錬金術と蒸留器


錬金術
紀元前3500頃、蒸留器は、メソポタミア地方で発明され、おもに、香水を作るために使用されていた。
やがて、アレキサンダー大王が、地中海から東方にかけて、大帝国を築く。
やがて、アレキサンドリアに、文化都市を建設。
そこで、ギリシャ哲学、エジプトの冶金術、そして、蒸留技術が合体、錬金術が誕生する。
紀元前1世紀頃、錬金術師たちは、水銀を発明。
鉄や鉛などの卑金属を、金や銀など、高価な金属に変成する触媒「賢者の石」の生成の実験を、蒸留器を使って試みる。
そして、その副産物として生まれたものがアルコールであった。
しかし、実験を成功するためには、生成者たる錬金術師の精神の純化も求められた。
近代科学がおこる18世紀までは、錬金術は、古代化学であると共に、倫理学であり、哲学でもあった。

蒸留器<アランビック>
紀元前300年頃、ギリシャのアリストテレスが、ワインを蒸留していた技術は、
7世紀頃、アレキサンドリアを制服したアラビア人により、より進化。
蒸留器はアル・アンビックと言わるようになる。
アルはアラビア語で定冠詞。
アンビックはギリシャ語で、蒸留器の上部にある、気体冷却装置をさすアンビクスが、アラビア語に転化。
やがて、蒸留器全体をさすようになる。

ブランデーの誕生
そして、アラビア人がヨーロッパ大陸へ侵略。
アラビア文化・文明と、ヨーロッパ文化・文明と衝突し、融合する。
当時、キリスト教の修道士たちは、ヨーロッパの最高の知識人であり、化学者、哲学者でもあった。
修道会には、王侯貴族から寄進された土地に、たくさんの作物を栽培。
そして、その作物から酒を作り、ワインの蒸留も行なうようになる。
白ワインに沈殿している、黄金に輝く酒石酸の結晶を、取り出すために、ワインを蒸留を試みる。
しかし、黄金の酒石酸は、空気と共に雲散霧消。

しかし、白ワインの黄金を取り出すために、蒸留した気体を、冷却。
偶然にも、無色の液体を得る事になる。
錬金術師たちは、この神秘的な液体を、「液体の火」と呼ぶ。
この液体は、まさに、ブランデーそのもの。
しかし、この時点では、飲むための蒸留液「スピリッツ」と言う認識はなかった。
キリストの血である、聖なるワインを蒸留して造られた液体が、
「スピリッツ」と認識されるには、まだまだ、ずっと先のことである。