絵画館前の銀杏並木を訪ねて
2019年11月30日

ワールドトライアウトを、観戦した帰り道、絵画館前の銀杏並木へ出かけた。
たぶんこの時期は、銀杏が黄金色に、輝いているだろう。
しばらく行くと、大勢の人が列をなして、歩道を歩いて行く。
 
道路には観光バスが、何台も停まっている。
前から、旗を持つ添乗員さんの、説明が聞こえる。
そして添乗員さんの案内で、ぞろぞろ熟年の人たちが、銀杏並木へ向かって行く。
 
私も行列の後を進む。
程なくして、銀杏並木に到着した。
信号の前に、交通整理の人が出ている。
 
銀杏並木は、通行止めの柵が、造られていた。
今まで何回か、この銀杏並木に、来たことがある。
だがこれほどの、人出ではなかった。
 
最近は各地で、季節の花々や、紅葉などを愉しむ、人たちがいる。
そして圧倒的に、私たち世代の人たちが多い。
高度経済成長を支え、定年後に旅行や、季節の自然を、愉しんでいるのだろう。
 
子育てを終え、日本の経済の発展に寄与した人たちへの、人生の贈り物である。
銀杏並木の入り口に、「いちょう祭り」の看板があった。
見れば、いちょう祭りは、明日12月1日までと、記されていた。
 
空は晴れ渡り、青く澄んでいた。
昼下がりの陽光を浴び、銀杏の葉叢が、反射し眩しい。
並木の回廊を進むと、銀杏の葉が、すえた芳香を放つ。
  
たくさんの人たちが、あちらこちらで、ポーズを取り、記念撮影をしている。
きっとその中から、お気に入りの写真を、インスタグラムなどに、上げるのだろう。
歩道に散り敷かれた、枯れ葉を踏みながら歩く。
 
かさかさと乾いた音が、心地よい。
道路と歩道の間を、銀杏の落ち葉が、美しい模様を刻んでいた。
さらに歩くと、右手前方に、瀟洒なカフェがあった。
  
さすがにこの時期、カフェは満席で、席を待つ行列ができていた。
「いちょう祭り」の時期は、毎日、大盛況であろう。
私も上野広小路近くの料理屋で、9年ほど支配人を、したことがある。
  
今さらながら、上野公園の桜シーズンの忙しさを、思い出した。
四列に並ぶ銀杏並木は、黄金色に輝き、異国情緒を、漂わせる。
圧倒的な黄葉が、広場一面に、金彩のハーモニーを、奏でている。
平成9年から開催される、「いちょう祭り」、180万人以上の人たちが訪れる。
絵画館前の300m近い、銀杏並木は、晩秋から初冬にかけた、東京の風物詩の一つである。
彼方を見ると、聖徳記念絵画館の、中央ドームが、傾きかけた陽光に、照らされていた。