誕生日祝いに京都から美酒が届く

2022年8月26日


8月16日のお昼頃、クール宅急便が届く。
差出人は京都に住む、娘婿からだった。
さっそく段ボールを開けると、紫色の箱が三つ並んでいた。

箱には誕生日、おめでとうございますと、書かれていた。
私の誕生日は8月13日。
そのお祝いに送ってくれたのだ。

今年から私も、後期高齢者の、仲間入りである。
この歳まで、現役で働くとは、夢にも思わなかった。
箱を開き、日本酒を手に取る。

私が飲んだことのない、佐賀県の光榮菊酒造の酒であった。
光榮菊酒造は、明治4年(1871年)創業だが、平成18年(2006年)に廃業した。
だが、TVの映像制作会社に勤務していた日下智氏と、田下祐也氏が、名杜氏山本克明氏を招き、2019年に復活させた。

日暮れ時、晩酌の時間がやって来た。
冷蔵庫で冷やした、無濾過生原酒光榮菊を開ける。
フルート型の透明なグラスに、トクトクと注ぐ。

グラスを手に取り、目をやると、微細な泡が、途切れなく立ち上る。
そのシャンパンよりも、きめの細かい泡が、リズミカルで楽しい。
グラスを鼻先に近づけると、マスカットのような、微香が漂う。

口に含むと、柔らかく口内に膨らむ。
舌先に転がすと、熟しかけたメロンと、グレープフルーツのような香りが、ほのかに広がる。
さらに気品のある甘さを、清涼な酸が、心地よい豊潤さに、変容させた。

グイッと飲み込むと、芳香が戻り香となり、気韻を響かせる。
まだ若い酒蔵の蔵人たちの、情熱を感じた。
これからもさらに、この醸造所は、進化するだろう。

この酒のほかに、あと2本あり、楽しみである。
聞けば、この醸造所は、京都の娘婿の取引先で、彼の一押しだそうだ。
誕生日祝いに贈られた美酒、飲み過ぎないように、大切に味わいます。