マッカラン30年で乾杯!
2012年4月14日

早い時間、KさんとOさんがやって来た。
Kさんは何年振りになるのであろうか?
ざっと考えて8年ぐらいは経っているであろう。

Oさんも6年ぶりになるか・・・・・・。
それにしても久しぶりのことで嬉しい。
13年以上前は医学部の学生で、KさんとOさんは同級生。
そして同時に卒業し、お医者さんになった。

学生時代、Kさんは馬術部で、後輩たちを、たくさん連れて来てくれた。
Oさんも同級生を、また卒業後も、医局の人を誘って来店してくれた。
Kさんは国立病院を辞め、現在は熊本で父親の経営する病院で働いている。

そして時折、東京や静岡に出張に出て来るらしい。
今回はその間をぬい、Oさんを誘って来店してくれたのだ。
それも30年物のマッカランを持参して。

懐かしいマッカラン30年!
10年前のこと、Kさんが30歳の誕生日のことだった。
「マスター、私が生まれた年のマッカラン、3本仕入れて欲しいのですけど」
「と言うことは30年ものだね」

私は早速マッカラン30を3本、仕入れて原価でKさんへ譲った。
そのうちの1本を、Kさんは持参した。
そして40歳になったKさんと、再会を祝しての乾杯となった。
その酒は現在、過去の値段の、4倍くらいに値上がりしている。

マリン・ブルーの格調高い木箱を開けると、同色のラベルで飾られたボトルが姿を現した。
封をソムリエナイフで切る。
コルクの蓋をゆっくりと、気持ちを込めて捻り開ける。

すると40年の歳月の眠りから覚めた、シングルモルトの芳醇な香りが漂い満ちた。
Kさんが3つのグラスに、とくッとくッとくッと注いだ。
そして3人はグラスを持ち乾杯をした。

グラスの中で、40年以上の熟成の色を示す、深い琥珀色の酒が揺れていた。
グラスの中を覗くと、表面にオイリーな虹色が浮いていた。
鼻先に近づけると、例えようもない芳醇な香りが漂う。

口の中に含むと、様々に複雑な香りが、充満してくる。
40年の歳月が織りなす、シングルモルトの馥郁としたハーモニー。
長期熟成の酒を飲みながら、過ぎ去った時をいとおしみ愉しむ。
まさに40年熟成したマッカランは、至上の至福の時を齎してくれた。