オランダの初ニシンとジュネバ

2009年5月22日

目に青葉は日本では初鰹の季節。
オランダでは、5月下旬に、初ニシンが水揚げされる。
そして、最初の1匹は王室に献上。
これが「お召し上がりの儀」という。
この伝統は18世紀初頭から、連綿と伝わるという。
では、2匹めはどうするのかと言えば、高値で取引される。
そして、3匹目からは、普通に市場に出回るが、
やはり高いに相場は決まっている。

日本でもやはり、初物は珍重される。
江戸時代の文久9年(1812)3月25日、
当時は日本橋にあった魚河岸に、初鰹が17本上がった。
6本は将軍家へ。
3本は浅草の料亭八百善が2両1分で買い、8本は魚屋が仕入、
1本は中村歌右衛門が、3両で買ったという記録がある。

かつて、北海道の夕張メロンが、札幌中央卸売市場の初セリで、
2玉200万円まで暴騰したことがある。
さすがに不景気風も強い今年、平年並みの2玉50万円で落ち着いた。
やはり初物、何処でも高根の花なのだろう。
オランダでも、生ニシン「ホーランセ・ニュー」を、
オランダ特産の「ジェニーヴァ(ジュネバジン)」の肴に、
各地の高級ホテルなどで、パーティーが繰り広げえられるという。

ニシンはオランダ語で「ハーリング」
7世紀ころから食用にされていたが、塩漬けの保存食だった。
だが、最近はジュネバの友として、血抜きの後、
海水で洗っただけのニシンを、好んで食べるようになった。
特に、この時期のニシンは、塩味と臭いが強いらしい。
食べ方はいたってシンプル。
頭とはらわたとを取ったニシンの尻尾を、
手で掴んで、そのまま口の中へ流し込むのだそうだ。

ジュネバは、オランダはライデン大学の医学部教授シルビウスが、
熱病の特効薬として開発したものだ。
当時オランダは、東インド会社を16002年に設立、
インドネシアにアジアの本拠地を置き交易をした。
しかし、熱帯のインドネシアには、特有の風土病があり、
その一つ、熱病に苦しめられた。

その特効薬の研究過程に、利尿作用のあるジュニパーべリーを加え、
蒸留した酒が、オランダのジュネバだった。
それを商品化して、莫大な利益をあげたのが、
現代もオランダの巨大企業であり、
現存する世界最古の蒸留会社・ボルス社である。
ジンの発祥地、オランダはロッテルダム郊外のスキーダムで、1575年に創業した。