ようこそ【Bookcover Challenge-No2】へ!
Yoko Gavernさんから【Bookcover Challenge-】へ招待されました。
#Yoko Gavernさんはアメリカ合衆国のサンタモニカ在住で、お会いしたことはないのですが、FBの友人です。
【Bookcover Challenge-とは、「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、
参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」と言うものです。
今日から1週間、私の好きな7冊の本を、ご紹介しますので、お付き合いのほどを。

【Bookcover Challenge-No2】は辻 嘉一(1907年-1988年)著『食味』です!
2020年7月29日

京都の懐石料理「辻留」の二代目主人の本は、私が料理屋の支配人をしているとき、愛読していた。
日本の伝統料理や、和食の世界を分かりやすく、滋味のある文体で書かれている
この本も日本の食味を、楽しく教えてくれる。

伝統ある懐石料理の、名料理人は気どりなく、優しく日本料理と、日本料理の本質を伝えてくれる。
名料亭「吉兆」の主人・湯木貞一(1901年-1997年)の『吉兆味ばなし』も、日本料理を優しく語る。
伝統を大切にし、料理の心を大切にする名人は、辻 嘉一同様に、文章も明瞭で練れている。

日本料理を家庭で、手軽に作れるように、丁寧に心配りのある文章で、つづられている。
この眼差しがあれば、かつて起こった、「船場吉兆」の忌まわしい事件は、起こらなかったであろう。
湯木氏と辻調理師学校の辻 静雄(1933年-1993年)は、心を許せる親友であった。

辻氏の自宅の調理場で、湯木氏と辻氏は、定期的に料理サロンを開いた。
そこにレストラン「ラ・ピラミッド」のオーナーシェフ・フェルナン・ポアン(Fernand Point1897年-1955年)の弟子
ポール・ボキューズ(Paul Bocuse1926年-2018年)は招かれた。

そして湯木氏の「吉兆」で和食に出会い、ポール・ボーキューズは、
ジョルジュ・オーギュスト・
エスコフィエ(Georges Auguste Escoffier1846年-1935年が確立した、
伝統的高級料理「オート・キュイジーヌ」に対し、ヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)を、進化させることになる。

その結果として、日本料理が世界へ飛躍する土壌を、生み出したともいえる。
懐石料理の達人・辻氏は、文章の名手でもある。
さりげない文章に、和の心や、おもてなしの心が響く。

一期一会の心で、旬の材料を探し、素材の持ち味を大切にして、料理を作る。
料理人が心を込めて、作ってくれた料理に感謝し、いただく人はご馳走様と手を合わせる。
亭主と客が、真摯に交流するのが、和食の心だと説く。

そして、料理とは「理を持って料る」ことであると。
不自然なことや、無理なことはせず、道理にかなったことをすることが、料理である。
美味しい料理は、素材の持ち味を大切にし、繊細で真心のこもった、優しい心から、生まれる。

読書を愛する#Yoko Gavernさんと皆様へ