信州高井村からリンゴが届く!
2022年10月27日

10月27日の午後7時ころ、段ボールが届く。
持ち上げると、ずっしりと重かった。
段ボールを開けると、つやつやした大ぶりのリンゴが、並んでいた。

送ってくれたのは、北信州の高山村に住む、小出さんからだった。
先月、東京へ出張のついでに、shotbarピーポッポに立ち寄ってくれたとき、
シャインマスカットを、送ると言っていたが。

さっそくお礼の電話をかけると、シャインマスカットが間に合わなくて、リンゴにしたそうだ。
小出さんは10年くらい前、池袋の会社に出向し、私の店の近くに住んでいた。
そして会社の友達と一緒に、たばたび来店してくれた。

私たちも小出さんが住む高山村を、6年前の10月31日 に訪ねた。
その前日の早朝に、戸隠神社の奥社をお参りする。
大鳥居を潜り、清流の流れる橋を渡ると、真っ直ぐな参道が伸びていた。
 
枯れ葉の絨毯を、踏みしめながら進むと、隋神門が迎えてくれた。
さらに行くと、杉の古木が並び、森厳な雰囲気を、醸していた。
さらに進むと、参道は険しくなり、ゴロゴロした石組みの、急峻な階段が続いていた。
 
思いのほか、戸隠神社奥社は厳しく、途中、何回か休憩をする。
さらに石段は険しくなる。
大鳥居から、約2キロ余り、石段の先に、奥社が見えた。
  
想像だにしなかった、苛酷な奥社参り。
かつてこの地は、修験者の修行道場であったことを、思い知らされた。
参拝後一休みし、奥社をくだり、大鳥居近くの蕎麦屋で、昼食をとった。

そして高山村に向かった。
高山村にはいると、道路沿いのリンゴ畑に、たわわにリンゴが実り、
一面にリンゴ園が広がっていた。

だが不思議なことに、リンゴは収穫されず、
果樹園の中や路上に、リンゴが無惨に、転がっていた。
最近はリンゴの人気が陰り、出荷量が大幅に、減っているそうだ。

果樹園農家は、転作も考えているらしい。

さらに鄙びた道を行くと、200年以上前に開湯した、高山温泉郷山田温泉に到着した。
すでに午後4時を回り、秋の陽は大きく傾いていた。

旅館の部屋は2階で、松川渓谷が、目の前に広がる。
一休みし、早速湯船に浸かる。
湯煙の向こうに、松川渓谷の紅葉が広がる。

湯船に湯の花が漂い、微かに湯の香りがする。
信州の湯は、すこし熱めだが、体の芯まで浸みこんでくる。
時おり吹きすぎる、渓谷の風が爽やかだった。

夜になると、星が瞬き、三日月が耀いていた。
窓辺の椅子に腰かけ、渓谷を流れる清流の、瀬音を聞きながら、地酒を飲む心地よさ。
強行スケジュールの一日は、ほろ酔い気分で終わった。

翌日、かつて小出さんに教えてもらった、雷滝へ向かった。
途中、総合落差180メートルの八滝に寄り、七味温泉を経由した。
そして雷滝、別名裏見の滝へ。

雷滝の駐車場には、大型観光バスが、駐車していた。
駐車場に車を置き、裏見の滝へ行く。
松川沿いの散策道を下ると、前方に雷滝が見えた。

想像以上の、大きな滝である。
川沿いの岩をくり抜いた、散策道を行くと、滝から流れ落ちる音が、地響のようだ。
さらに行くと、滝の真下の洞窟へ、辿り着いた。

滝に迫り出した、庇のような岩盤の前を、豪壮な音を響かせながら、滝水が滝壺へ流れ落ちる。
凝灰角礫の岩肌を切り裂く、高さ30メートル、幅5メートは圧巻であった。
一瞬にして、裏見の滝の意味を、理解した。

日本には、人知れず存在する、滝の名所があることを、あらためて認識した。

高山村には、小出性が多いらしい。
私の店のお客様で、経済評論家の岩崎さんがいる。

偶然にも、高山村出身で、小出性のことを、教えてもらった。
高山村から届いたリンゴを見て、あの時訪ねた、高山村が瞬時に甦った。

今が高山村の、紅葉シーズン。
山里の紅葉の赤は、復活しているであろうか?
高山村から、送られたリンゴを見て、かつて訪れた高山村を、懐かしく思い出した。