赤塚辺りで、初夏の香、笹の子を摘んで、お土産に持ってきてくれたのだ。 暫らくすると、お客様もみえたので、早速、焼き網にのせて焼いた。 赤塚山の里の香、竹皮に包まれた、泥付の細い笹の子。 ガスの火に焼かれ、竹皮は最初は褐色に色づく。
やがて、竹皮の中から湯気が上がり、笹の子の芽から、ポタポタと熱い雫が落ちる。 火から降ろし、器へ。 アツアツの竹皮をスルリと剥くと、薄黄緑の笹の子が顔を出す。 焼き焦げた懐かしい香。 子供の頃の焚き火の香。
初夏の里の恵み、笹の子。 噛むと、柔らかく、ほんのりと甘く、かぐわしい。 笹の子がよんでくれたのだろうか。 先客万来の楽しい一日でした。 季節の旬、大地の霊力が、きっと存在するのだろう <大木正司さんの略歴> 劇団俳優座養成所(7期)に入所。 同期生に、上田忠好・田中邦衛・露口茂・藤岡重慶・井川比佐志・山本學・藤巻潤らがいる。 1958年、映画「純愛物語」に初出演。 その後は時代劇や戦争映画、テレビドラマに数多く出演。 声優としても活躍。 現在は、劇団青年座に所属。 1961に公開された、黒澤明監督「用心棒」の清兵衛の子分助十役は懐かしい。 |