スターアニス&アニスのリキュール
そして、インフルエンザ治療薬
2009.5.28

メキシコで発生した豚インフルエンザが、
世界的な大流行(パンでミック)の恐怖を引き起こしはじめている。
その対処薬のタミフルの不足は、深刻な問題になってきた。
このインフルエンザ治療薬の原料がスターアニス
またの名を中国料理でお馴染みの八角。
しかし、この植物は亜熱帯性の気候でしか育たない。
だから、中国南部、ベトナム北部、南部インドなどでしか栽培できない。

この八角を乾燥させ、成分のトウキシミ酸を原料にして、
10の化学反応を経て生産される。
だが、八角の量は限定されているので、すぐに価格は暴騰する。
では、八角を使う料理を食べればよいのかと言えば、そうではないらしい。
度重なる化学反応の後に抽出された、貴重な精油にして初めて治療薬になりえる。

世界中には、アニスを使ったリキュールはたくさんある。
(フランス)ペルノー、リカールなどのパスティス。
1915年、全世界で禁止されたアブサンに、
似せて作る「 se pastiser(似せる)」から命名されたお酒だ。
そして、他には(ギリシャ)ウゾーや(トルコ)ラキなが存在する。

この酒に共通するのは、水分が含まれると薄黄緑の不透明になったり、
灰色を帯びて白濁したり、乳白色に変化する。
この現象は、水分が加わると、アルコールに溶けているオイル成分が分離。
それが膜を作り、乱反射するからといわれる。
何所か歯磨き粉の味がする、妖しい匂いが漂う不思議な酒だ。
八角料理でさえ、効き目はほとんどないに等しいというのだから、
アニスのリキュールも効くわけはないだろう。