パイナップルのしげる峠 ・ピニャ・カラーダ(Piña Colada)を夏の宵に! 2013年8月10日
立秋の8月7日が過ぎても秋風は遠く、毎日昼間は灼熱、夜は燃えるように暑い日が続く深夜、せめてもと一服の涼を愉しみたいもの。 そんな時、トロピカル・カクテルは最高に美味しい。 私のお店でもピニャ・カラーダ(Piña Coladaをお勧めしている。 ラム酒をベースにパイナップル・ジュースとココナツ・ミルクをシェークし、クラッシュド・アイスを詰めたグラスに注ぎ、カット・パイナップルとマラスキーノ・チェリーを飾る。 淡く乳黄色に染まるカクテルは、ココナツの柔らかな甘さとパイナップルの酸味を含んだ甘味が調和し、南国の趣きを添える。 もともとはパイナップルの果肉をすり潰し、裏ごしして作っていたようであるが、現在はパイナップル・ジュースがあるのでとても手軽に作れる。 このカクテルは1963年にプエルト・リコにある、ビエホ・サンフアン市にあったバラキーナ・バーで誕生したと言われる。 バーテンダーの名前はラモン・ポルタス・ミンガで、バカルディラム・パイナップルジュース・ココナツミルクで創作した。 また一説によればカリブ・ヒルトン・ホテルのラモン・マレーロ・ペレス氏は、1955年頃にこのレシピを考え出していたと言われるが、真偽は定かではない。 だがこのカクテルが世界へ広まったのは、氏がホテルのメニューに載せたことに始まることだけは確かである。 このカクテルは1980年代まで、日本では幻のカクテルとも言われていた。 それはココナツ・ミルクが入手できなかったことによる。 アメリカでは1970年代にマイアミやニューヨークで流行し、フローズンスタイルが大流行した。 また1979年には英国生れでアメリカ育ちのルパート・ホルムズ (Rupert Holmes)が、「Partners in Crime」のタイトルをつけたアルバムを発表する。 そしてそのアルバムからシングル・カットした「ザ・ピニャ・カラーダ・ソング」と副題がついた「Escape」と言う曲が大ヒットし、全米1位を記録する。 その歌詞の一節に「If you like Pina Colada」というくだりがあり、ピニャ・カラーダ一は一躍有名になった。 日本ではピニャ・カラーダより、ベースをウォッカに変えたトロピカル・カクテルのチチの方が広く知れていた。 だが現在は名前の響きもリズミカルな、ピニャ・カラーダに人気があるように思える。 さらに2種類のダークとホワイトのラムで作ったものは、バイア(bahía)と呼ばれるカクテルであり、スペイン語で「入り江」を意味する。 そしてラム酒を入れない場合は「ヴァージン・ピニャ・カラーダ」(Virgin Piña Colada)と言い、略して「ヴァージン・カラーダ」とも。 またウォッカが入っていないチチでもあるので、「ヴァージン・チチ」(Vergin Chi-Chi) とも言われる。 さらにバリエーションとして、様々なリキュールを加え、カラフルなカラー・ピニャ・カラーダも最近は作られている。 たとえばミドリ・メロンリキュールで作れば、ミドリ・メロン・カラーダであり、ブルー・キュラソーを入れればブルー・カラーダとなる。 夏の宵、爽やかに南国の味をお愉しみください。 |