世界は今、静かなるシングルモルトウイスキーのブーム

1980年頃から、世界中でスコッチウイスキーのシングルモルト・ブームが起きました。
それ以来、アメリカでは特にエクゼクティヴ達が、こぞってシングルモルトを愛飲し始めた。
さて、シングルモルトは、19世紀の半ば頃までは、誇り高い片田舎のスコットランド人達だけが飲む地酒でありました。

しかし、1848年にビクトリア女王が、英王室の夏の離宮パルモラル城の隣に位置する、
ロイヤルロホナガー蒸留所を訪れ、王室御用達の勅許上を与えた頃から、
だんだんとスコットランド以外の地域でも飲まれる様になったのでした。

しかし、まだその量はほんの僅かでありました。
1931年にアイルランド人のイーニアス コフィーが、グレンウイスキーを大量に蒸留可能な、
パテントスチルという画期的な連続蒸留器を発明した。
さらに1860年に酒税法が改正され、グレンウイスキーとモルトウイスキーを、
ブレンドすることが許されたことにより、ブレンディッドウイスキー造ることが可能になりました。

さらにアンドリュー・アッシャーが、現在のブレンディッドウイスキーのアッシャーズを完成し
第1号のブレンディッドスコッチを、市場に出すことに成功した。
やがてスコッチは、イギリスの産業革命の大量消費社会の波に飲み込まれ、
モルトウイスキーは、ブレンディッドウイスキーの味を調える原酒の位置に、甘んじる事になりました。

しかし、モルトウイスキー蒸留所は、頑ななまでに伝統と歴史を継承すべく、
ブレンディッドウイスキー業者に原酒として売り渡すだけでなく、
蒸留所の蔵出し生一本のシングルモルトウイスキーを、オフィシャルボトルとして、市場に出していました
だがその量は全体量の1割にも満たない、ほんの僅かなものでした。

シングルモルトは頑固なまでに、個性的で自己主張が強く、
決して馴染みやすいウイスキーではないかもしれませんが、
一度貴方の心の琴線に触れた時から、無二の友になることをお約束します。