アイリッシュコーヒーでSlainte!
Slainte<スランチャ>はアイルランド語で<乾杯>


1940年代の大西洋航路は、まだ飛行艇時代であった。
飛行艇は一足飛びに、アイルランドからアメリカ合衆国へ渡れなかった。
途中、アイルランドの西200m北にある、シャノン川の中洲にある、フォインズ水上飛行場で、給油しなければならない。

給油の間、飛行艇からボートに乗り換え川を渡る。
冬の寒い日は寒さに凍えながら、ボートを下り、乗客は待合室のパブへ行く。
そんな光景を見て、パブのシェフ・ジョー・シェリダンは、心身ともに温まるカクテルを考案した。

それが「アイリッシュ・コーヒー」であり、時は1943年のことである。
やがて飛行艇の時代は終わり、航空機の時代に移る。
だがアイルランドのシャノン空港は、ロンドンとアメリカ東海岸を結ぶ、航路の重要な給油拠点。

以前と変わりはなく、アイリッシュコーヒーは飲み継がれた。
そして1952年のこと、アメリカ・サンフランシスコ・フィッシャーマンズ・ワーフにある、
ブエナ・ヴィスタ・カフェのメニューに、アイリッシュコーヒーが掲載。
すると、大人気を博し、現在もブエナ・ヴィスタ・カフェは、世界で一番アイリッシュコーヒーが売れる店として有名である。

しかしアメリカでは、ブエナ・ヴィスタ・カフェのある、サンフランシスコにちなみ、サンフランシスココーヒーと呼ばれている。
さらに1960年代の旅客機時代の隆盛とともに、シャノン空港のアイリッシュコーヒーの美味しさも、瞬く間に世界へ伝播した。
アイルランドの玄関・シャノン国際空港にある、ジョー・シェリダン・カフェには、今も発祥の地を示す、記念のプレートがあります。


<アイリッシュウイスキーのレシピー>
アイリッシュウイスキーは好みの量で。
<私は60cc入れ、できればウイスキ-はダンフィーズを使用したい>
赤ザラメのシュガーをお好みで加え、アイリッシュウイスキーを入れ、少し濃い目のコーヒーを注ぐ。
軽くステアした後、たっぷりとホイイップクリームをフロートする。

<飲み方>
飲むときは、かき回さずに飲むほうが楽しい。
冷たいクリームの間から、スルスルと熱いコーヒーが口の中へ。
柔らかなウイスキーの香りが、フワーッと広がり、華やかな充足感を愉しめる。
やがて、砂糖の優しい甘味が、コーヒーの濃厚な味をふくらましてくれる。