マスター&ママの小さな旅
冬の伊豆城ケ崎へ
2021年12月20日
  
早暁、目を覚ますと、朝日が水平線に、姿を現し始めた。
垂れこめた空は、茜色に染まり、海上に光の道が、黄金色に輝く。
どうやら今日も、快晴のようだ。
 
やがて青空が広がり、大島の島影が、洋上にくっきりと見えは始めた。
時間は朝の6時半。
階下へ朝風呂を、浴びに行った。

大浴場に人影は少なく、身体を洗い、風呂に浸かる。
前方に伊豆の島々が、紺碧の海に浮かんでいる。
隣に露天風呂がある。

扉を開け、岩風呂に入る。
早朝の冷気が、身体を刺す。
湯はしっとりと身体を包み、無色透明の弱食塩の湯に、快い重さを感じた。

熱川の源泉は、体に浸みる。
風呂を出て、部屋に戻り、窓外を眺める。
すでに強い陽光が、降り注いでいた。

海辺に目を移すと、磯遊びをする人が見えた。
しばらくすると部屋に、朝食の用意ができた。
食事を済まし、ホテルを9時半ごろ、チェックアウトした。

そして城ケ崎に向かった。
城ケ崎は今度で、3度目くらいだろうか。
門脇吊り橋と、絶景を思い出す。

国道135号を、熱海方面へ進む。
右手に相模湾が、洋々と広がる。
麗らかな日を浴びながら、のんびりと伊豆路を進む。
 
20分ほどで、門脇吊り橋と、門脇灯台の、市営駐車場に着いた。
紅葉も終わった、平日の駐車場は空いていた。
車を降り、しばらく行くと、彼方に白亜の、門脇灯台が見えた。
 
右手の雑木林の奥に、日に輝く海が美しい。
灯台を見やりながら、坂道を行くと、門脇吊り橋の前に来た。
吊り橋へ進む。
  
吊り橋に人は少なく、好きなところで、写真が撮れた。
吊り橋の下を、見下ろすと、ぞっとするほどの迫力である。
岩礁に波が寄せる。
前回の時は、風があり、岩礁を激しく、高波が襲っていた。
今日は波静か、遠くの岩礁も、静謐の中に、浮かんでいる。
橋を渡りきると、右手にごつごつした、岩場が広がる。
前回は岩場を進み、岸壁から絶壁を、見下ろした。
ここから落ちれば、確実に死ぬなと想像したことを、思い出す。
すでに後期高齢者に近い我らは、今は無理をしない。
 
正面の高台に、相模湾を見渡す、四阿風の展望台があった。
そこに腰を下ろし、相模湾と伊豆の島々を眺めた。
やはり伊豆、冬の日差しだが、痛いほどだった。
 
正月も近い城ヶ崎に、観光客は少なく、のんびり散策を楽しめた。
吊り橋へ戻る途次、相模湾に目をやる。
海は逆光となり、銀鱗の輝きであった。
  
橋を渡りきると、前方に門脇灯台が見えた。
その灯台の下の売店で、一足先に吊り橋を渡ったママが、ソフトクリームを食べていた。
柔らかな磯風のなか、ソフトクリームが、冷たく甘く口の中に、広がるだろう。