ジャズメンの語らいは愉しいかな!
2016年6月27日

開店して暫くすると、ジャズメンのKさんとDさんが来店した。
Kさんが来店するのは、2年ぶりだろうか。
今日はDさんが経営するスタジオで、Kさんのジャズ教室があり、そのあと私の店に立ち寄ってくれた。

Kさんは何時ものバーボン・テンハイをオンザロックで、Dさんはテキーラのサウザをストレートで飲む。
Kさんはかつて、米軍キャンプで演奏していた。
その時、将校クラブで、将官に奢って貰ったバーボンが、テンハイであった。

私はKさんのために、思い出のバーボンを、切らさないようにしている。
そしてお酒がすすむに従い、ジャズの話が弾む。
Dさんはウッドベースで、Kさんはギター。

その2人のジャズ談義を聴き、私はダウンビートと、アップビートの違いを再認識した。
Kさんはアップビートとは、生命の躍動であると語る。
重力に逆らいジャッキアップするエネルギーが、アップビートなジャッキアップリズムなのである。

Kさんは右手でリズムを刻みながら、アップビートの意味を語る。
このビートで、すべての音が煌めき、躍動するのだと。
かつて黒人がアフリカから、アメリカ大陸に連れてこられ、奴隷として酷使された。

その苦しさと怒りと悲しみを、ブルースとしてアップビートで表現し、逞しく生き続けた。

Kさんはウエス・モンゴメリーを、2000年に1人のギタリストであるという。、
その超絶技巧は、誰にも真似ることができないと語る。
そしてさらに、MJQの思い出を話した。

「昔ホテルニューオータニで、ライブ演奏をしていた時、MJQのミルト・ジャクソンを除いた、3人が訪ねてきたの。
そこで即興のセッションが始まってね。
コニー・ケイ (1927年 –1994年)、パーシー・ヒース(1923年-2005年)、ジョン・ルイス(1920年-2001年)とのセッションは楽しかったな。
その頃、外国から来たミュージシャンは、ニューオータニに泊っているのが多かったのよ」

さらにKさんは思い出を反芻するように語り始めた。
「ジョージ・ベンソンン( 1943年-)も、俺の演奏を聴きに来てくれ、そのあと、意気投合してね。
俺の友達が経営している、六本木のライブハウスに2人で出かけたね。そこでまた深夜のセッションを一緒にやったよ」

Kさん曰く、「国籍は違っても、音楽の共通の基軸があれば、全てが始まるの」
Kさんが語る遥か昔のジャズシーンは絢爛豪華だ。
当時、スタジオでギターを弾くと、一曲3000円だったそうだ。

1日、12曲は演奏するから、〆て36000円なり。
現在の貨幣価値に換算すると、約6倍として200万円になったそうだ。
まさに古き良きジャズ黄金時代である。