面白い小説は、時を忘れさせる!
2017年7月24日

地下鉄で店に向かう。
電車に乗り、読みかけの文庫本を取り出し、読み始める。
最近は江戸時代を舞台にした、小説を読むことが多い。

長谷川伸 平岩弓枝、宇江佐真理、諸田玲子 山本一力などが、愉しく読める。
今は池波正太郎(1923年-1990年)『秘密』を読んでいる。
かつて篠山藩の武士のとき、些細なことから、同じ藩の同僚と果し合いになり、立会人の前で討ち果たしてしまう。

相手は丹波国篠山藩の重臣の息子、窮地を脱し江戸にのがれ、町医者片桐宗春として、ひっそりと生きる。
江戸の上野、浅草、千住、本郷などを舞台に、様々な事件が起きる。
江戸時代の小説の舞台は、ほとんどが上野、浅草、深川、両国などである。

私は湯島に9年ほど住み、仕事場は上野広小路であった。
お得意様や、仕入れ先は浅草なども多く、自然と下町界隈に詳しくなった。
小説を読んでいると、描かれる場所が、彷彿と浮かび上がる。

だからきっと、小説の面白さが、倍加するのであろう。
『秘密』は342ページで、320ページまで読み進んでいた。
エンディングへ、物語がスリリングに進む。

さすがに昭和を代表する、時代小説家のストーリー展開と、息もつかせぬ筆致は、読むものを魅了する。
電車がゴトりッと止まった!
前を見た!

するとホームの看板に、板橋区役所前と書かれていた。
慌てて立ち上がり、間一髪で間に合った。
面白い小説は、時の経つのを忘れさせる。