トイレに張り巡らした棚には、小物類や置物が、所狭しと置かれている。 昔、元プロレスラーのキラー・カーンが来てたころのこと。 私はカンちゃんと呼ぶのだが。 カンちゃん「マスター、このトイレ、こじんまりしてるね」 そのとおり。 当店のトイレには、狭くて、相撲取りは入れないだろう。 カンちゃんが入れば、もういっぱいで、窮屈この上なしだ。 そして、昔ながらの、今は珍しいハイタンク式。 紐を引っ張ると、上にあるタンクの水が、重力の法則で下に落ちるわけだ。 ところが、最近の若い人は、このハイタンク式を見たことがない。 初めての人は、使用後、どうしたものか不安になる。 はてさてどうやって、水を流すのか。 多分、この紐を引っ張ればよいのだろうが、あの上のタンクがひっくり返って、水が上からどかっと落ちたらどうしよう。 しかし、一刻の猶予はなし、やらねばならぬ。 勇気をもって、えいやーっと挽いてみると、以外や簡単、どどーっと水が便器に迸る。 最近、そんなことがよくあるのだ。 私は何人かに聞いたことがある。 若い人に不安と勇気を与えるトイレは、直した方がいいのか? しかし、みんなの意見は、そのままで良いであった。 不安と勇気のいるトイレなんて、滅多にお目にかかれないから面白いというわけ。 ユーモアがあって楽しいということであった。
「マスター、ハイタンク式のトイレって、いまどき貴重品ですよ」 「そうみたい。若い人たち、使い方が分らない人がいるから驚きですよ」 「でも、このトイレはもの凄く、環境に優しいのよ」 なぜかというと、上に溜めた水が、使用時に、重力の法則で下に落ちる。 下に溜めてるトイレの場合、水圧をかけて水を流すのだから、ハイタンク式に比べてたくさんの水が必要になる。 ハイタンク式のトイレは、現在普及しているトイレに比べ、少量の水ですむわけだ。 環境問題は、全地球規模で、取り組んでいかなければならない重要な問題。 小さなことだが、ハイタンク式トイレの普及も、真剣に考えても良いことかもしれない。 小さな事の解決の積み重ねから、大きな環境問題の解決の糸口になる事はよくあること。 ハイタンク式トイレの普及協会でもつくってみても面白いかな。 |