小さな旅&日記

個展&開店祝い、そして、銀座のお店へ
6/24<日>

小雨の中、忙しい一日が始まる。
まずは、蓮根にある酒屋さんでお酒を買い付ける。
結構な出物もあり、立ち寄った甲斐があった。
おかげで、かなりの予算オーバー。
お酒を置きに、店に立ち寄る。
時間はすでに3時半。
そして、秩父の名刹・法性寺の住職の個展へ。
個展会場は京橋。
会場近く、高島屋デパートの駐車場へ、車を入れる。
2,000円以上の買い物で、2時間駐車が無料になる。
差し入れに日本酒を購入。

一升瓶をぶら下げながら、会場に到着。
すでに、大勢の方達が、テーブルを囲み、談笑していた。
壁に掛けられた、荒谷住職の傑作の数々。
さまざまなモチーフの絵が飾られている。
勇壮な両神山の大作、雄渾に描きこまれている。
慈愛にみちて、ほのぼのとした仏さまの墨絵。
漁港・真鶴の町ののんびりとした風景画。
四方の壁の絵に囲まれながらの寛ぎの輪、私達も入れてもらった。

秩父から、わざわざ出かけて来てくれた、住職の仲間たち。
手作りの料理をいただきながら、
甕のお酒を柄杓ですくって、日本酒を飲む。
とろりとして、つるつるころころ、
心地よい磨かれた米の芯のふくらみ。
秩父の皆様はとても優しい。
勧められるがまま、料理と日本酒がすすむ。
気持良い時間、だいぶ尻が重たくなってきてしまった。
しかし、これから、五反田まで、出かけなければならない。
名残惜しいが、皆様に別れを告げて、個展会場をあとにした。
すでに、時間は6時を回っていた。

田中光吉さんの店、「くらんど」宣伝のチラシを頼りに五反田へ。
適当に、道路標識に導かれながら、意外と上手く五反田駅に到着。
五反田周辺をうろうろするが、何処に店があるやら見当がつかない。
洋風居酒屋の客引きのお兄さんに、だいたいの場所を尋ねる。
とっぽそうなお兄さんだけど、とても親切に教えてくれた。
なんとか「くらんど」の近くに到達。
駐車場に車を止め、番地を目当てに、迷いながらも到着。
玄関前には、大きな開店祝いの花輪が飾られている。
店の中には大勢のお客様。
田中店主がウェーター姿で、テーブルへ案内してくれた。

元祖くらんどホルモン焼
ピリ辛コク醤油味 塩味 味噌味
私は生ビールを注文。
運転手のママは勿論ジュース。
自慢の料理、ホルモンが出てくる。
最初はピリカラの醤油味。
身の厚いホルモン、噛めばさくり、噛むほどにジューシーな旨味。
ほくほくと噛めば、ピリカラで程よく甘いタレが、口の中にふくらむ。
さらに、「くらんど」オリジナルの塩味。
さっぱりして、ホルモンの持ち味を、上手く引き立てている。
生ビールのあとは、地元球磨郡の蔵元直送の焼酎。
農大で培養した花酵母で仕込んだ球磨焼酎だ。

花の香りが華やかに広がる。
口に含み転がしながら香りを楽しみ、
ぐびっと飲み込むと、するりと咽喉元を滑り落ちる。
軽く口を開け、空気に触れた香気が、戻り香となって、漂う余韻。
さらに、黒麹の芋焼酎、黄麹の球磨焼酎、
本格球磨焼酎を三つ並べながら飲む醍醐味。
すぐ隣では、元世界チャンピオンの畑山さん、熱くボクシング談義。
現役のボクサーも、かつての日本チャンピオンもたくさん来ていた。
「くらんど」のスタッフ、みな顔見知り。
昨日、そして、今日と満席の大盛況。
きっと、田中光吉さんの第2の人生、成功するだろう。
すでに、8時をゆうに回っている。
店を出ると、光吉さんが見送ってくれた。
今日の予定は終った。

五反田から銀座に向かう。
すると、ママが「ゴーちゃんの店に寄ってみようか?」
早速、ゴーちゃんの勤める歌舞伎座の隣の店へ。
去年、大手の警備会社を退職、今年から勤めた店だ。
学生の時から、働いていた大好きな外食産業。
やっと、念願が叶い、今年から晴れて就職。
大きなお店の1階は満席。
階段を登り2階へ。
さすがにこの時間、2階はガランとしていた。
私達の来店を知り、ゴーちゃんが注文を取りに来た。
サービスマンの服装も凛々しく決まっている。
私は生ビールを、ママはコーヒーとスパゲッティーを注文。
しばらくして、ゴーちゃんが笑顔いっぱい、
料理とお酒をもって来てくれた。
やはり、好きな仕事をしている姿は美しい。
来月の12日、隣の松竹で、
友達が監督をした「ふみ子の海」の試写会がある。
その帰りに、友達たちと寄ることにしよう。
やがて、ラストオーダーがやってきた。
私達もそろそろ帰宅しなければならない。
玄関の外で、ゴーちゃんが私達を見送ってくれた。
そして「マスター、近々、お店に伺います」
それぞれの、新しい人生の門出。
頑張ってください。


「花の寺」長谷山・本土寺<日蓮宗本山>を訪ねて
<建治三年<1277年>、日蓮上人より、本土寺の寺号を授かる>
6/19<日>快晴
   
先日、松戸に住むお客様に教えていただいた。
「マスター、紫陽花だったら、私の家の近くの本土寺、良いですよ」
「お住まい、松戸ですよね?」
「そう。一度は行ってみる価値はあるよ。寺も立派だし、ぜひ、行ってみてください」
そこで我々は早速出かけた。
外環を飛ばせば一気に松戸に着く。
だが、そこから道に迷い、かなりの時間のロス。
   
しかし、最近は早起き。
時間に追われることもなく、3時過ぎ、目的地に到着。
さすがに、駐車場はどこもかしこも一杯。
さらに、2時間800円とはべらぼうな値段だ。
すこし離れたところに、平常料金の駐車場があった。
1時間100円とはありがたい。
でも、場所が松戸の外れの駐車場、妥当な料金だろう。
  
駐車場から5分くらい歩くと、欅の老木が生い茂る参道。
この時間でも、まだまだ行き交う人たちで賑わう。
木漏れ日が落ちる参道を進み、左にカーブすると、色あせた丹塗りの仁王門。
楼門を潜り、中へ進むとかなりの勾配の石段。
さらに真っ直ぐに進むと、入場門があり、大人500円也を払い入苑。
広場には初夏の強い日差しの中、老若男女の大勢の見物客が溢れる。
  
紫陽花の咲く階段を登ると朱塗りの五重塔。
その右手奥には、たくさんのお墓が並ぶ墓地がある。
墓地の彼方から爽やかな風が吹き流れる。
階段を下りて、広場を真っ直ぐに進むと、静謐な本堂。
お賽銭を投げ入れ、鰐口を綱で打ち鳴らし、霊妙に手を合わせる。
順路の立て札に従い、僧坊の潜り道を抜けると、緑の深い道。
ところどころに、紫陽花の花が咲いている。
  
そして、下り道、左手の竹林の彼方に菖蒲田が広がる。
色とりどりの紫陽花に抱かれるように、菖蒲の花が咲いていた。
すでに菖蒲は名残の風情。
満開の最盛時、それはそれは見事な景色だろう。
菖蒲田の真ん中に渡された、狭い木の散策道。
擦れ違うのがいっぱいの道。
左右には、優雅に咲く菖蒲の花々。
   
菖蒲田の水は透き通り、陽光に煌めく。
彼方には、紫陽花の花々が、盛り上がるように咲いている。
奥山の竹林より、吹き渡る風は清涼。
菖蒲田の真ん中に作られた、憩いの広場のベンチに坐る。
初夏の風も、花々の匂いをのせて華やぐ。
大勢の見物の人たちが、思い思いにカメラのシャッターを切っている。
日も少し翳り始め、影の足も深く長く伸びる。
  
寺の回廊の下の道を進み、本土寺の散策順路も終点に近づく。
ふらりふらり、杉木立の道を進めばお堂がある。
さらに進めば、老木の樹幹の間、先ほどの菖蒲田が色鮮やかに広がる。
仏さまが住まわれる天国の花の苑の似姿。
森閑とした木漏れ日の道、小さな滝があった。
そして、滝の水の流れの先に蓮池がある。
さらに、一本の真すぐな道を進むと、いよいよ、順路の終わり。
我々を見送るように、色とりどりの紫陽花が咲き乱れていた。