5年後に記念撮影?
2015年3月23日

ある日のこと、看護師のK子さんが来店した。
K子さんが私の店に、最初に来店したのは、20年くらい前になるであろうか。
それ以来の付き合いで、K子さんは看護師仲間や大学病院の医師たちを、大勢連れてきてくれた。

今では函館に住む両親が、東京にやってくると、必ず両親同伴で来店してくれる。
Kさんにかつて、ペルーのブランデー・ピスコを紹介して以来、何時も最初に、ピスコを飲むようになった。
今日は一人でふらりと、ピーポッポへ来店してくれた。

そしてかつて来店した当時のことや、いろいろな懐旧談をしていると、記念写真を撮ることになった。
隣に居合わせた、歯学部の学生のSさんも、仲良く写真に収まった。
するとK子さん「マスター、20年後にもう一度、記念写真を、ここで撮りましょう!」

歯学部のKさんも、頭を上下に振り大きく頷いた。
「そりゃ無理だね。俺は生きていないよ」
すると歯学部のSさん「マスターは死なないから大丈夫!」

私はお店の若いお客様によく言われる。
「僕がマスターのお葬式に行くのでなく、マスターが仏前を包んで、私のお葬式に来そうです」
その時、私は「大丈夫、順番は守るから」と言う。

「それでは、10年はどうですか? 10年なら絶対に大丈夫です」とK子さん。
「いや、無理だね。5年がいいところ。それで行きましょう」
K子さんとSさんは、しぶしぶと同意する。

人間の寿命は誰も知らない。
私のような元気自慢の人間ほど、あっけなく世を去るかもしれない。
果たして、5年後の記念写真は、実現するのであろうか?