夏至の日にスェーデンでは、飲み歌い踊る
2013年6月21日


早いもので昨日の6月21日は夏至。
一年で一番日が長く、瑞々しい作物が実り始める時期でもある。
水田は既に田植えも終わり、稲が青々と育ち始めている。

空は碧く広がり、白い大きな入道雲が姿を現す。
吹き渡る風さえも熱を帯び、降り注ぐ陽光は肌を焼くほどに強くなり始める。
夏至の頃から木々の緑はいよいよ濃く、生い茂る森は陰影を深くする。

生きとし生きるものが、躍動的になる時期である。
この夏至の時、北半球の人間たちは、男女が織り成す祭りを、様々に繰り広げる。
夏至は古来から、人間や動物たちの生殖と繁殖に、おおいに影響を与えている。

季節で例えれば、夏至の時期から自然界は壮年期であり、ダイナミックな成長の時期である。
人間界においても夏至は、新しい生命を生み出す躍動期なのであろう。
スウェーデンでは夏至の日が一番大切な日で勿論祝日である。

この日は男性性器のシンボルを象徴するとも言われる「メイポール」と呼ばれる柱を広場に立て、
柱にはたくさんの花々を飾り、民族衣装に身を包む男女がその周りを一日中舞い踊り歌う。
そして踊り歌い疲れるとお酒を飲み料理を食べる。

それは伝統的なニシン料理やスモーガスボードなどが大皿に溢れる。
スェーデンを代表する酒といえば、アブソリュートなどのウォッカやO.Pアンダーソンとスコーネなどのアクアビットであろう。
アクアビットは北欧に特有の蒸留酒で、ジャガイモを原料にして蒸留し、キャラウェイ・フェンネル・アニスなどの香草などで香り付したものである。

ギンギンに冷やしてグラスに注ぐと、とろりとグラスに蜜のように流れてゆく。
口に含むと香水のような香りが広がり、冷凍庫で冷えた酒は口の中で甘露のようだ。
そして飲み込むと爽やかな芳香が鼻腔を包む。

若い男女がその時愛を語り、激しく抱擁するかもしれない・・・・・・。
夏至を祝う「ミッドサマー」の祝日から数え、9ヶ月後に生まれる子供も多いとも言われる。
大地がもたらす実りは、人間の生の歓喜とも通底するするのであろうか?


この写真はスェーデンの民芸品「ダーラナホース」です。
起源を遡れば400年前に、スウェーデンのお父さんが子供に作ってあげた玩具であった。
それは「幸せを運ぶ縁起物」となり、スェーデンの人に現在も愛され続けている。


26年くらい前の話であろうか?
お客様が北欧のお酒を飲みたいと言ったのがきっかけとなり、ウォッカとアクアビットの飲み比べ会をすることにした。
その時、北欧4カ国の主だったお酒を集めた。

さらにそれぞれの国の大使館に出向き、お酒に関する資料やポスターなどを頂いた。
どの大使館も大変に親切で優しかった。
昔、業界紙の記者を少しの間していたことがあるので、大使館はとても懐かしかった。

その時頂いたポスターの一枚が、上記に掲載しているポスターである。
飲み比べ会の後、天井に貼ったものである。
何処か日本の赤べこに似て、とても親近感があって愛くるしい。