ルレー・コニャック・XO・ゴールド・トップ、50年の至福の時をどうぞ!
2013年8月30日


ルレー・コニャック・XOを購入したのは、店を開店して間もなくのことだから、30年近くになるであろうか・・・・・・。
それ以来、店の中で静かな眠りについていた。
木箱に納められたコニャックを、いよいよ開栓する時が訪れた。

現在、このルレー・コニャック・XO・ゴールド・トップは、日本市場には勿論、外国市場からも消えていることであろう。
コニャックを生産する貴族ルレー家は、1772年から葡萄畑を所有していた。
そしてコニャック地方ジャンナック町郊外のフーシニャック村にルーレフィス社を1780年に設立し、ブランデー造りを始めた。

それ以来、高品質を保証し、自家で蒸留・熟成・瓶詰まで一貫製産をしていた。
そのコニャックはパリで、ガラス瓶に詰めて売られた、最初のコニャックでもあった。
やがてフランスでは1789年にフランス革命が起こり、激動の時代を迎えた。

だが創業者・ポール・フレデリック・ルレーは、フランス革命を生き延び、
1791年にはコニャック製造免許を、フランス政府から授与される。
さらにナポレオン・ボナパルトの信任を得て、ナポレオンの軍隊へコニャックの御用達業者になった。
その深い伝統と歴史は現在まで、ルレー家の人々により、連綿と継承されている。

いよいよコニャックの開栓をする。
木箱を徐に開けると、金色に輝く蓋と、ROULLET COGNAC XOと金字で飾られた四角いボトルが現れる。
ボトルの中のコニャックが、左右に静かに揺れる。

深い琥珀色に鈍く輝いている。
すると木箱の中に、保証書が入っていた。
その保証書には瓶詰された日付と、バレルNOとボトルNOが書き記されていた。

瓶詰めされた年は1986年12月1日。
コニャック・XOは最高のコント6、たぶん樽の中で20年以上は熟成していたことであろう。
と言うことは、蒸留されたのは、なんと半世紀前になる計算である。

ボトルの蓋に硬く巻かれたセロファンを外し、ゆっくりと開栓をする。
しかし27年間、瓶を守り続けた蓋は揺るぎもしない。
細心の注意を払い力を加えると、ズブッと鈍い音がした。

しまったッ! コルクが壊れてしまったのだ。
蓋をこじ開け、瓶口にこびりついたコルクの残骸を外す。
そしてコルクを抜きとると、柔らかな香りが優しく立ち上って来た。

瓶の中にもコルクの破片が落ち、茶腰でろ過しながらデキャンタージュして他のボトルへ移した。
27年からの眠りから醒めたコニャックが、空気に触れ高貴な芳香を漂わせる。
そしてお客さまのグラスんへ注ぎ、私のグラスにも注ぎ入れた。

グラスをゆっくりといとおしみながら揺らす。
グラスの中のコニャックは深い琥珀色に揺れながら、表面に波紋を描く。
グラスを近づけると、鼻腔を典雅な香りが包む。

蒸留され熟成されて50年の幾星霜、じっと静かに眠り続けたコニャックが、言葉少なに優しく語りかけているようだ。
口の中に含むと舌の上に転がった、コニャックの柔らかな温もりが伝わる。
長い歳月の眠りから醒めたコニャックは多くを語らず、いたずらに自己主張はしない。

しかし酒を心から愛する者へ、慈しみに満ちて囁いてくれる。
静かにコニャックと向き合い、ほんのりと漂う香気をかぎながら、歳月が紡いだ蜜の味を愉しむ。
50年の長い時を愉しむとは、何とも贅沢な至福の時であろうか。

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