではないか。
今は反対側が開け、観光バスも停まる大きな駐車場もある。

河津の菜の花
そこに、トイレも整備され、観光センターもあり、大食堂もある。
完全に裏表が逆転した。
裏手になってしまった店が、閉店に追い込まれたのだ。
現代は、一瞬にして、立地条件が変わるから恐ろしい。
土産物売り場でお土産を買い、駐車場に戻る。
そして、今日の第一の目的地、河津へ。

20分ほどで、伊豆七滝。
今日は通過して、
狩野川に架かったループ橋を渡ると、そこは湯ヶ野温泉郷。
湯が野に泊まったのは、もうすでに3年前。
川沿いに立つ旅館には風情があり、映画「伊豆の踊り子」の舞台にもなった。
さらに、湯ヶ野を抜けて進む。
街道沿いに、河津桜祭りののぼり旗が、風にはためく。
そして、河津に到着した。
狩野川沿いに、薄桃色や薄紅の河津桜が咲いていた。

すでに、かなりの見物客が繰り出していた。
何処の駐車場も満杯。
人ごみの中、道路の誘導員に促されながら進むと、駐車場があった。
税務署が解放され、特設の駐車場になっていたのだ。
1日500円の有料。
駐車場を出ると、太陽は頭上に輝いていた。
絶好の花見日和。
風もなく穏やかな陽気だ。

熱川の源泉
桜に誘われるように、川辺の散策道へ。
まだまだ桜は6分咲き。
桜の開花時期は難しい。
前回は、すれすれで、なんとか散り際の桜を見物した。
桜吹雪は見事だった。
今回は、まだ蕾の桜が沢山ある。
でも、足るを知り、今ある姿をおおいに楽しむのが、我々の心情。

弁財天
春間近、きらめく陽光を浴びながら、
桜花の艶なる匂いに誘われながらの遊歩道。
老若男女の人で賑わっていた。
立ち並ぶ露天の呼び声も楽しく響く。
陽光に桜花は透きとおり、微風は桜花の匂いを運ぶ。
たくさんの野鳥のメジロが、花の蜜をついばんでいる。
飛び去るメジロ、すると、すぐさま、また違うメジロが飛び交う。
木々の向こうには、狩野川の清流の緩やかな流れ。

陽光にきらめく川面には、野鴨たちが浮かんでいる。
そして、大きな真鯉が悠然と泳いでいる。
空は限りなく青く、雲海はゆっくりと流れ、
一羽のとんびが大きく旋回していた。
川辺では、家族ずれがお弁当を広げている。
老年、熟年の男女が、車座になっての桜の宴。
若いカップルたちが、川辺の大きな石に腰を下ろしている。
桜花の回廊を進むと、鮮やかな黄色の花咲く菜の花。
桜の薄くれないと、黄色の菜の花の色調は鮮やか。

屋台で焼き鳥を買い、生ビールを飲みながら、我々も道端に腰を下ろす。
知らないうちに、かなりの道のりを歩いた。
さんさんと降り注ぐ陽光が気持ちよい。
川の流れ、遠くの小高い山々。
一面に咲く河津桜は絢爛とした雅。
寒い冬は去り、河津には、一足先に春の訪れ。
花々の精の賛歌。
咲き誇る花々に包まれ、身体に生気を蘇らしてくれる。

熱川の海
時間とともに、ますます、狭い遊歩道は、桜見物の人で溢れ始めた。
遊歩道の最終まで進む。
すでに、1時半過ぎ。
昼食をとることにした。
前回は、料理屋で、地魚海鮮丼を食べた。
地魚満載で豪華な丼。
値段・味もまずまずの二重丸であった。
今回は、少し歩いたので、駅向こうまでは遠慮することに。
でも、それがいけなかった。
何処の店もいっぱいだった。

熱川バナナ・ワニ園
すると、ママが偶然に、定食屋を見つけた。
そこはカラオケスナックで、この時期だけ、定食屋をやっているのだ。
ママは金目鯛の煮付け定食。
私はビールを飲み、昼時の一休み。
さすがに、この時期、次から次へお客様がやってくる。
決して、表通りに面しているわけではなく、目立たない場所。
主人らしき人は、ほくほく顔で絶好調。
従業員たちはかなりのばて気味な様子。
その人間模様のコントラストが、とても面白い。

一休みして外へ出ると、桜の遊歩道は、人で埋まっていた。
次から次へ、大型の観光バスも到着している。
我々は遊歩道裏の道を歩きながら、駐車場へ戻った。
駐車場にも、沢山の車が停まっていた。
これで、私たちの一日の予定は完了した。
ここから伊東方面へ、国道136号線を北上すれば、
本日の宿泊地・熱川へ、30分ほどで着く。
やがて、熱川温泉郷に到着した。

水槽のマナティー
すでに、チェックインの時間、3時を回っていた。
最近の我々のスタイルから行けば、今日のチェックインは遅かった。
宿は、昔からの旅館街の真ん中にあった。
近くには弁財天があり、
その横の源泉は吹き上がり、もうもうと白煙を上げていた。
部屋に案内され、一休みのあと、さっそく、温泉に浸かった。

お湯を口に含めば、微かに塩の味がする。
隣接した熱川弁財天の湯100%かけ流し。
さすがに湯量も豊富で、少し湯は熱めだ。
近くに、湯もみの櫂も置いてある。
身体も温まり、関節の節々もほぐれ、筋肉も弛緩する。
身体の血流も滑らかになるようだ。
今日一日の意外な強行軍。
身体の隅々が、生き返ったようで気持ちが良い。
風呂場は温泉の蒸気で煙っている。

風呂から帰れば、時間はすでに5時。
暫くすれば、夕食が部屋に運ばれてくる。
濁川を眼下に見ながら、椅子に座り、湯上りのビールを飲む。
冷たいビールが喉もとを滑り落ち、身体の中に沁みこんで行く。
やがて、食事が座卓にセットされた。
地魚を売りにするするだけあって、伊勢海老一尾、丸ごとの生け作り。
まだ伊勢海老は生きていた。
長い髭が、右に左に動いている。

伊勢海老の尾に盛られた、白いえびの刺身は、
甘く、そして、ぷちぷちと弾ける心地よさ。
程よい噛み味、口当たり。
ぷちりと噛み切ると、甘い海老の上品なエキスが、口の中に溢れる。
どの料理も丁寧に調理され、調理人の思いが伝わる。
旅館は熱川の旅館街の一等地に面している。
外から見れば、こじんまりした旅館のようだが、奥は広く深い。
造作も昔の造り、手入れが大変だ。
私も料理屋の支配人をしたから良くわかる。

日本建築は、最低、一年に一度は手入れをしなければならない。
畳、襖、障子、柱や天井木地の洗いとワックスがけ。
金のかかることばかりだ。
さらに、京壁が傷めば、修繕をしなければならない。
だが、今の若者たちには、その日本建築の良さがなかなか浸透しない。
一見、使い勝手がよく、豪華で洒落たホテルなどが、もてはやされることになる。

日本建築の古い旅館には、ぜひとも、日本旅館の良さを伝えて欲しい。
日本料理を肴に、伊豆唯一の地酒「萬耀純米吟醸」を飲みながらしみじみと思う。
窓の外はすっかりと暗く、対岸の部屋の明かりが灯っている。
食事を済ませ、窓際の椅子に腰掛けながら、ふくよかに香るお酒を飲む。
伊豆といえども、ガラス窓越しから、冷気が伝わる。
そして、もう一度温泉につかり、深夜、ゆっくりと床に着いた。

翌日、朝の6時半に起床。
障子戸を開けると、今日も晴れのようだ。
早速、温泉へ。
さすがに、廊下は寒いが、風呂場がすぐ近くなので助かる。
すでに、先客が一人、着替えを終え立ち去るところだった。
広い風呂場には、私が一人。
身体を洗い、そして湯船へ。

広い湯船に手足を伸ばす。
熱めの湯を頭からかぶる。
体中の細胞がふつふつと目覚め始める。
身体の芯が開き、胃腸も元気に鼓動をしているようだ。
日本には、何処へ行っても温泉がある。
それぞれに、効用も異なり、臭いや色さえも大きく違う。
日本は火山列島、様々な温泉を楽しむことが出来る。
温泉を楽しむことは、日本の文化なのだろう。
温泉に浸かれば、すべての人は、隔てなく、平等である。

温泉を出て、暫くして、8時の朝食。
部屋に運ばれた食事を、端然と座して、美味しく頂いた。
食事のあと、もう一度、お風呂へ。
やはり、先客が2人いた。
風呂へ出て、部屋に戻り、暫く休むと、チェックアウトの10時。
会計を済まし、玄関を出た。
私たちの車が、玄関前に着けてあった。
そのまま、置かしてもらい、近くの弁済天へ。
冷涼な空気を吸いながら、少し坂を上ると弁財天があった。
その横には、大きな櫓が組まれ、源泉がもくもくと力強く吹き出していた。

すでに、年配の観光客がちらほら。
弁財天にお参りをする。
一心に祈願すれば、
自分の願いが成就すると言うありがたい弁才天さま。
私もあることを祈願する。
横には、溢れ出る熱湯の塔。
そして、源泉の池。
その池にお金を漬けると、お金が倍になるそうだ。
硬貨でも、お札でも良いらしい。
そして、1万円でも。
私は、1万円を漬けてみた。
綺麗にハンカチで拭いて、財布にしまった。
はたして、如何なることになるやら。

お参りを済ませ、ぶらぶらと坂を下り浜へ出た。
浜に石があれば、近くのお婆ちゃんに届けてあげたい。
前回は、湯河原で拾った石を2個、届けてあげた。
とても、喜んでくれて、
お婆ちゃんの実家で出来たお茶を持ってきてくれた。
そして、もう少し、大きい石を頼まれた。
その石は、漬物石に使われるのだった。
でも、浜は砂浜。
石は見つからなかった。

天気は今日も快晴。
広い抜けるような青空。
紺碧の海原の彼方に、優美な大島の姿が、くっきりと浮き上がる。
こんなにはっきりと、大島の姿を見たのは初めてだ。
磯風に吹かれ、浜辺の空気を胸いっぱいに吸い込む。
戻り道、昔ながらの温泉場の街道を上る。
街道沿いには、昔懐かしい遊技場や土産物屋があった。
今はまだ死んだように静かだ。
夜になれば、何処か危うい顔を見せ、
一夜限りの宿泊客で、おおいに賑わうことだろう。

バナナ園
そして、車に戻り、熱川ワニ園へ出かけた。
狭い坂道を上ると、暫くして、目的地に到着した。
入園券1300円を払い中へ。
ワニ園にはすでにたくさんの見物客がいた。
檻の中には、大小さまざまな世界中のワニがいた。
トカゲのように小さいワニ。
嘴が細くて長く尖ったワニ。
水中の中でじっとして動かないでいるワニ。
檻の中の石のの上で、重なるように、仲良く日光浴しているワニたち。

どのワニも、じっと瞬きもせず、微動だにもしない。
大きな口を空中に投げ出し、
じっと口を開けたままで、不自然な姿で固まっている。
獰猛なはずのワニたちも、何処かユーモラスで愛嬌がある。
たくさんの世界中のワニたちを見ていると、
不思議と怖いはずのワニが可愛らしく見えてくる。
ワニを見た後、隣の小屋には、
アロワナが金色に鱗を輝かしながら、悠然と泳いでいる。

展望台からの大島
そして、ワニ園を一回りした後、道路を渡って植物園へ。
階段を上ると、1号室の熱帯花木温室。
みごとなハイビスカスやブーゲンビリヤが迎えてくれた。
1号室を出て2号熱帯シダ温室へ向かう途中、
大きなマナティーが水槽で泳いでいた。
丸々とした大きな巨体で、優雅な動き。
とても、人魚に似ているとは、冗談でも言えないが、愛くるしくてユーモラス。
さらに、3号食虫植物温室へ。4号ブロメリア温室。5号カトレア温室。
6号観葉植物温室。7号熱帯性スイレン温室。
エレベーターを上がり、8号原種ラン温室を訪ねた。

どの温室の花木も手入れが行き届き、見事な温室。
温室から温室への距離、そして高低さ。
かなりの運動量だ。
熱川の温泉を利用した温室はかなり熱く、汗ばんでくる。
普段見ることのない、熱帯の木々や花々。
温室を出て展望台へ。
はるか彼方に熱川の海が、きらきらと輝き、
端正な姿の大島がくっきりと浮かんでいた。
そして、階段を下り入り口に戻る。

次は、植物園の分園へ。
ワニ園前から、専用シャトルバスで出かけた。
蛇行した上り坂を、5分ほど行くと到着した。
ここには、様々な熱帯の植物や果樹が生い茂っていた。
香辛料の木々。
南洋の果物が、木々に、たわわに実っている。
それも、自分のすぐ頭上に、そして、目の前に。
サルが飛び移り、色鮮やかな鳥の声さえ、聞こえてきそうだ。
想像をはるかに越えて、見ごたえがある。
飲食に携わるものとして、
いろいろな発見があり、かなりの学習になる。

さらに、この分園には、レッサーパンダが、
たくさんの檻の中に飼われていた。
とても愛嬌のある容姿。
狸に良く似た姿だが、尻尾は黒と茶の縞模様。
顔の白と茶の隈取は愛くるしい。
でも、つがいごとに檻が違うのは、性格や気性が荒いのか。
さらに進むと、1988年、
セイシェル共和国政府から寄贈された、大きな象亀がいた。
甲羅は大きく、特大の平釜を乗せているようだ。
その甲羅の亀甲模様は深く、長い歴史を背負っているのが分かる。
移り変わる歴史の激動に振り回されることなく、
ひたすら、海の中を泳ぎ続けていたのだろう。

熱川バナナ・ワニ園。
熱海の梅林へ行く途中、
たまたま寄っただけなのだが、思いのほか充実した空間だった。
たっぷり取られてしまった時間。
レストランで休む内に、1時を回っていた。
もう、熱海梅園による時間はない。
帰り道、お客様に教えてもらった、
宇佐美のすし屋で昼食をすれば、もう時間の余裕はない。
熱川バナナ・ワニ園、とても楽しい時間を過ごさせていただいた。