マスター&ママの神社巡り
縁結びの人気スポット川越氷川神社を訪ねて
( 埼玉県川越市宮下町2-11-3)
2019年4月12日

桜も終わる春の一日、川越氷川神社に向かった。
国道254を久しぶりに下ると、新しいお店が目につく。
やはり時は、留まることをしらない。

家を出て1時間ほどすると、川越神社前の駐車場に着く。
案内係の誘導で、無料の駐車場へ停め、道路を渡り神社へ。
正面に
木製鳥居で日本最大の高さ、15メートルを誇る、大鳥居が迎えてくれた。
 
見上げると、勝海舟が揮毫した、氷川神社と記す、大きな扁額が見える。
鳥居を潜ると、正面奥に境内が広がる。
そこには、大勢の参拝客が溢れていた。
 
川越氷川神社は、縁結びの神様で、若者たちのパワースポットとは聞いていた。
だが予想に反するこの賑わい、やはり神社の霊力は、若者たちに魅力があるのだろう。
着物を着た若者や、外国人の姿もあり、国際色に溢れている。
 
手水舎で清め、拝殿へ行く。
参拝客の列に並び、最前列でお賽銭を添え、手を合わせる。
拝殿の左横手に、宝永元年(1704年)に建立された、舞殿があった。
 
祭事の時に、お囃子が響き、薪能や芸能などが、奉納されるだろう。

境内の緋毛氈の縁台に、着物姿の女性たちが座り、楽し気だ。
先日、浅草寺に出かけたときも、たくさんの着物姿の若者たちがいた。

 
何処か不慣れで、帯の結びも簡略である。
きっとレンタルの着物を、楽しんでいるのであろう。
若者たちが着物に興味をもち、さらに日本文化を理解する、糸口になればよいのだが。
 
縁台の前に、人垣が見える。
近づくと、短い竿の釣り糸で、朱色に染まる、鯛のお御籤を引いている。
童心に帰る老若男女が、真剣な眼差しで、釣り上げている。
 
お御籤の名は、「一年安鯛みくじ」と「あい鯛みくじ」と言い、300円でとても人気があるようだ。
引き上げられたお御籤は、境内に祈りを込めてばれ結ばれ、鯛の袋は持ち帰りお守りになる。
舞殿の隣で、社務所とつながる一角に、柿本人麻呂神社が鎮座していた。
  
社務所では、お守りを求める人たちの姿が見える。
舞殿の前から、拝殿の脇を進むと、老樹が聳えていた。
その木陰に、たくさんの末社が並び、松尾神社もあった。
  
酒を祀る、日本では珍しい神社に、お賽銭を添え手を合わせる。
すると右手に、無数の絵馬を飾る回廊が見え、渡る人たちが見える。
境内に戻り、拝殿横にある、回廊の入り口を入る。
 
夥しい数の絵馬が、回廊の上から、そして両脇に飾られている。
狭い通路を、30メートルくらい進むと、回廊は終わった。
すると右手に、御神木と記された木製の立札が建っていた。
  
樹齢600年を超えるケヤキが対になり、寄り添うように、しめ縄で結ばれ、屹立していた。
老樹の周りに、細い石造りの道があり、2本の霊木を回ることができた。
長い風雪に耐えた老樹の根は、像の足に似て、深く大地をかみ締めている。
  
老樹に触ると、鋼鉄のように硬く、樹皮が鰐の肌のように逞しい。
はがれた樹皮と、浮き出た木肌が、斑模様を刻み、歳月の深さを、映し出す。
石の道を一回りして、散策道へ戻る。

  
すると遠くに橋があり、大勢の人たちの姿が見えた。
階段を下り、紙垂が垂れるしめ縄を潜り、橋に出た。
橋の周りや新河岸川沿いに、名残の桜が咲き、川面に散り落ちた桜が、模様を描く。

 
桜の木々は逆さ絵となり、散り敷かれた花筏と川面が、雅な世界を、現出していた。
橋の上から、鯉に餌をあげる人がいる。
鯉たちが餌を求めて集まり、川面を揺らす。

  
橋の上にたち、遠く眺めると、川の両岸が桜並木になっていた。
先週は観桜の人たちで、大変な賑わいであったであろう。
橋から本殿に戻り、本殿裏から境内へ向かう。

 
本殿横から、木製の柵越しに、本殿を見る。
入母屋造り銅板葺の本殿は、寛永2年(1849年)に、松平斉典の寄進により完成した。
梁下の壁に、たくさんの彫刻が、精巧に施されている。

 
彫り師は、江戸後期の名工・嶋村源蔵と、飯田巌次郎である。
関東特有の江戸彫りという彫刻で、7年の歳月ののちに、完成した。
本殿の横を進むと、氷川会館の前に出た。


会館は専門の婚式場で、「結い紐の儀」を、結婚式の誓いの言葉として、商標登録している。
その隣に、「むすびcafé」があり、入り口前の通路に、金属製の釣り行燈に、陽が灯っていた。
その情趣の奥に、大鳥居の姿が見える。
 
釣り行燈の横に、大田道灌ゆかりの矢竹が、繁っていた。
川越氷川神社を、篤く崇敬する大田道灌が、神社に詣でた折に、植樹したと伝わる。
川越は長禄元年(1457年)に築いた、河越城(初雁城)の城下町として栄えた。
  
そして城の守護神として、大田道灌以来、川越の総鎮守として、歴代の川越藩主が、崇敬した。
私が度々訪れた、10月14日の川越祭りも、
正確には川越氷川祭りである。
あの艶やかで、豪華な山車が、氷川神社の祭礼を、絢爛と繰り広げていたのである
 
境内にでると、昼下がりの3時半、参拝人で溢れていた。
着物姿の若者たちは、どこかユーモラスで楽しい。
神社の裏門から、子供を抱いた女性が歩いてくる。

その姿を写真に収める男性がいる。
きっと、誕生した子供の、お宮参りなのであろう。
そして縁結びの神様に、子供を授かったことの、感謝と報告をするのである。