フランスの不思議なお酒、リカールをどうぞ!
2013年6月11日

先週、若い美容師さんが来店した。
彼はペルーノーが好きである。
ペルノーはフランスではとても人気のあるお酒で、アブサンが製造禁止になって以来、その代りに飲まれていたパスティス・リキュールである。
お水が加わると緑色を帯びて白濁する不思議なお酒である。

そこで私はギリシャのウゾーを推めてみた。
するとぜひ飲んでみたいということなので、オンザロックでコースターの上へ。
氷の水分と混じり合い、みるみる内に乳白色に変化した。

「ペルノーと違い、ウゾーはカルピスのような乳白色に変化するのですよ。トルコのラキなども似てますね」
初めてウゾーを飲む彼は、ウゾーを口に含み、にこやかに満足な表情を浮かべた。
そこで私はフランスで人気の高いパスティスのリカールを紹介した。

その酒は南仏の地中海に面する、プロバンス地方の銘酒である。
他にもたくさんお酒をのんだ彼は、リカールは次にしますと言ってお店を後にした。
そして昨日、仕事を終えた帰りに来店してくれた。

カウンターに座るや、早速、先日紹介されたリカールを注文した。
私はリカールをオンザロックで彼の手元へ。
すでに透明だったリカールは、微かにオレンジ色に染まりながら白濁してきた。

グラスを手に取り口に含み、香りを愉しんでいる。
そしてゆっくりと飲み込み、リカールの余韻を愉しんでいるようだ。
「ペルノーに比べて、香りがふくよかですね。そして味に深みがあってとても美味しいです」

17年前くらいのことであろうか?
リカールの注文が多い時期があった。
それも若い女性からのオーダーである。

このリキュールは日本ではとても知名度の低いリキュールである。
そしてどちらかといえば、日本では男のお酒であった。
若い女性がオーダーすることに、少し疑問を感じた私は、お客様に訊いてみた。

すると答えは当時のベストセラーであった、ピーター・メイル著「南仏プロバンスの12ヶ月」(1996年4月、河出書房)と言う本にリカールが登場していたのである。
そこで私も購入して読むと、イギリスのロンドンからプロバンスに移住した有能な広告マンが綴る、プロバンスで暮らすユーモア溢れるエッセイであった。
日本人には馴染みにくい不思議な香りと味のリキュールを、一度トライしてみてください。
ワインでもブランデーでもない、フランスの味を愉しめることでしょう!