福島の地酒に乾杯!
2013年5月1日

4月21から23日まで福島へ桜を求めて旅をした。
その時出逢った日本酒への小さなコメント。

「夢酔月」
純米吟醸酒だが香りが穏やかで立ちすぎず、上品に仄かにふくらむ。
精米歩合55%の磨きがもたらす気品なのであろうか。
口に含むと滑らかに転がり芳香が広がる。

そして柔らかに吟醸の甘味が、静かに白浪が浜辺に押し寄せるように味蕾を包む。
飲み込むと喉をするりと滑り落ち、ふくよかな香りが戻り香となる。
さすがに酒の里福島! 酒蔵ごとに千差万別の個性を主張する。
いつ飲んでも日本酒は日本人の遺伝子を、心地よく揺すぶり、日本の心を教えてくれる。

「夢心」
会津若松市内で酒屋さんを探す。
城下町には必ず素敵な酒屋さんがある。
店構えを見ると直感的に、店の魅力が伝わる。

すると酒屋さんの玄関が訴えかけてきた。
ぜひお立ち寄りを!
車を停めて店に入った。

「(有)植木屋商店」、十八代目の若き当主が勧めてくれた酒が「夢心」。
冷酒なので香りはそれほどに立ち上らないが、口に含むと酒がじわりと主張する。
熟した梨のような味わいが、口の中に広がる。

決して重くなく舌の上で旨みが腰を据える。
これが奥会津喜多方の酒の力なのであろう。
北の国で醸された酒の本髄なのであろうか。

飲みごたえのある酒は、東北人の熱い心意気と温もりをもたらす。
酒の里福島、粘り強く逞しく燃える福島にエールを送る。
今回の旅で、会津中将、末広、飛露喜などたくさんの福島の地酒を楽しませて頂いた。

また機会をつくって福島を再訪したいと思う。
福島は東日本大震災で、未曾有の被害を被った。
その時、日本の国民は連帯を唱和した。

だが現在、福島は原発の放射線汚染の風評にさらされ苦悩している。
来年も桜は咲き紅葉は訪れ、雪が降り遅い春がやってくる。
そして酒を醸す杜氏たち蔵人は、秋の十月一日から新酒を仕込み始める。
雪深い季節に絞られる、福島の新酒を楽しみにしています。