マスター&ママの伊豆熱川旅情
熱川温泉と河津七滝・出会い滝を訪ねて
2019年5月19-20日

伊豆熱川で宿泊するのは、去年の12月以来だ。
これで熱川宿泊は、3回目である。
ここを通過するのは、数えきれない。

国道135号を南下し、伊東を抜け、早朝に熱川に着いた。
さすが熱川は湯の町、あちらこちらに点在する櫓から、湯煙が上がる。
旅館が建ち並ぶ道路にも、容赦なく湯煙が流れ込む。

駅前の清流にも、温泉が流れ込んでいるのだろうか。
昔ながらの、情緒あふれる路地を、散策するのは楽しい。
ホテルのチェックインには、時間が充分にあった。

伊豆はこれまで、数えきれないほど訪れた。
主だった名所旧跡も、ほとんど訪ねている。
私たちの最近の伊豆旅行は、直行直帰型になった。

計画も立てない、気楽な旅は、それなりに楽しい。
自然と向き合い、時間の流れを、ゆったりと味わうことができる。
今日は快晴、降り注ぐ陽光を浴びながら、温泉街をぶらぶらする。

やがて、11時過ぎになり、少し早い昼食を、熱川駅前あたりで、摂ることにした。
熱川は意外と、食事処が少ない。
駅近くのお土産屋さんで、買い物をしたついでに、食事処を訊く。

すると熱川駅前に、蕎麦屋さんがあり、定食もあると教えてくれた。
蕎麦屋に入り、少し早い昼食を食べながら、外を眺めると、熱川の駅の看板が見えた。
そしてゆっくりと、蕎麦屋さんで休み、また温泉街を散策する。
 
遠くに相模灘が、洋々と広がり、青空と溶け合っているようだ。
湯煙が漂う中、時間に余裕をもって、ホテルに向かった。
チェックインの手続きを済ませ、ロビーでゆっくりと寛ぐ。
 
やがてホテルの客室へ、入れる時間が来た。
ホテルの部屋に入ると、大きなガラス窓の向こうに、オーシャンビューが広がっていた。
窓越しのソファーに腰を下ろし、陽光に輝く相模灘を眺める。
 
窓を開け、広いベランダへ出ると、潮騒が聞こえる。
海から渡りくる風が爽やかだ。
そして旅の疲れを癒しに、温泉に出かけた。
 
大浴場の湯船につかり、旅の汗を流す。
そのあと露天風呂に行くと、正面に相模灘が広がり、大島の島影が、朧に霞んでいた。
露天風呂を新緑が包み、野鳥の声が、長閑に響く。

風呂を出てその後、食事を終え部屋に戻る。
すでに窓外は、暗紫色の空が蔽い、暗い海が広がる。
空の満月は、煌々と耀き、海岸に白波が泡だっていた。

翌日、窓外を見ると、強い日がさしていた。
洋上に真っ白な船が、薄靄の中に見えた。
そして朝風呂を浴び、朝食のあとチェックアウトする。

今回は何処にも出かけない予定だったが、1つくらいは観光地へ行くことにした。
ジオパークに認定された、伊豆半島に来て、何処へも行かないのは、伊豆に失礼な気がした。
そこで国道135号へ出て、少し南下し河津から、伊豆七滝へ行くことにした。

伊豆七滝もこれまで、数回訪れている。
車に乗り走り始めると、雨がポツリとフロントガラスを濡らした。
空を見上げると、雨雲が垂れこめている。

やがて烈しい雨に変わった。
これでは計画を変更せざるを得ないだろう。
すると雨脚が弱くなり、国道135号に出ると、雨はあがった。

さらに行くと、道路は雨に濡れた気配がない。
相模灘は碧く広がり、空は晴れ上がっていた。
ラジオからは、西日本の大雨情報が流れる。

とりあえず、目的地に行くことにした。
国道135号から、国道414号へ入り、河津川に沿いながら進む。
やがてループ橋が現れ、その下の道を行くと、伊豆七滝の入り口に着いた。

無料の町営駐車場へ、車を置き外に出る時、雨がポツリポツリと落ちてきた。
傘を差して七滝へ向かう。
大滝の入り口を通過し、かに滝にさしかかる頃、雨脚が早くなって来た。

散策道から、かに滝を見下ろすと、清流が激しく流れる。
岩礁は雨に濡れ、赤黒く光っていた。
さらに川沿いの散策道を進むと、出会い滝の入り口に出た。
 
雨足も少し収まったので、狭くて急こう配の石段を降りる。
雨に濡れた石段は、滑りそうなので、注意深く降りた。
降りるにつれ、清流の音が大きく響き始める。
 
そして滝前に到着した。
ゴールデンウィーク明けの、月曜の雨降り。
訪れる人もなく、寂しげであった。
 
高さと幅約2メートルの2つの小滝が、ここで出会い、一筋の滝となり、渓谷を流れ下る。
水嵩の増した滝は、飛沫をあげながら、滝壺へ落ちる。
滝壺は碧く、底まで透き通っていた。
  
出会い滝から少し散策道を下ると、行き止まりであった。
そして二級河川・河津川・起点の看板が立っていた。
その看板の前の河津川は、大きく抉れ、幅広の滝になっていた。

出会い滝から流れ落ちた清流が、扇のように広がる岩礁を、滑り落ちていく。
雨は降りやまず、清流の流れは、水嵩を増し音高く、不気味に感じられた。
雨の渓谷は危険である。
 
早々に退散することにした。
石段を注意深く登り、途中から出会い滝の方へ目をやる。
雨に光る柱状節理の岩壁の間を、清流が滑り落ちていた。

そして石段を登りきり、散策道から、駐車場へ向かう。
すると猛烈な勢いの雨が、降り落ちる。
路面に水飛沫が跳ねる。

駐車場に着くころに、雨は小降りとなった。
駐車場前にある、土産物売り場で、買い物をする。
隣接の食事処で少し休み、東京へ向かった。