ようこそ【Bookcover Challenge-No1】へ
2020年7月28日

Yoko Gavernさんから【Bookcover Challenge-】へ招待されました。
#Yoko Gavernさんはアメリカ合衆国のサンタモニカ在住で、お会いしたことはないのですが、FBの友人です。
【Bookcover Challenge-とは、「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、
参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」と言うものです。
今日から1週間、私の好きな7冊の本を、ご紹介しますので、お付き合いのほどを。

最初の1冊は、当初は発禁処分となった、永井荷風著『ふらんす物語』です!

永井荷風(1879年-1959年)が30歳の時の作品で、当時のパリが絢爛と表現されています。
演劇を志していた私には、当時の大スター・サラ・ベルナールの公演を、観劇していることに驚きました。
ポスターはもちろん、サラ・ベルナ-ルの『椿姫』のポスターで、一躍時代の寵児となった、アルフォンス・ミュシャです。

さらに当時無名の荷風は、パリ在住の詩人・上田敏と出会います。
すでに詩人として、また翻訳家として高名であった上田は、荷風青年を大いに気に入り、森鴎外に紹介状をしたためます。
そのご、荷風は鴎外が住む、現在の文京区にある、「観潮楼」を訪れる。

その時、鴎外に会い、感銘を受けた荷風は、鴎外を心の師とし、生涯にわたり尊敬しました。
鴎外もまた、17歳若い荷風の才能を認め、明治43(1910)年に、慶應義塾大学部文学科の教授に、推挙している。
荷風はフランスへ渡る前、アメリカ合衆国へ行き、帰国後『あめりか物語』を書いています。

だが、荷風にアメリカは、性に合わなかったようで、作品に精彩がありません。
やはり、ボードレールに耽溺し、文化的感性の豊かな荷風に、パリは共鳴したのであろう。
『ふらんす物語』は、詩情に溢れ、官能的でさえある。
永井荷風著『江戸芸術論』で明らかなように、江戸の下町文化を愛した荷風に、パリは通底するものがあったのである。

荷風は戦中戦後も変わることなく、右手にこうもり傘を持ち、日和下駄を履いて、東京を徘徊した。
その日記である『日和下駄』は、体制に迎合せず、悠々自適な生活スタイルを描いている。
この自由さが、戦中も権力に屈することなく、戦後も孤高な自由人で、生きることを全うできたのである。

読書を愛する#Yoko Gavernさんと皆様へ