埼玉県鴻巣のポピー園を訪ねて
2017年5月28日

ここへ来るのは、今回で3回目になるであろうか?
最初に来たときは、吃驚した。
HPで書かれているような、ポピー畑が見あらず、一面の小麦畑だった。

呆然としていたら、地元の人とおぼしき老人が、通りかかった。
訊けば、今年は小麦の値段が暴騰しているので、小麦畑になったと。
そのあと、何年かしてから来たときは、想像通りポピーが、広大な敷地に咲いていた。

今日はポピー祭りの最終日。
駐車場に着いたのは2時頃だった。
ポピー畑の一番端の駐車場に、順番待ち後に車を置く。

真夏のような陽光が、広大なポピー畑に、降り注いでいた。
はるか遠く、鴻巣市馬室荒川河川にかかる橋を、途切れることのない車が行き交う。
「ポピー・ハッピースクエア」のある 、県道27号下の荒川河川敷は、川幅日本一と言われる。

広場に向かう、真っ直ぐな道を行く。
左手に薄紫の、麦なでしこ畑が広がる。
道路を挟む右手に、稔りも近い小麦が、黄金色に輝いていた。

その遠景に、ポピー畑が、朱に染まる。
真夏を思わせる空は青く、雲海は銀灰色に照り輝く。
風は爽やかに吹き抜け、空高く軽飛行機が飛び、数羽のヒバリの声が響く。

子供のころは、世田谷あたりでも、季節になれば、普通に聞けたヒバリの声。
その鳴き声を聞くと、遠い昔の郷愁を覚える。
最近は虫の声も、鳥の声も都会からは消えた。

小麦畑の先に、真言宗智山派の名刹、常勝時の甍が、緑に包まれている。
日本一広いポピー畑は、12.5haに及び、3000万本を超え、色とりどりのポピーが咲き匂う。
「ポピー・ハッピースクエア」へ向かう路傍に、控えめに朝顔が、楚々と咲いていた。

ポピー畑の遠くの
「ポピー・ハッピースクエア」に、テント張りの屋台が見える。
近づくにつれ、広場から弾き語りの、女性の声が響く。
道の両サイドに、広いポピー畑が、のびのびと広がる。
すると左手に、畦道のような茶色の土色をした、狭い道が真っ直ぐにのびていた。
その道の横に広がる、ポピー畑は摘み取りができるようだ。
畑の中に入り、花を摘む人たちは、童心に帰ったように愉しげである。

このあたりから、最寄りの駅を結ぶ、シャトルバスが発着しているようだ。
一方通行の道を行くと、用水路があった。
流れる水は、空の青と雲塊を映していた。

滅多に踏むことのない土の道は、ふかふかで気持ちがよい。
白と朱色のポピー畑の奥に、小高い丘が広がる。
夏日を浴びて、新緑の緑が眩しい。

畑から先ほどの道へ出て、広場に向かうと、左右に黄色いポピー畑が、陽光に輝く。
始めて見るポピーは、、カリフォルニアポピーと、立札に書いてある。
背丈は低く、花も小降りだが、黄金色に輝き可憐である。

花に近づくと、ミツバチが花弁にとまり、花芯の蜜を吸っている。
黄色い体に、横2本の黒い筋を飾る尻尾を、小刻みに振りながら、夢中に蜜を集める。
他のポピー畑で、ミツバチを見ることはなかった。

この黄金色のポピーの蜜は、特別なのであろうか。
ミツバチは、何を基準に蜜を集めているのであろう。
何年か前、日本国内のミツバチが、急激に減少し、社会問題になったことがある。

ミツバチが様々な花から、蜜を集めながら、諸々の花々に、受粉をする。
そのおかげで、自然界の果物、野菜や花々が咲き、実りを迎える。
ミツバチが花粉交配することで、植物はたくさんの実をつけることができる。

ミツバチはまさに、受粉と交配の神さまである。
カリフォルニアポピーを通り過ぎると、様々な色に咲き誇る、ポピー畑が見渡せる。
畑に盛り上がる、土の道を歩く。

左右にポピーが咲きほころび、時おり吹きすぎる風に揺れている。
その風に、右左にポピーが揺れ、優雅で気品がある。
昼下がり、夏日が降り注ぎ、ポピー畑は鮮やかに輝く。

畑の中をのぞくと、緑の蕾が下を向く。
その横の蕾は、斜め上に伸びている。
明日か明後日か、緑の蕾は何色の花に、変わるのであろう。

すでに咲いて、落花した花軸を、晒すものも散見する。
咲き匂うポピーの花たちは、青空に向かい、背筋を伸ばし凛々しく咲いている。
澄み渡る空の青との、コントラストが眩く美しかった。

強い陽光のもと、ひび割れた土の道を行くと、
「ポピー・ハッピースクエア」に出た。
広場には数軒の露店が並び、お祭り気分に満ちていた。
純白のステージで、男性シンガーが、キーボードを弾きながら歌っていた。

鴻巣花まつりは、鴻巣市内の様々な会場で、同時開催されている。
「花のまちこうのす」をPRするイベント、「ポピーまつり(吹上会場)」、花久の里「バラまつり」、「鴻巣オープンガーデン」
そのイベントの1つ日本1広いポピー畑、「ポピー・ハッピースクエア」は輝いていた。