マスター&ママの小さな旅
伊豆半島・伊東を訪ねて

2019年12月22日

今年は何かと、慌ただしい1年であった。
そこで、今年の〆の旅として、伊豆の伊東へ、行くことにした。
伊東へ行くのは、今回で2回目である。

伊豆半島は、めぼしいところを、ぐるりと巡り、宿泊している。
そのたびに、伊東を通過しているので、伊東に親しみがある。
そして今回は伊東へ、直行直帰の旅である。

伊豆の観光地を行かずに、伊東の湯味を、愉しむことにした。
伊東に着いたのは、11時ころ。
ホテルに車を置き、伊東駅近くの商店街を、散策することにした。

キネマ通りのアーケードを行く。
間口の広いお店の、シャッターが落ちている。
そして通りに、人影は少なく、閑散としていた。

前回訪れたときより、商店街は寂びれていた。
キネマ通りと、名付けられているのだから、映画全盛期は、活況を呈していたであろう。
だが、現在の姿は、かつての繁栄を知る人には、悲しい事実かもしれない。

伊東の温泉は、湯量豊かで、効用も名高い。
伊東に限らず、伊豆半島は、地盤沈下しているようだ。
かつて、熱海も巨大なホテルが潰れ、廃墟と化していた時期がある。

だが近年、熱海に行くたび、熱海が復活し、若返っている。
群馬県の伊香保も、かつて、熱海と同じようで、悲惨でさえあった、
だが、現在は大復活し、石段街は賑やかになり、石段下の広場も整備された。

そして熱海も伊香保も、若者たちが、訪れている。
今では老若男女に、魅力溢れる、観光地に変貌した。
キネマ通りを抜けると、伊豆特産ぐり茶の老舗市川があった。
 
趣のある造りが、ひときわ昔ながらの情趣を醸す。
そしてキネマ通りから、湯の花通りへ。
キネマ通りの、半分ほどの路地である。
 
先ほどより、人出が多くなっている。
しかし、前回来た時に比べ、格段と少ない。
さらに行くと、人影が多くなり、他人事ながらほっとした。
 
やはり、観光地に、人だかりや、団体は付き物である。
湯の町通りと、言われるだけに、通りの中に、七福神の石像が建つ。
通りの入り口近くに、お湯かけ七福神が鎮座していた。
 
その石造の前の石鉢に、温泉が流れ落ちる。
そして石鉢に、柄杓が置かれている。
飲泉ができるのかと思いきや、右横に立て看板が、建っていた。


読むと、柄杓でお湯かけ七福神に、湯をかけると、願いが叶うと書かれていた
さらに、カラフルな石畳に、歩を進める。
通りの石畳は、綺麗に化粧され、七福神の絵が、漫画風に描かれていた。
 
さらに行くと、伊豆特有のなまこ壁の、椿油屋さんがあった。
やはり伊豆半島には、なまこ壁が似合う。
伊豆松崎や、下田で見た、なまこ壁を思い出す。

現代には珍しい、椿油屋さん。
どのような方が、購入するのだろうか。
かなり、高価なものであろう。

ひと昔前は、私の母も、椿油を髪に、着けたりしていた。
現代は高価な健康食品や、スキンケアオイルに、なっているのだろうか。
時間は午前12時前、昼食をすることにした。

近くに、伊豆鮮魚商の看板をあげる、趣のあるお店があった。
玄関の和風ガラス戸を開け中へ。
細い通路を通り、奥の席に着く。

2人掛けの席に座る。
右手奥に座る、6人のお客様は、忘年会でもしているのだろうか?
静岡の地酒を飲み、盛り上がっていた。

私たちは伊豆の地魚が、盛りあわされた刺身定食と、海鮮丼を注文した。
想像したより、豪華で食べごたえがあった。
最近は、観光地の食事の質やサービスが、格段と良くなっている。

店を出て、湯の花通りから、狭い裏路地を歩いてみる。
やはり、閉店した店が、数軒あった。
そして湯の花通りを戻り、ぐり茶市川の前を、右に折れる。

左手に、畳・室内装飾の看板をあげた、杉本商店が、懐かしい風情を、見せていた。
さらに行くと、宵まち通りの、粋な看板が見える。
バブル時代は、観光客相手に、好景気を謳歌したことだろう。
 
昼間は眠っているが、日が落ちると、通りに面する店の看板が、煌々と耀き始める。
やがてスナックから、カラオケが漏れ響くことだろう。
通りを見やりながら歩き、ホテルに向かった。

チェックインの時間には、まだ早い。
だが、他に行くところもなく、ホテルのロビーで、休むことにした。
ロビーの前に広がる、日本庭園は、すでに冬枯れ始めていた。