かつて板橋区大山銀座商店街(現在の遊座商店街)に、映画館が五軒あった
2015年4月9日
遡ること45年前、板橋区大山東町に、5軒の映画館が存在した。
それは現在の遊座商店街を挟んで4軒と、大山駅北口前にあった。
山手通りから当時の大山銀座商店街を入ると、すぐ左手にピース劇場があり、現在は三田マンションである。
映画館誕生当初は、日本映画を上映していた。
やがて洋画を上映したが、映画が衰退し始め、ピンク系映画を上映した。
さらに商店街を大山駅へ向かうと、現在は都税事務所のあるところに、板橋劇場があり、東宝映画を上映していた。
だが映画産業が不況になり、ピンク映画系を放映しなければならなくなる。
その当時中学生だった人が「その当時、『エマニエル夫人』のポスターが、映画館に飾られていて。
やわ肌をあらわに出して、籐椅子に足を組んで、腰かけている姿を見ながら、股間を熱くして中学に通ってました」
そこからさらに駅に向かい、現在の山口花店横の路地を入ると、右手に板橋名画座があった。
ここも初期は洋画を上映したが、映画不況に押され、日活映画系ピンク映画専門館に変わる。
その頃の笑い話で、当時中学生の同級生が、ピンク映画を見たくて変装し、板橋名画座へ行った。
お父さんの背広を着て、ネクタイを締め、入場券を買おうとした。
だが切符売り場で歳がばれ入館拒否。
ピンク映画初体験が失敗した話など、ほのぼのとした時代が彷彿し愉しい。


(創業69年オグマサイクル様より資料提供)
さらに駅へ歩くと、大山駅踏切手前の現在はパチンコ・オーシャンの位置に、大山東映があった。
私の店がオープンした31年前にはまだ存在し、子供を連れ東映漫画祭りへ行き、ドラゴンボールなどを観た。
その大山東映の手前を左に折れ、大山駅北口前に大山キングという映画館があった。
その場所に現在はファミリーマートがある。
映画館大山キングで上映された、ゴジラ映画「南海の大決戦」は大ヒットしたという。
その当時、大山銀座の通りはピース通りといい、ジャリ道で何日が雨が降り続けると、浅いプールの様な水たまりになった。
その頃、現在のスーパー・ビッグ・エーは高島屋であり、屋上は遊園地であった。
大山に住む子供たちは、池袋まで行かず、この遊園地で遊んだ思い出の場所である。
私が大山に来た時は、すでに名前も変わり静岡屋となり、後に忠実屋に変わり、現在のビッグ・エーで収まった。
現在の板橋文化会館は、その頃、板橋区民館と言い、昔を知る人は今でも、区民館と呼ぶ人も多い。
その当時の大山は、板橋区最大の繁華街であり、駅近くに飲食店が犇めいていた。
夜になるとスナックやキャバレーのネオンが瞬き、人々の嬌声で溢れていた。
当時はカラオケもなく、飲み屋で歌うと言えば、アカペラか流しのお兄さんのギター伴奏で唄うくらいであった。
全盛期の大山には、十人以上の流しがいたと、大山最後の流しで、流しを仕切っていた人に聞いたことがある。
最近は個人商店が消えチェーン店に変わり、45年前の大山銀座の面影も消えて淋しい限りである。