新潟から新年の贈り物「越後美人 大吟醸」
2017年1月8日

夕方の7時ころ、shotbarピーポッポに、宅急便が届いた。
送ってくれたのは、新潟に住むIさんだった。
荷物は日本酒の一升瓶である。

早速、包装紙をはがし開けると、「越後美人 大吟醸」であった。
なんと精米歩合が、40パーセントとは凄い。
昔ながらの酒槽で、2昼夜をかけて絞ったと書いてある。

Iさんが最初に来店したのは、⒛年以上前になるであろうか。
そののち事情があり、実家へ戻って、すでに10年位たっているであろう。
それ以来、旧お盆や、お正月など、長期休暇を取れたときに上京し、昔の友達たちと来店してくれた。

この数年、上京する機会がなく、来店することもなかった。
今年の大晦日、仲間たちと、ハッピーニューイヤーと言いながら、来るかなと期待していた。
だが、残念にも実現しなかった。

すると新年早々、お正月の挨拶代わりに、新酒大吟醸が届いた。
そして上越市飯田にある、蔵元を調べてみると、蔵人数が4人という規模に驚いた。
だが、創業は文化元年、200年以上の歴史持つ蔵元である。

現社長は6代目で、社長自身も杜氏として、手作りの酒造りをしている。
さらに驚いたのは、普通酒から大吟醸まで、すべて昔ながらの槽(ふね)で、伝統的な袋絞りをしていることである。
現在、多くの蔵では、 「ヤブタ式圧搾機」などの機械で絞り、生産コストを抑えている。

だが、袋絞りは自然な圧力により、人間の手加減により、優しく丁寧に時間をかけて絞る。
その結果、雑味の少ない、きめ細やかで、綺麗な酒に仕上がる。
年の初め、蔵元の軒下に、杉玉(酒林)が吊るされる。

それは新酒が醸されたことを、近在の人たちに教える。
新潟県上越市、緑も眩しい杉玉が飾られた、小さな蔵から届いた「越後美人 大吟醸」
わくわくしながら、グラスに注いだ。

グラスを手に取り、鼻孔に近づけると、微かに柔らかな花の香りが立ち上る。
口に含むと、さらりと舌の上に広がる。
口の中でころころと転がし、空気と触れると、熟れ始めたメロンのような、雅な香りが漂う。

そして気韻に溢れ、花蜜にも似た味が、口の中に溢れる。
飲み込むと、喉元をするりと滑り落ち、そのあと、残り香が心地よく、鼻腔を包む。
米の芯を、究極まで磨き上げた大吟醸は、気品に満ちていた。