Sareeeデビュー7周年記念タッグマッチ板橋大会観戦記
(女子プロレスの聖地・板橋区立グリーンホールにて)
2018年3月11日

お客様のAさんに誘われ、板橋区立グリーンホールへ出かけた。
開場は午後5時。
時間前に会場近くへ行くが、すでに2階の会場へ続く階段は、長蛇の列ができていた。

会場前に行くと、Aさんがいた。
チケットをいただき、試合会場へ入る。
席はリングサイドの最前列。

1メートルくらい前に、6メートル四方のリングが、広がっていた。
すでに会場は、試合を待つ観客で、溢れていた。
午後5時40分頃、テンカウントのリングが、場内に響く。

今日は東日本大震災が、7年前に東北地方で、発生した日である。
リングの周りに、全選手と関係者が並び、観客も全員立ち上がり、1分間の黙とうした。
全員が頭を垂れ、会場は静寂に包まれた。

黙とうが終わり、観客が着席すると、今日の主役・Sareee選手が、リングにのぼる。
マイクを握り、観客に感謝の挨拶を行った。
そして、Sareee選手がリングを降りると、第1試合の選手が入場した。
 
オープニングマッチは、ボリショイ・キッドvs万喜なつみの201本勝負。
ピエロの衣装をまとったボリショイ・キッッド選手が登場。
手にした袋から、飴を取り出し、会場へ投げる。
 
一方の万喜なつみ選手は、純白のリングコスチュームも鮮やか。
コーナーポストに駆け上がり、バトンを華麗に振りかざす。
リングにたくさんのテープが、投げ入れられた。
そして試合は始まった。
剽軽なキッドの動きと、フィギュアのように愛くるしい、正統派のなつみ選手の技の応酬。
8分21秒、キッド選手が、スモールパッケージホールドを決めた。
そして第2試合は、 20分1本勝負
青野敬子&AKINO軍 vs 藪下めぐみ&佐藤綾子軍
両チームの選手が、リングに登場した。
 
選手たちの鍛えられた身体が、ガウンからはち切れそうである。
ゴングと共に、試合が開始。
リングの上で、烈しい戦いが繰り広げられた。
 
ガツンッと蹴りがさく裂し、コーナーポスト最上段から、飛び技が繰り出される。
大きな投げ技が決まると、鈍い音が響き、リングが大きく波打つ。
そして時間が経過するに従い、顔や身体が紅潮してきた。
 
それは激しい戦いの、証なのであろう。
そして15分17秒、AKINO選手が、佐藤選手を、抑え込み勝利した。
そしてセミファイナルを迎えた。

大畠美咲&水波綾軍vsジャガー横田&永島千佳世軍。
30分1本勝負スペシャル・タッグマッチが始まった。
現在実力と人気抜群の若きタッグと、最古参女子レスラー、ジャガー横田タッグが激闘した。
同期で年齢も同じ大畠選手チームは、連携も素晴らしく、見事なチームワーク。
はち切れる若さを、リングで展開する。
ダイナミックでリズミカル、そしてスピードとパワーが躍動的に、さく裂する。
 
だがそこは、女子プロ界の巨人、ジャガー横田選手率いるタッグチーム。
一筋縄にはゆかない。
数々の栄光に輝く、ジャガー横田選手は、鬼気として、タッグチームに迫る。
 
観客のジャガー横田に対する声援は、「ジャガーさん」と尊敬の念がこもっている。
獲物を狙う女豹のように、威圧するような風格がある。
ジャガー軍は、若きタッグに、果敢に攻め込む。
さらに、長きにわたる、練達した技で、若きタッグチームを翻弄した。
だが大畠軍は、果敢に攻め続ける。
スタミナも十分、次々に攻撃を、執拗に繰り返し攻め続ける。
 
だがベテランチームも、屈することなく反撃を加えた。
さらにパイプいすが、リングに持ち込まれ、試合は荒れ模様に変わった。
そして両軍は、リングの外で激突。
観客は難を避け、乱闘から逃げる。
パイプに激突する、強烈な音が、場内に鈍く響く。
乱闘は終息する気配はない。
 
レフリーがカウントを開始した。
だが両タ軍は、リングに戻れず、リングアウトの結末となった。
大畠軍とジャガー横田率いるCRYSISの激闘は、22分11秒、両軍リングアウトで終わった。

そして約15分くらいの休憩を挟み、7時10分ころ、メーンイベントを迎えた。
「Sareeeデビュー7周年記念タッグマッチ 60分1本勝負」が開始された。
入場曲もヒートアップ、場内は興奮に包まれる。
 
井上京子選手と山下りな組が登場し、リングコーナーで余裕の表情で待機する。
そして今日の主役Sareee選手と、伊藤薫選手が登場した。
Sareee選手は、板橋生まれで大山育ちの21歳。
 
区立大山小学校と、区立板橋2中を卒業。
中学3年生の時、井上京子選手の元で練習生となる。
その後 第24代JWP認定ジュニア王座&第14代POP王座 と第24代JWP認定ジュニア王座&第14代POP王座を獲得。
さらに第5代WWWD世界タッグ王座を奪取した。
 
Sareee選手は紅色と銀色のガウンにつつまれ、階段を上り、観客の歓喜に応えるように、リングを歩く。
するとリングに、無数の紙テープが舞った。
Sareee選手は、トランクスも鮮紅色、燃える魂の輝きを放つ。
そして両軍のリングコールが終わり、ゴングと共に試合は開始された。
まずは若手同士、山下りな選手とSareee選手が、リングに登場する。
一歩もひかない、激しい技の応酬が続き、試合のボルテージが上がる。
 
そして井上京子選手が、登場すると、一気に試合の展開は激しくなる。
さすがに現役レスラー屈指の王者。
技もパワーも凄みがある。
しかしSareee選手は、臆することなく、果敢に攻める。
そして両軍は見事な連係プレーを繰り出し、緊張溢れる展開になる。
Sareee選手の、滞空時間の長い、美しいジャーマンスープレックスが決まる。
さらに華麗な飛び蹴りが、綺麗に決まると、場内にため息がこぼれた。
そしてSareee選手が、コーナーポストに上り、空中殺法を仕掛けるその時。
井上京子軍に捕まる。
 
そしてリング中央で、井上京子選手の大技を受け、絶体絶命のピンチ。
さらなる連続技をうける瞬間、Sareee選手は、高角度後方回転エビ固め(ウラカン・ラナ)で逆転した。
20分13秒、劇的なスリーカウントを奪う。
 
高々と両手を上げ、観客の万雷の拍手に、すがすがしい笑顔でこたえる。
そして勝利を確信した、Sareee選手は、崩れるように、コーナーポストに座り込んだ。
それは精魂を尽くした、激闘を証明していた。
 
敗れ去った井上京子選手の顔に、汗とも涙にも見えるものが、滲んでいた。
自分が手塩にかけた選手に、見事な返し技で、スリーカウントを奪われた。
王者としての口惜しさと、自分からホールを奪った愛弟子の成長への歓びが、交錯しているのであろうか。
 
するとSareee選手が、井上京子選手のもとへ行く。
そして正座し、井上京子選手に、W.W.W.D.世界シングルへの挑戦を熱望した。
井上京子選手は快諾し、5・5後楽園ホールで実現することになった。