国営武蔵丘陵森林公園の羽毛ゲイトウを訪ねて
(埼玉県比企郡滑川町山田1920)
2022年10月2日
国営公園第1号の、武蔵丘陵森林公園こ、最初に来たのは、30年以上前だったろうか。
私の子供たちが、小学生と幼稚園児だった。
文京区から、板橋区に引越し、東武東上線沿線が、すべて新鮮だった。

今日は行楽日和、関越を下り、森林公園に着いたのは、2時半頃だった。
第1駐車場は満杯で、第2駐車場に、駐車料金650円払い車を置く。
遠く正面に玄関が見えるが、すっかりかつての記憶はない。

さすがに国営、65歳以上は入場料金が、シルバー割引。
半分以下の1人210円だった。
わずかな額だが、嬉しいものだ。

ゲートを潜ると、正面に銀色のアーチが、待っていた。
アーチを抜けると、右手に黄色い果実が、たわわに実っていた。
近づいて見ると柿だった。

さらに進むと、左手に沼が広がっていた。
橋を渡り、渓流広場へ向かう。
風もない沼は、静謐を湛え、たくさんの真鯉が、泳いでいた。

すると沼の浅瀬に、真っ白なサギが、歩いていた。
たくさんの鯉に、サギが生息していることは、沼の水質が良い証だろう。
かつて日本の湖沼が、全国的に汚染され、腐臭さえ放っていたところも多かった。

だが環境問題と、誠実に向き合うことにより、日本の湖沼は、甦り始めている。
さらに行くと四阿のある、広場に出た。
家族連れやカップルが、のんびりと休んでいた。

私たちも売店で、ソフトクリームを購入し、食べながら一休みする。
そして羽毛ゲイトウを求め、看板を頼りに歩く。
すると前方に、金色、朱色、緑の園が広がる。

未だ見たことのない植物群。
花なのか葉叢なのか知らないが、コリウスという植物だった。
最近はネモフィラやらコキア、芝桜など、今まで知らなかった草花々の、名所が増えた。

花を愛でる人たちが溢れ、日本の平和を、象徴しているようである。
雑木林の中に広がる、約13万株のコリウスは、秋の木漏れ日を浴び、煌めいている。
小高い丘は、色とりどりの鮮やかな絨毯が、敷き詰められているみたいだ。

コリウス園の丘を下り、羽毛ゲイトウへ向かう。
秋陽が落ちる、雑木林の道を進む。
清涼な空気が漂い、心が洗われるようだ。

これから11月を迎え、木々は紅葉し、秋色を深めるだろう。
雑木林の木々のあいだに、蜘蛛の巣が広がる。
そこへ陽光が射し込み、銀色に反射していた。

すると右手に、立て看板が立っていた。
その先に細い道が、奥へ続いている。
看板を読めば、細い道は中世に出来た鎌倉古道で、小田原や鎌倉に通じていた。

かつてこの道を、熊谷直実や、畠山重忠の関東武士が、鎌倉へはせ参じた古道であった。
鎌倉古道を右手に見ながら、しばらく行くと、看板が建っていた。
看板に従い、左手に折れ下ると、左彼方に紅色の、羽毛ゲイトウが見えた。

その手前に広がる草むらに、テントが張られ、家族連れが、昼下がりの陽光を、楽しんでいる。
羽毛ゲイトウの丘の前に、銀色のアーチがあった。
アーチを潜ると、紫色のアサガオが咲き、幾つもの瓢箪がぶら下がっていた。

緑の蔦に、薄茶の瓢箪が生ってる姿を見るのは、初めてである。
潜り抜けると、羽毛ゲイトウが、陽光に照らされ、眩いほどだった。
子供のころから、ケイトウは知っていたが、これほどの量は圧倒的である。

花畑は約4500メートル、約40万株は、見事である。
古くは万葉集に詠まれ、雄鶏のトサカに見立て、鶏頭と呼ばれ、人々に親しまれた。
ふわふわした紅色の花穂の間に、黄色の羽毛ゲイトウが、アクセントを添えている。

7月末から8月上旬に植えられた、羽毛ゲイトウは、今が最盛期なのであろうか。
コロナの影響なのであろう、花の丘は一方通行であった。
人と人がすれ違うことを、避けているのであろう。

何時になったら、マスク着用や、様々な規制が、なくなるのであろうか。
一方通行の指示に従い、小高い岡を上る。
花の丘の彼方に、草むらが広がり、青空が大きく、広がっていた。