GIBSON


チャールス・ダナ・ギブソン<CHARLES DANA GIBSON:1867-1944)は、
19世紀末から、20世紀初頭にかけて活躍した、アメリカの有名なイラストレーターである。
彼の描く女性は、官能的で魅惑的、何処かアンニュイさを漂わす、
憂いをおびた、スレンダーな女性であった。
やがて、人はギブソンの描く、コルセットでキュッと腰を絞った、
白いドレスの、魅力的で耽美的なな女性を、
ギブソンガールと呼び、GIBSON GIRLは美人の代名詞となった。

1891年から1903年にかけて、マンハッタンにある、
バー「プレイヤーズ・クラブ」の常連であったギブソンは、
新聞の有名な挿絵画家でもあった。
仕事の合間に、バーで息抜きをする。
しかし、まだまだ、最終稿の記事の挿絵を描かなければならない。
酔っ払っている訳にはいかなかった。

そんな時、ギブソンのために、バーテンダーのチャーリー・コノリーは、
アルコール抜きの洒落たカクテルを考案した。
マティーニ-のバリエーション、つまり水の入ったカクテルグラスに、
小玉ねぎであるパールオニオンを加えたカクテル、ギブソンを造ったのである。

それ以来、マティーニのオリーブの替わりに、
パールオニオンの入ったカクテルを、素敵に思った人たちは、
ギブソンと言って、バーで注文するようになった。
ギブソンガールは、アメリカの著名な人物や出来事を切手にした、
「セレブリティー・ザ・センチュリー」シリーズに取り上げられている程、
大変に人気があった。


ギブソンというアメリカ大使がいた。
彼は絶対禁酒主義者であった。
しかし、仕事柄パーティーが多い。
そこで、彼は一計を案じ、水の入ったカクテルグラスにパール・オニオンを加え、
いかにも、カクテルを飲んでいるように振舞っていたという。