バーの言葉の起源

バーという言葉は何時頃出来たのだろうか?
イギリスでは、中世以来、酒場はタバーンやインの中に、食堂兼酒場として存在した。
やがて、その食堂兼酒場が独立し、誰でもが自由に出入りの出来るパブリック・ハウスになっていく。
そこは、飲食が出来る場所であるだけでなく、冠婚葬祭、裁判など、様々な公共的な機能も果たしていた。
時には、革命のためのアジトになったり、盗賊などの溜まり場にさえなった。

ヨーロッパにおいても、フランス革命の狼煙を上げたのは酒場であり、そこからバスチーユ牢獄を襲撃したと言われている。
そのように、酒場とは、もともとは、男たちの娯楽場であるとともに、
体制的な人間も不穏分子もいる、人生の坩堝、まさに、世界の縮図でもあった。

やがて、イギリスのパブ(パブリック・ハウス)に集う人間模様に変化が現れた。
有象無象の人間たちと酒を飲むことを良しとしない金持ちや貴族などは、奥の特別席を求める。
その奥座敷こそ、サローンの初めである。
さらに、それでも満足できない高貴な輩は、会員制にし、
今で言えばロータリークラブのような組織を作り、女人禁制の完全会員クラブを、店に作らせた。

そして、新大陸のアメリカにも、酒文化が、ヨーロッパ人によってもたらされる。
イギリスのタバーンやインにあたるものが、西部劇でお馴染のサローンである。
スイングドアーを開ければ、そこは荒くれ者からカウボーイ、商人、市井の人々が集い、
娼婦たちさえお出迎えしてくれる、酒場にして賭場、さらには買春宿さえ兼ねていた。
大きなカウンター越しにウイスキーを頼めば、キャッシュ・オン・デリバリーで、
ガツンとなみなみと注がれるストレートのバーボン。

だが、もともと、酒場には、バーカウンターはなかったようだ。
すると、酒飲みは、勝手に入って来て、樽のウイスキーをグラスに注いで知らん顔のただ飲み。
そこで、客席と酒場の酒コーナーを分けるために、バーカウンターが出来たとも言われる。
だから、基本的には、バーの語源は、カウンターの横棒のバーのことを言う。
さらに、立ち飲みなので、片足を乗せるステップのバーがある。

そして、当時は、乗り物はほとんどが馬社会。
馬でやって来た人々の手綱を掛けるバーが、サローンの前にあった。
そんなこんなで、バーの語源? だと言われている

さて、そのバーには、裁判所という意味も含まれている。
これもやはり、裁判の法廷と傍聴席を分けるバーから来ているのだ。

小学館プログレッシブ英和中辞典により、Barを引けば、
(米)弁護士業、弁護士団、法曹界 (英)法廷弁護士業
(法廷や議会内の)仕切り、てすり
被告席、裁判所、法廷、裁判、審判などの意味が記載されている。