夜更けのバーで、団鬼六とシュールリアリスム、
そしてコンデ・デ・オズボーン
2013年6月18日

昨日、A子さんが来店した。
まずはモヒートを注文する。
飲み終わると二杯目に、イチローズモルト・ポートパイプを飲む。

先日紹介したモルトは、彼女のお気に入りになったようだ。
そして何気ない会話の内に、官能小説の大家・団鬼六の話になった。
それは団鬼六ファンが主催する読書会に、A子さんは参加しており、前回は川端康成の「浅草紅団」が取り上げられた。

彼女曰く「当時の浅草の時代風景が見えないし、文章が読みにくい」と。
確かに今時の若い人には、すでに准古典的な作品かもしれない。
だが川端康成の初期の作品群の「浅草の姉妹」など、昭和初期の浅草を描いた作品に、川端康成の本性が現れている。

また映画では川端康成の「 浅草紅団」「虹」などの戦後の浅草世界を描く、
1953年公開・島耕二監督「浅草物語」の山本富士子のズべ公ぶりが誠に良い。
さらに団鬼六の話になり、私は氏の小説「真剣師小池重明」を勧めた。

賭け将棋の達人でめっぽう将棋に強い、小池重明の波乱万丈、剛毅でいかさまで自堕落な人生を、
団鬼六が慈愛あふれる文章で描いたものである。
将棋の大ファンで、赤字垂れ流しの日本アマチュア将棋連盟機関誌「将棋ジャーナル」を出版する団鬼六ならではの作品であろう。
さらに読書会の話になった。

私はそのグループの話を聞くうちに、多分グループの人たちは、仏文学者・作家でサド裁判で有名な澁澤龍彦や、
死とエロスを追求し、欧米や日本の哲学界に多大な影響を与えた、フランスの哲学者・ジョルジョ・バタイユも好きではないかと。
やはりその通りであった。

とすればシュールリアリス宣言を唱えた、アンドレ・ブルトンが話題になり、シュールリアリストの画家である、
マックス・エルンストやサルバトール・ダリ等が好きなはずである。
奇人変人奇行の画家は、1964年にスペインの高級ブランデーのコンデ・デ・オズボーン(CONDE DE OSBORNE)のデザインをしている。
白い不透明なボトルに金色のラベルと黄金のボトルネックに飾られ、
ボトルの表面の一部を削り取り、ロココ調の貴婦人をイメージした雅な姿は、さすがダリと唸らせるデザインである。