マスター&ママの公園散歩
都立葛西臨海公園へ
2023年8月28日

short movie
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都立葛西臨海公園に、最初に行ったのは、40年近く前だろうか?
子供たちはまだ、幼稚園だったような気がする。
水族館の大水槽で、マグロが泳ぎ、子供たちが、興奮していた。

それから四季折々に、花を求めて出かけた。
春先には水仙が咲き、椿が咲く。
秋口に出かけたときは、海岸へ続く散策道に、
松ぼっくりが落ちていた。

足で蹴ると、軽い響きをのせて、転がっていった。
今日は何となく、海が見たくなり、臨海公園へ出かけた。
最初は茨城県大洗に行き、磯崎神社でお参りでもと計画した。

だが日帰りは、少し厳しいかなと、急遽変更した。
正午過ぎ、板橋区の家を出る。
環七から行くこと、70分くらいで、臨海公園に着いた。

駐車場にたくさんの車が、停まっていた。
今はまだ、夏休みシーズン、子供連れが多いのだろう。
前方に、公園のシンボル、大観覧車が見える。

3年前に来た時、観覧車に乗った。
65歳以上は、搭乗券が半額だった。
歳をとるのも、いいものだなと、思いながら、搭乗した。

ゆっくりと回転する観覧車、想像以上にスリルがあった。
360度、遥か彼方まで、見渡せた。
下を見下ろすと、ゾクリッ!迫力があった。

17分の空中遊覧だが、充分満喫した。
今回は乗らず、公園の中へ。
池があり、木道を進む。

前回来た時は、水鳥が泳いでいた。
この暑さ、日陰で休んでいるのか、一羽もいなかった。
緑泥色の池を、何匹かの亀が、泳いでいた。

橋から彼方を望むと、ひまわり畑が広がっていた。
陽光が降り注ぐ夏空に、ひまわりの黄色が映える。
こんなにたくさんの、ひまわりを見るのは、久し振りだ。

ひまわり畑の中を歩くと、53年前の映画、
ソフィア・ローレン主演ヴィットリオ・デシーカ監督『ひまわり』を思い出す。
新婚生活をの幸せな生活を送る、二人のもとへ召集令状が届く。
夫のアントニオは、ソビエトの戦場へ行った。

やがて第二次世界大戦が終わるが、
マルチェロ・マストロヤンニ扮する、
アントニオは戻ってこなかった。

妻のジョバンナは、アントニオを待ちつづけた。
だがアントニオの、消息は分からない。

ジョバンナはソビエトへ、彼を探しに旅だった。
そして苦労の末、アントニオを発見する。
だが、過去の記憶をなくした彼は、命の恩人である、
ロシア人女性と結婚し、幸せな家庭を築いていた。

その悲しみに耐えながら、限りなく広がる、
ひまわり畑を、ジョバンナは歩き続けた。
ソフィア・ローレンの、最高傑作である。
ひまわり畑を眺めながら、四阿で一休みした後、観覧車へ向かう。

観覧車には、大勢の人たちが乗っていた。
下から見上げると、観覧車の大きさに、圧倒される。
観覧車の下を通り過ぎ、海岸へ向かった。

木漏れ日が落ちる、雑木林を行く。
人気無く、蝉の声が林の中に、響いていた。
今頃の季節なら、ツクツクボウシが、鳴いているのだが……。

今年は鳴いていない。
さらに行くと、彼方に海が見えた。
松林の彼方に、青い空と紺碧の海が、輝いていた。

すると前を、園内周遊バスが、通り過ぎて行く。
かつてこのバスに、子供たちと乗ったような気がする。
今は三人の子供たちは、独立している。

時が経つのは早い。
だが、子供がいたおかげで、かつての記憶が、瞬時に蘇る。
それが子育てをしたことへの、贈り物なのだろう。

海岸沿いの石畳を行くと、松林があった。
浜辺に松林は、ステレオタイプだが、趣があり愉しい。
そして子供のころに見た、時代劇を思い出す。

松林を大名行列が通り、侍や町人が、行き交っていた。
そして時に、かたき討ちがあり、決闘があり、スクリーンの前で、驚喜した。
人口海浜を、遊覧船が進んでゆく。

遠くに海浜へ架かる、渚橋が秀麗な姿を見せる。
松林の前の道を進むと、前方に露店が出ていた。
かき氷やアイスクリームの、のぼり旗が、風にたなびいていた。

爽やかな海風が、吹き流れ、気持ちが良い。
海が近いせいなのだろう、湿度が無く、汗がべたつかない。
正面に渚橋が見える。

橋を渡ると、左手の海上に、蜃気楼のように、ディズニーランドが浮かぶ。
橋を渡りきると、洋上に木更津と川崎を結ぶ、海ほたるが小さく見える。
何回、海ほたるを、渡ったことだろうか。

海ほたるのレストランで食べた、
アサリたっぷりの、深川どんぶりを思い出す。
右手遠くに、フジテレビのビルが見える。
昼下がりの海は、陽光に照らされ、銀鱗に輝いていた。

浜辺には、たくさんの子供たちが泳ぎ、賑やかである。
7月16日から8月27日まで、海水浴ができるようだ。
すると、今日が最終日になる。

ライフセーバーが、子供たちの安全を、監視している。
海は穏やかで、波もない。
そして遠浅のようだ。

浜辺に近づいてみる。
江ノ島の海水浴場より、海水が澄んでいた。
だが磯の香りがしない。

やはり人工海浜だからであろうか。
海に磯の匂いが無いとどこか物足りない。
拡声器から、閉園の知らせが、流れてきた。

海風に吹かれながら、一休みして、海辺を後にした。
橋の彼方、青空に夏雲が、陽光に煌めく。
橋を渡り、林の中の石畳を行く。

さすがに来園する人たちは、ほとんどいなかった。
江戸川区立ホテルの前を通り、先ほどの公園入口に着いた。
右手に聳える、大観覧車が、別れを告げているようだった。