マスター&ママの小さな旅・浜名湖N02
小雨降る浜名湖遊覧!
2020年10月19日

早暁、露天風呂に入る。
朝の清涼な空気が漂う。
まだ入浴客は少なく、露天風呂の独り占めである。

目の前に内浦湾が広がり、右手彼方の湖畔に、遊園地の観覧車が見える。
湖は鏡のように、静かさを保っている。
遥かな山並に曙光が、力なくさし始め、また消える。

空は墨を溶かした灰青色で、重たく垂れこめている。
今日の天気予報は、曇り後小雨のようである。
湯味はさっぱりとして、昨日の酔いを醒ましてくれた。
 
風呂を出て、朝食のあと、10時前にチェックアウトする。
ホテルから、ロープウェイ乗り場の前にある、遊覧船乗り場へ行く。
駐車場に車を置き、チケット売り場で、1100円の乗船券を購入する。
 
係員が、ちょうど船が着岸したので、乗船してくださいという。
遊覧船は小型で、可愛らしく、乗船客は私たち2人だけだった。
そして私たちを乗せて、小雨降る、浜名湖遊覧が始まった。
 
若い船長が、舵を取りながら、見どころを説明する。
岸壁を離れ、しばらく行くと、彼方に遊園地の観覧車が見える。
だが時間が早いせいか、回転していない。
 
やがて昨日訪れた浮見堂が、小雨降る湖に、ひっそりと姿をみせる。
その佇まいは、中国寒山の風情に、似ているのであろうか?
湖を遊覧船が、ゆっくりと進むと、様々な奇岩が、湖面に顔を出す。
 
きっとそれぞれに、名前が付いているのであろう。
最大搭載人数20人、乗客18人乗りの遊覧船は、湖を静かに滑ってゆく。
乗客は私たち2人なので、若い船長に尋ねると、親切に答えてくれた。
 
やがて前方に、東名高速道の、赤い浜名湖橋が見える。
近づくにつれ、全長603メートルの橋の威容が迫る。
そして橋の真下を通過するとき、橋の迫力に圧倒された。
橋の下を潜り抜けると、前方の湖畔に、ホテルが立ち並んでいた。
右手に三ケ日パーキングエリアが、湖を見下ろす高台に見える。
すると船長が、カモメが今、魚をキャッチしたことを、教えてくれた。
 
見るとカモメは、大きな魚を、嘴に挟んでいた。
カモメの飛来する季節になると、たくさんのカモメが、遊覧船を追いかけるらしい。
湖畔が秋色に染まる頃、紅葉する樹々とカモメの白が、美しいコントラストを描くだろう。
  
遊覧船は静かな湖面に、小さな航跡を残しながら進む。
やがて前方に、見慣れた風景が広がる。
浮見堂の前を、通過するとき、堂の屋根の上に、観覧車が回っていた。
   
さらに行くと、左手の湖畔に、昨日泊ったホテルが見える。
すでに30分近く経過していた。
ゆっくりと桟橋が近づき、遊覧は終わろうとしていた。