埼玉県騎西町のシンボル、樹齢約400年の大藤を訪ねて
2017年5月7日

ゴールデンウィーク最終日の7日(日)、埼玉県加須市にある、玉敷神社に隣接する、玉敷公園に出かけた。
そこには埼玉県騎西町のシンボル、樹齢約400年を超す、埼玉県指定天然記念物の大藤が咲いている。
天気は曇りだが、雨の予報はない。
  
外環から東北道を北上し、圏央道からの白岡菖蒲インターで降りる。
国道122を行き、現地に着いたのは、2時半頃であった。
無料の駐車場に車を置き、神社の石造りの、一の大鳥居を潜る。
真っ直ぐな石畳の参道の先に、二の鳥居と三の鳥居が見える。
その先に、緑深い森に包まれる、玉敷神社が見える。
4月29日(土)から、5月5日(金)までの、「騎西藤まつり」はすでに終わっている。
だが、参道には大藤見物の人たちが大勢いた。
 
参道の両脇には、松の老樹が、趣を添えていた。
石畳の参道を歩き、三の鳥居を潜ると、そこは玉敷神社の境内であった。
境内横には、天保7年(1836)建立の茅葺きの舞殿が、ひっそりと建っている。
そこでは毎年、江戸神楽の源流を伝える舞いが、奉納される。
 
正面には玉敷神社が、威厳をもって鎮座していた。
その創建は古く、2世紀とも、また 8世紀とも伝わる。
平安時代初期、延長5年(927)に公布された、
延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)に、
「武蔵国埼玉郡 玉敷神社」と記載された。
 
戦国時代に社殿などを焼失し、江戸時代に現在の加須市根古屋に再建。
その後、寛永4年(1627年)ごろに、現在地に遷座した。
そして江戸時代には、「久伊豆大明神」と言われ、埼玉郡にある久伊豆神社の、総鎮守として尊崇された。
神社本殿前の参道両脇を、狛犬が凛々しく警護していた。
見れば狛犬の前足の下から、小さな愛くるしい狛犬が顔を出す。
珍しい姿に、思わず笑みがこぼれてくる。
神社右手の、手水舎で手と口を清め、拝殿で作法通りに、手を合わせる。
そして神社に隣接する、玉敷公園へ出かけた。
神社横の道を行くと間もなく、遠くに公園の大藤が見えた。
昭和10年から開催された、「騎西藤まつり」は、すでに終わっていたが、大藤は見事に咲いていた。
大藤の薄紫に染まる、玉敷公園に近づくと、妖艶な香りが流れ来る。
園内では見物の人たちが、のんびりと散策したり、椅子に座り鑑賞している。
右手に3本の藤の古木、左手に1本の大藤の太い幹が見える。
  
大地に深く根差した姿は、400年以上の歳月を生き延びた、生命力が躍る。
幹周り4.8メートルの幹から伸びた枝が、藤棚に約700平方メートルの枝張りは壮観である。
この
大藤は、戸室の若山家にあった藤を、「ぜひ町の観光資源に」と切望され、
昭和8年に
若山静一郎氏より、奉納されたものである。
  
藤棚から高貴な芳香が漂い、1メートルの花房が垂れさがる。
薄紫の花房は、微風に揺れながら、水霧に煙る滝のようである。
この藤は、町制施行⒛周年を記念し、昭和50年、騎西町の花に制定された。
 
花房の下は薄暗く、遠くの景色が、鮮やかな光を放っていた。
左手の大藤の左横へ行くと、小さな池があった。
濁った池の中を、錦鯉の泳ぐ姿が見える。
池に沿って行くと、そこには白色に匂い咲く、藤棚があった。
純白の藤は珍しい。
風に揺れる姿は、凛として高雅である。
 
そして大藤の横の散策道を行くと、道路と隔てる堀川があり、流れる水面が、陽光に煌めいていた。
川岸には野草の若緑が広がり、白い小さな野草が咲いていた。
昼下がりの陽光は優しく降り注ぎ、流れ来る微風が爽やかだ。
散策道を行くと、薄紫に匂い咲く、大藤の彼方に、ツツジの花々の、鮮やかな景色が見える。
陽光に照らされ、やがて来る初夏の訪れを知らせる。
ツツジの園に近づくにつれ、ツツジの花は陽光を浴び、さらに鮮やかさを増す。
ゴールデンウィーク最後の日曜日、行楽日和に恵まれた。
風薫る爽やかな季節、滝のように咲き流れる藤を愉しみ、ツツジの花を愛でる。
すでに時刻は、午後3時40分を回っていた。