マスター&ママの小さな旅
久し振りの伊豆熱川・河津を訪ねて
2023年2月26-27日


午前9時過ぎに、家を出る。
空は晴れ渡り、旅行日和である。
首都高を進み、駒沢あたりで、前方に大きな富士山が見えた。

真っ白な雪を頂いた富士山は、何時みても美しい。
東名に入っても、富士山が度々、見え隠れした。
こんなに富士山を見るのは、初めてである。

厚木から小田原厚木道を行き、西湘バイパスへ入る。
だが渋滞していた。
ここで渋滞に合うのは、初めてである。

やがて西湘バイパスへ入り、海岸線を進む。
左手に紺碧の相模灘が、洋々と広がる。
岸壁で釣りを、している人もいた。

やがて熱海に出る。
昔来た時は、廃墟になったホテルも散在し、熱海は寂びれていた。
今は来るたびに、華やぎが復活している。


国道135号を、網代から伊東へ、一路南下する。
この道を、何度通ったことか。
伊豆の最南端まで、伸びる道は、風光明媚だ。

伊東から北川を通過する。
途中、かつて宿泊した、ホテルが散見し、懐かしい気分だ。
やがて熱川に、午後3時前に、到着した。

しばらくロビーで、時間つぶしし、部屋に入った。
3階のオーシャンビューの部屋だった。
窓の下に河津桜が、みごとに咲いていた。

その先にヤシの木が、立ち並ぶ。
その先に相模灘が広がり、大島の島影が、どっかりと横たわる。
浜から泳ぎ出れば、大島に渡れると、錯覚するほどの、大きさである。

島の山頂も、はっきりと見える。
海はきらきらと、陽光に輝いていた。
やがて小さな漁船が、何隻か左から右へ、海上を動いて行く。

一休みしてから、温泉に出かけた。
本館と旧館に、大浴場と露天風呂がある。
本館へゆき、露天風呂に浸かった。

熱川の湯は、身体に浸みる。
伊東、稲取、熱川の湯は、豊富で泉質が濃い。
まだ浴場に人影は少なく、湯味をのんびりと、味わうことができた。


風呂を出て、部屋で飲む、湯上りのビールが美味かった。
窓外に広がる洋上に、トンネルのような雲が、横に繋がり伸びる。
夕刻も近い、陽光に照らされ、朱色を帯びて輝いていた。

その下の海面に、龍のような白波が、沖に向けて動いていた。
やがて夕食の時刻となり、食堂へ行く。
そして夕食を終えて、部屋に戻ると、窓外の海は、漆黒に変わっていた。

かなたの大島は、闇に包まれていた。
島のホテルや、旅館の灯影が、きらきらと揺れていた。
漆黒の海と、煌めく島の灯を眺めながら、
森本純米吟醸酒「もったいない卸し」を愉しむ。

森本酒造は、銘茶の産地・菊川市で、唯一の酒蔵

頑固なまでな酒造りに、徹する社長は、杜氏も務める。
その酒は年々、評価を高め、愛飲家に圧倒的な、支持を受けている


翌日の早朝、6時ころ目を覚ます。
相模湾に浮かぶ大島の上に、朝日が昇り始めた。
灰色をおびた海に、光の道が、真っ直ぐに伸びている。

早暁の海は、静寂をたたえ、漣が金色の鱗のように煌めく。
大島はまだ眠っているのであろうか。
島の灯は消えていた。

浴衣に着替え、朝湯を浴びのあと、朝食を済ます。
東京を発つときは、ゆっくり東京へ帰るつもりだった。
伊豆はほとんど生き尽くした感じなので、温泉だけを愉しむ予定だった。

だが河津では、2月28日まで河津祭り、桜は満開のようだった。
急遽、河津まで足を、伸ばすことにした。
河津桜を見るのも、4回目になるであろうか。

国道135号を、下田方面へ南下する。
やがて左手に、相模灘が広がり、八丈島以外の、
伊豆の島々がくっきりと浮かんでいた。
これほど鮮明に、伊豆の島々を見るのは、初めてである。

紺碧の海に浮かぶ島々は、何処か長閑で、物語的情趣がある。
国道は長い登りが続く。
相模灘から、心地よい日差しが、車内に伸びる。

熱川から16キロ、約20分ほどの行程である。
途中、渋滞したが、河津桜による、渋滞ではなかった。
約30分くらいで、河津に着いた。

さすがに駐車場は、何処も満杯であった。
町営の駐車場に、順番待ちして駐車する。
駐車代は、1000円だった。


駐車場から、河津川へ行く。
道沿いには、色々な売店が出ていた。
前方に河津桜が広がり、大勢の人並みが見える。

河津川沿いの遊歩道には、桜見物の人たちが、散策していた。
年配客が圧倒的に多いが、意外と若者たちの姿もあった。
だが外国人の姿は、ほとんどなかった。

まだコロナの影響なのであろう。
桃色の濃い、河津桜の回廊は、豪奢である。
他の桜樹に比べ、樹木の背丈が低く、観るものを包み込むようである。

散策道を進むと、桜の老樹の下に、菜の花が咲いている。
桜の濃い桃色と、菜の花の黄色のコントラストが、鮮やかである。
それを背景に、記念写真を、撮影している人も多い。

ひと昔前なら、一眼レフで撮影する人が、殆どだった。
が今は、一眼レフを持つ人が少ない。
多くの人は、スマホで撮影している。

そういう私も、以前はキャノンの一眼レフで、撮影していた。
ママが三脚を持ち、私は望遠付きの、一眼レフを持ち歩いていた。
しかし最近は、一眼レフから、スマホに変わった。

人はやはり、怠け者なのだろう。
安易な方向へ流れる。
だが、一眼レフとスマホでは、写真の深度に差がある。

一眼レフで、撮影する人に会うと、偉いなと変に感心する。
散策道をさらに進むと、来宮橋へ出る。
この先にも、数キロに渡り、河津桜は咲いている。

だが多くの人たちは、ここで引き返す。
河津川から、微風が吹き、桜の梢を揺らす。
そして桜花の匂いが、散策道を流れて行く。

河原へ続く階段を降りる。
階段に腰を下ろし、食事をする人。
のんびりと日光浴の人たちがいる。

河原に降り、河津川の岸辺に立つ。
清冽な水が流れ、降り注ぐ陽光に、きらきらと反射していた。
遠く眺めると、両岸の桜並木が、岸辺に垂れ下がっていた。

早春を告げる、満開の桜と、菜の花の饗宴。
自然がもたらす、絢爛なシンフォニーは、人々に歓喜を与える。
やはり、河津桜を観に来て、よかったと思った。

散策道へ戻りながら、歩いていると、河津川を眺める、人たちがいる。
目をやると、大きな真鯉が、泳いでいた。
散策道には、河津駅方面から、観光客が続々と、押し寄せていた。

駐車場へ戻り、河津をあとにして、東京へ向かった。
伊豆七滝、浄蓮の滝経由で、三島方面へ行く。
この伊豆路を、何回通ったことであろうか。