「平成の森公園」のバラ園を訪ねて
(所在地:比企郡川島町下八ツ林920番地)
2017年5月21日
 
日曜日の午後、埼玉県川島町にある、「平成の森公園」へ出かけた。
中山道を1時間半ほど行くと、のどかなな風景の中に、目的地はあった。
周り一面に田園が広がり、すでに田植えを済ましているところもあった。
 
無料の駐車場へ行くと、たくさんの車が駐車していた。
駐車場から程なく行くと、前方に芝生の広場が広がる。
のんびり芝生で休む家族ずれや、キャッチボールする若者たちが見える。
散策道わきの花壇に、紫や純白の野草が咲いていた。
夏を思わせるような、強い陽光を浴びながら行くと、「バラの小径」が迎えてくれた。
バラの小径」は、川島町合併50周年記念事業として、平成18年1月に完成。
 
約60品種、474本のツルバラが、全長340.5メートルのトンネルを、構成する。
その長さは、日本一長いバラのトンネルとして、平成18年7月に「日本一ネット」で認定された。
小径の中へ進むと、バラの芳香が柔らかく流れる。
 
色とりどりなバラの花のトンネルが、どこまでも続く。
小径の横に小川が流れ、子供たちが水遊びをしている。
今日は夏日で、30度を超す暑さ。
 
小滝を流れ落ちる清流が、陽光に煌めいていた。
燦々と降り注ぐ陽光を浴びながら、子供たちの水遊びは、愉しいだろう。
ずぶ濡れになり、弾むような元気な声で遊んでいる。
 
幅2mほどの小径の中、若いカップルが、お気に入りの場所で、写真を撮影をしていた。
様々なポーズで、写真におさまる姿が、微笑ましい。
この公園は、老若男女の人たちで溢れ、華やぎがある。
 
若い家族ずれの姿は、ほのぼのとして微笑ましい。
バラの花の、甘く高貴な香りの中を進むと、トンネルは終わった。
前方にショウブ田が、青々あと広がる。
 
まだ開花の時期は遠く、一面にショウブの葉の青緑が、微風に揺れている。
毎年、6月上旬ころに開花し、大勢の人たちが、花見に訪れる。
町のシンボルのハナショウブ2500株が、色鮮やかに咲き匂うであろう。

するとハナショウブの青緑の中、真っ白なハナショウブが1輪、寂しげに開花していた。
どこの世界にも異端はいるものと、変に感心した。
ハナショウブから、トンネルの横を歩きながら、遠くを眺める。
 
公園の芝生で、家族ずれがのんびりと、横たわっている。
昼下がり、木陰で微風に吹かれながら、暫しの休息は心地よいだろう。

公園の木々は、日差しを受け、葉叢の若緑がきらきらと眩しい。
 
葉脈が陽光に透けながら、ゆらゆらとそよぐ微風に揺れている。
そしてさらに行くと、「時の塔」の広場に出た。
広場中央にあるカリヨン(鐘)が、時刻が来ると時を告げ、公園に鐘の音を響かせる。
 
14世紀頃から、フランドル地方(現在のベルギーやオランダに跨る)に伝わる、時を伝える鐘がカリオン。
3つの鐘が陽光を受け、真っ青な空と、美しいコントラストを刻んでいた。
カリオンの塔は、丸い池の中に浮かび、それを12の景石が、規則的に囲む。
 
大きな石には、十二支の彫り物が刻まれ、広場全体が、日時計になっていた。
夏になると、ここに滝が流れ、子供たちは水遊びしながら、時の流れを楽しむ。
広場を横切り、さらに行くと、ハス池が広がっていた。
 
古代ハスの開花には、まだ早いのであろう。
若緑のハスの葉が、陽光に照りかえりながら、揺れている。
そして水面に、大きな影を刻んでいた。
 
水面に広がる、大きなハスの葉の上に、名残の朝露が、ダイヤモンドの輝きを放っていた。
そしてその横のハス葉を見ると、小さなトンボが止まっていた。
それは私が子供のころ、この時期から夏にかけて、近くの川で見たものと同じである。
 
池の中をよく見ると、小さな魚が泳いでいる。
その小魚を、網で掬う子供がいた。
水辺の懐かしい風景は、かつて戯れた、子供時代の郷愁を誘う。
 
時刻は4時に近かった。
ハス池を後にして、帰路につく。
400mのトラックと、天然芝のフィールドを抜け、駐車場へ向かう。
 
広場には人影も少なく、グランドに設けられた観客席で、読書をする人がいた。
約8.4haの広さの公園は、自然に溢れ、都会の喧騒を忘れさせてくれた。
駐車場の出口に、コブシの木が、若緑の葉を輝かしながら、見送ってくれた。