マスター&ママの初秋の京都の旅Ⅰ
台風19号が去り、その朝京都へ
2019年10月13日

12日から13日早朝にかけ、台風19号が関東地方から、東北地方に上陸。
各地に激甚な被害をもたらした。
私の店も12日は、臨時休業にした。

そして13日、東京発9時47分の新幹線のぞみで、京都に行かねばならなかった。
やきもきしながら、テレビで台風の予報を見る。
深夜になり、どうやら、台風は関東地方を抜けるようだ。

だが油断は禁物、明日にならなければ、結果はわからない。
少し安心し、日本酒を飲み、仕上げに赤ワインを飲んで寝た。
翌朝、7時前に目が覚め、テレビで台風情報をチェックする。

台風は長野や福島の河川を、氾濫させていた。
テレビはテロップで、交通情報を、次々と流す。
パソコンを開け、新幹線の情報を調べる。

JR東海は動いていた。
だが東京駅へ、アクセスは大丈夫だろうか?
都営三田線を調べると、動いていた。

どうやら京都へは、予定通り行けそうである。
支度を整え、地下鉄の駅に向かう。
バスは動いていないようである。

タクシーも無理である。
駅まで歩き、地下鉄駅に到着した。
まだ早朝の8時頃。

ホームに行くと、地下鉄を待つ人たちで、溢れていた。
地下鉄に乗り、東京へ向かった。
大手町で降り、長い地下道を行く。

この地下道を、10分ほど行けば、東京駅の地下街に着くはず。
だが今日は様子が違う。
しばらく行くと、人通りも絶え、閑散としている。

地上に出て、東京駅に向かう。
三菱商事本社ビル前に出て、一安心。
少し行くと、東京駅の赤レンガが見えた。

赤レンガの駅舎へ入り、新幹線の改札から中へ。
新幹線乗り場へ行く。
まだ時間に余裕がある。

だが何時まで経っても、私たちが乗る、新幹線ぞみ315号の、表示が出ない。
心配になり、駅員に聞いたら、乗車ホームが違っていた。
教えてもらった、乗車ホームへ行き、暫くすると、電光掲示板に、のぞみ315号が現れた。

ホットするとともに、自分たちは田舎者だなと、改めて痛感する。
やがて、新幹線が入線し、指定の席に座る。
普段ならここで、ビールを飲むのだが、今日は控えることにした。

これで京都に、予定通り確実に行ける。
新横浜を過ぎ、駿河湾沿いを行くと、富士山が右手に、雄姿を現わした。
冠雪には早いこの時期、富士山は赤茶けていた。

その姿は、葛飾北斎の赤富士を見るようであった。
名古屋を過ぎ、のぞみ315号は、予定時間の5分遅れで、京都駅に到着した。
今年の1月19日以来の京都である。

娘たちが迎えに来る予定だが、少し遅れるらしい。
駅前の伊勢丹の売り場で、お土産の日本酒を購入する。
京都は以外と、酒屋さんが少ない。

伊勢丹日本酒売り場は、伏見の酒はもちろん、日本酒のラインアップは充実している。
日本酒を購入し、駅近くのスターバックスへ入り、通りの見える窓際に座る。
コーヒーを飲みながら、外を見ていると、迎えの車が止まった。

店を出て娘の家族たちと、挨拶をかわし、車へ乗り込んだ。
ブライダル衣装屋さんの、予約時間は午後3時。
時間に余裕があるので、平安神宮へ行くことになった。

京都は建築ラッシュ。
駐車場だったところが、次々とビルが建つ。
そのため、駐車場がなくなり、駐車に苦労するらしい。

やっとのことで、駐車場に車を停めることができた。
初めての平安神宮。
境内は広く、小砂利が敷き詰められている。

ギシッギシッと、踏みしめながら、拝殿へ向かう。
拝殿の左右対称の楼が、羽のように広がる。
拝殿は朱色と、甍の緑が美しい、コントラストを描いている。

拝殿に登壇し、手を合わせる。
そして境内を散策すると、奥に神苑があった。
その右手に、紋付羽織姿の新郎と、白無垢の新婦の姿が見えた。

来月、私たちの娘も、新郎と共に、ここに姿を現す予定だ。
平安神宮のお詣りを済まし、駐車場へ。
そいてブライダル衣装屋さんへ向かった。

程なく目的地に到着する。
私と新夫のお父さんは、それぞれモーニングの試着をした。
私も試着し、大鏡に映る、初のモーニング姿の自分が、借り物のようだった。

そして私たちの衣装合わせは終わり、2階で娘のドレス姿を見た。
娘のドレスアップした隣に、私は並び、前の大鏡を見る。
娘の笑顔と、気恥ずかしそうな私が、映っていた。

衣装合わせが終わり、京都の町をぶらりと歩く。
午後6時近くになり、新夫の予約するお店に向かった。
程なくして、賑やかな市街地にある、お店に到着した。

お店の主人は、京都の老舗料亭で、10年修業したそうである。
新夫の少中学校の同級生で、親友のようである。
予約されたテーブルに着き、祝宴が始まった。

伏見のお酒や、地酒を飲みながら、京料理やお造りや天ぷらなどをいただく。
一日の予定が、つつがなく終わり、美酒と京料理を、心行くまで楽しんだ。
そして8時頃、店を後にした。

娘家族と別れ、ぶらりと夜の京都を、散策することにした。
新京極、錦市場へ行くが、市場はすでに終わっていた。
寺町から木屋町へ行く。

高瀬川が流れ、観光の町は活気に満ち、人が溢れていた。
木屋町通りの立ち飲みバーは、どの店も外国人の歓声が上がる。
ここだけは、京都の情趣と異なる、空気が漂っていた。

覗いてみると、ラグビーワールドカップが放映され、21対7で日本が勝っていた。
私もビールを飲みたいところだが、先ほどの美酒が、ほろよくまわっていた。
さらに先斗町を歩くと、広い通りに出たので、タクシーでホテルに帰った。

ホテルの6階にある部屋に入り、テレビをつける。
ラグビーはまさに、クライマックスを迎えていた。
28対21で、日本がスコットランドの、猛攻に耐える。

日本人の誇りと、スコットランドの意地が、激烈な戦いを展開する。
すると観客のカウントダウンが沸き起こり、ボールがタッチから、けり出された。
その瞬間、ノーサイドとなり、日本の劇的な勝利で終わった。

ひと風呂浴び、冷蔵庫から買い求めた、滋賀県の地酒を開ける。
グラスに日本酒を注ぎ、窓際の椅子に座る。
カーテンを開けると、ライトアップされた、東寺の五重塔が、夜空に浮かび上がっていた。