お酒の話
ゴールデン・スリッパー・カクテル(Golden Slipper)&ゴールドワッサー・リキュール


ゴールデン・スリッパー・カクテル(Golden Slipper)

先日、仙台からHさんがやって来た。
今年大学を卒業して郷里に帰り、家の仕事を継いでいる。
東京にいる頃、来店すると、ラッフルズ・ホテル仕様レシピーのシンガポール・スリングを、最初に飲んでいた。

今日は妙齢の女性と同伴で来店した。
もちろん最初は何時ものシンガポール・スリング、2人に作って差し上げた。
Sさんは次に、イギリス海軍の将校が飲んでいた、海軍強度57%のオーバープルーフのジン・プリマスを飲む。

そして何かお勧めのお酒をと言われたので、私はメーカーズマークVIPを勧めた。
それは今は幻のゴールドトップだ。
Hさんはオンザロックで、笑みを浮かべながら、嬉しそうに飲んでいた。


幻のゴールドトップのメーカーズマークVIP

相方の女性は、カルバドスのポム・プリゾニエールを、ブランデーグラスを柔らかく揺らしながら、香りを愉しむ。
ボトルの中に入った、大きなリンゴを眺めながら、静かに口元へグラスを運び、至福の時を味わう。
最近は男性よりも、女性の方がハードスピリッツを飲むケースも多くなった。

そして女性が店に貼ってあるプースカフェのポスターを見てオーダーをした。
私は10層のプースカフェを作って差し上げたら、「大山でこのカクテルを見られるなんて最高!」と言って感動してくれた。
するとSさん「私にも何か、卵の黄身を使ったカクテルを作ってください」

そこで私はプースカフェシリーズで、卵の黄身を使ったカクテルを作った。
それはゴールデン・スリッパー(Golden Slipper)
ポーランドの金粉入りのリキュール・ゴールドワッサー(Gold Wasser)30cc
卵の黄身を丸ごと1個
フランスの銘酒シャルトリューズ・ジョーヌ(又はシャルトリューズ・ベール)を順番に重ねたカクテルである。

最近はプースカフェ・スタイルよりも、シェークすることが多いようだが、私はプースカフェ・スタイルに遊びがあり好きだ。
Sさん、不思議な顔をしながら、グラスを口につけ、少しずつ飲みこんでいった。
すると「マスター、とろっと卵がとろけ、リキュールと混じり合って、想像以上に美味しいです!」

その日はさらに、卵の黄身を使ったノーアルコール・カクテルのプレーリー・オイスターを作り、
さらに卵白を使ったカクテルのピンクレディーを作って終わった。
Sさん「明日は愉しく帰れます」と言って店を後にした。


ゴールドワッサー・リキュール
(Gold Wasser)




原産国 ポーランド
アルコール分 40%
エキス分 40%


かつてはヨーロッパの王侯や貴族に愛され、黄金色に輝くリキュールは高貴な酒として称賛された。
酒瓶の中には22Kの金粉が煌びやかに舞い、12種類のハーブとスパイスが調合され、味わいを豊饒にしている。
フランスを代表するシャルトリューズ・ジョーヌや、スペイン・バスクのイザラに似た色合いと味わいを持つ。

ポーランドの街グダンスクで誕生した金色のリキュールは、今でも400年前の製法を頑なに継承している。
さらに1962年にポーランドのリュブリャナで開催された、インターナショナル・アルコール・ベバレージ・コンテストで、金賞を獲得している。
残念ながら現在は、市場に見当たらなくなった。