ロイヤルを冠した三つのスコッチウイスキー

スコッチウイスキには、ロイヤルを冠した名前の銘柄ある。
ロイヤルをつけるためには、イギリス皇室から、ロイヤルワラント(Royyal Warrant)を、もらわなければならない。
ロイヤルワラントを、授けられるのは、直系の王位継承者だけで、
現在はエリザベス女王、エジンバラ公、チャールズ皇太子の3人だけである。

ロイヤルワラントを賜ると、ロイヤルアームス(紋章)を、掲げることができ、正式に英国王室御用達となる。
だが5年ごとに、ロイヤルワラントは更新され、厳しい審査により、ロイヤルアームスの返上もある。
スコッチウイスキーで、最初に勅許状を頂いたのは、ロイヤル・ブラックラで、1833年のことである。

ロイヤル・ブラックラ(ROYAL BRACKLA AGED 12 YEARS)は、
ハイランド中央部に1812年に設立した、スコットランドで、もっとも古い蒸留所の一つである。
イギリス国王ウイリアム4世により、初めてロイヤルワラント(英国王室御用達)が与えられた。

現在もボトルのラベルに、国王ウイリアム4世によって選ばれた、王のウイスキーと明記されている。
現在のブラックラ12年は、華やかな香りと、シェリー樽の豊潤さが、深い余韻を残す。
その後1848年に、ヴィクトリア女王とアルバート公が、
女王の夏の離宮バルモラル城の近くにある、ロッホナガー( LOCHNAGAR)蒸留所を訪れた。

1845年創業のロッホナガー蒸留所のシングルモルトに、女王はいたく感激。
3日後に、蒸留所経営者・ジョン・ベグに、勅許状を届けた。
それ以来、王室御用達の証であるロイヤルを冠し、ロイヤルロッホナガーとなった。

小さなロッホナガー蒸留所は、伝統的な蒸留を継承する、少量生産の代表的な、ハイランドモルトである。
豊潤な香りと、高貴で濃純な味わいが、魅力的である。

さらに1897年のこと、ウイスキー愛飲家のエドワード7世の皇太子時代、
ブキャナン社に、スコットランドを代表する、ブレンデッドウイスキーの製造が委託された。
そして選び抜かれた、原酒で造られ誕生したウイスキーに、ロイヤルワラントが授けられた。

その後1901年に、皇太子が国王エドワード7世になったとき、国王御用達になった。
命名はヨーク公(国王の弟で後のジョージ5世)である。
1920年代こと、日本の昭和天皇が皇太子の時代、イギリスを表敬訪問した。

そのとき皇太子に、国王からプレゼントされたウイスキーが、ロイヤルハウスホールドである、。
それ以来、英国王室の特別許可により、日本で販売されることとなった。
その味は絹のように滑らかで、気品に満ちた、ブレンデッドウイスキーである。
(2020年12月31日)