2020年8月の小さな旅No1
マスター&ママの四万温泉めぐり
2020年8月30日

早朝、奥四万湖に着いた。
野草が咲く、無料の駐車場に車を置き、奥四万川ダムへ出かけた。
ここへ来るのは、2度目である。
 
あの時は、昼時であったような気がする。
初夏の陽光が射し、爽やかな風が、気持ちよかった。
大勢の観光客がいて、その隙を見て、記念写真を撮ったものだ。
 
さすがにこの時期、早朝とはいえ、人影は少なかった。
私たちも、コロナ感染症のため、今年初めての、小さな旅である。
ダム堤の散策道を行く。
 
眼下の湖が、エメラルド色に、輝いていた。
ママは少し、不満なようである。
「大人の休日倶楽部」で、吉永小百合が、真っ青な湖を、カヌーで滑っていたからだ。
 
この湖の特徴は、四万ブルーなのだそうだ。
きっと季節や天候や時間により、変幻するのであろう。
湖の透明度は、日本有数を、記録したこともあるのだ。
 
湖は静謐で、深い神秘をたたえていた。
右手を見ると小屋があり、下におりる、レイルが伸びる。
この設備はインクラインで、ここから湖水管理の船が、おりるようだ。

吉永小百合のカヌーも、ここからおりたのであろうか。
カヌーらしきものは、まったく湖上に、浮いていなかった。
湖の奥に、オレンジ色のブイが繋がれ、湖面を二つに区切っている。
 
そのブイの真ん中あたりが、二つに別れ、湖面を往来できるようだ。
散策道の説明板を読むと、ブイは網場あるいは、流木止めと言うらしい。
湖に流れ込んだ、流木やゴミが、ダムの放流設備を、傷めないようにしているのだ。
 
それ以外に何もない湖は、夏の木々の、緑に包まれていた。
湖上に時おり、吹き渡る風をうけ、湖面が微かに波立ち、鱗のように輝く。
ダムの上から、眼下を見下ろすと、吸い込まれそうな、錯覚に襲われた。
 
眼下の湖面は、光と影を映し、エメラルド色のグラデーションが美しい。
散策道の終点は、国道353号線に接していた。
そこに小さな休憩所があった。

前方にダムが見渡せ、朝日が雄大な姿を、照らしていた。
すると前を、カヌーを担ぐ、若者が通りかかった。
聞いてみると、カヌーを湖に浮かべる、会社の人たちだった。

吉永小百合の乗るカヌーも、その会社のものだった。
今日はたまたま湖上に、姿がなかっただけのようだ。
私たちは記念撮影をし、駐車場へ戻ることにした。
 
ダムの散策道を、先ほどとは、反対側を行く。
こちらはダムの水が、放水される側である。
眼下は切り立つように鋭く、目が眩むほどの、迫力である。

放水路の周りは、公園になり、緑が溢れている。
さらに行くと、ヤマユリの絵が、鉄柵に飾ってあった。
中之条町の花と、書いてあった。

先ほどいた人たちの姿もなく、閑散としていた。
すでに、奥四万湖に、秋の気配が、忍び寄っているのだろうかか。
赤とんぼが数匹、飛んでいた。
 
そして駐車場に戻り、少し休み、四万温泉へ向かった。
奥四万トンネルを潜り、下り坂を行くと、四万温泉街に着いた。
川沿いの無料駐車場に、車を停めた。

四万温泉街の道路は、何処も狭く、車がすれ違う時は、かなり緊張する。
狭い道や山道の運転を、得意とするママも、少し閉口しているようだ。
都会だったら、確実に一方通行の広さである。

駐車場から、四万川に架かる、萩橋を渡る。
右手前方の河原に、共同湯の河原の湯が見える。
入り口は狭いが、中はどうなっているのだろうか?

眺めていると、男女の人の、出入りがあった。
橋を渡りしばらく行くと、正面に積善館本館が見える。
前回来た時に、お世話になった宿だ。

昔の湯治場の、雰囲気を残す宿だった。
広い浴室はモダンで、大正ロマン情趣に溢れていた。
そして
アーチ型の窓から、陽光が射し込み、旅愁を深めてくれた。
 
温泉街の路地を、歩いていると、お昼時になる。
近くのお蕎麦屋さんで、昼食をとった。
せいろ蕎麦は手打ちで、腰があり美味しかった。
 
食事のあと、四万温泉辺りを散策し、ホテルへ直行した。
四万温泉の名所旧跡は、前回にほとんど訪ねている。
今回は四万温泉の、湯味を愉しむ旅で終わる。